pretty preschool teacher

フロイライン

文字の大きさ
上 下
22 / 31

sympathy

しおりを挟む
顔を両手で覆い、肩を震わせて泣くリサに対し、遥はかける言葉を持ち合わせていなかった。

ただ、黙ってその背中を摩った。

遥自身も涙を流しながら…


長い時間泣いて、少し落ち着いたのか、リサはようやく顔を上げて、遥の方を見つめた。

「もう、遥ちゃんまで泣く事ないじゃない…」


「だって…

他人事じゃないんだもん…」

遥は涙を拭い、しゃくりあげながらリサに言った。


「本当にありがとう、遥ちゃん
あなたがいてくれて本当によかった…」


「当たり前だよ。
ワタシら、この世でたった一人の親友同士なんだからね。」


「うん。」


「愛媛に戻っても、絶対に連絡ちょうだいね。」


「うん。絶対に連絡する。」


「人生は長いんだし、また運気も変わってくるから。」


「そうだね…

前向きに生きるよ」


遥とリサはハグして別れを惜しんだ。



長時間のハグを終えると、遥はリサに

「いつ帰るの?愛媛に」

と、聞いた。


「今日、お店辞めてきたから、マンションの解約と引越しの準備が終わり次第、なるべく早くに…」


「そっか…

次の休みの日、ワタシ、手伝いに行くよ」


「ううん、大丈夫

二、三日で片付けちゃうつもりだから」


「そうなんだね…

帰る時は連絡してね」


「うん。

遥ちゃん、色々ありがとう。
話聞いてもらって思いっきり泣いたらスッキリしたわ。」


リサも最後は晴々とした表情となり、遥に微笑みかけた。

遥はリサとJRの改札まで一緒に行き、ホームに降りて行く親友の姿を見守り、それぞれのホームに別れても、離れたところから手を振り合った。


遥は自分の電車が先に来たのに乗らず、リサが乗り込むのを見届けてから、あらためて次の電車に乗った。

家に着いたのは深夜零時近くになっていたが、親友の気持ちを少しでも楽に出来たのならと…
遥はリサの前途を考えずにはいられなかった。



リサが自ら命を断ったという知らせが遥に届いたのは、それから二日してからの事だった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

「会社で「ポーションを作ってくれ」と無茶振りされました」後日談

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:28

愚者の園【第二部連載開始しました】

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:170pt お気に入り:17

婚約者には好きな人がいるので婚約破棄させていただきます

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:44

離縁するので構いません

恋愛 / 完結 24h.ポイント:7,506pt お気に入り:1,471

別れ話をしましょうか。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:582pt お気に入り:3,047

アネモネの華

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

うまくいかない話

ライト文芸 / 連載中 24h.ポイント:28pt お気に入り:0

独裁者・武田信玄

歴史・時代 / 完結 24h.ポイント:42pt お気に入り:17

陰からの護衛

BL / 連載中 24h.ポイント:569pt お気に入り:45

処理中です...