pretty preschool teacher

The Little Prince &Princess

遥、凛太郎、大輝は、寝るまでの間
リビングで談笑する事が多い。

元々仲良しの三人組だったからこそ、社会人になっても同居をしているわけで…

この日も、最後に入浴を終えた遥を挟むようにして、話をしていたが…


「で、どうだったんだよ、デートは」

話題の中心は遥の恋の行方についてで

主に凛太郎が遥に積極的に質問する構図となっていた。

「どうだったって…

楽しかったよ。」


「今日はキスしたのか？」


「してないよ、だってカレの子供が一緒に居るのよ、出来るわけ…」

遥はそう言って、口を噤んだ。

帰りの車の中でキスをした事をすっかり忘れていたのを今、思い出したからだった。


「おいおい、子供の前でそんな事してんのかよ。
教育上良くないぞ。」


「車のチャイルドシートで熟睡してたから…」

と、遥は顔を真っ赤にして言い訳をした。


「でも、相手はお前がアレだって事を承知して付き合ってくれって言ったんだろ？

この先については何か言ってるのか？

まだ付き合い始めたばかりだし、そんな話はしないか。」

凛太郎の興味は尽きず、核心に迫る質問をしてきた。


遥は、一瞬躊躇したが、すぐに考えを改めた。


「えっと…実は…

結婚して欲しいって…言われた」


「うそっ！
マジか！」


「うん。」


遥は顔を赤くして俯いたが、ここでようやく大輝が口を開いた。


「遥は言われてどう思った？」


「ワタシ？

うん…

すごく嬉しかったけど…」


「けど？」


「ワタシが女じゃないって時点で、結婚なんてムリって決まってるわけで…

いくら好きでも、すんなり受け入れる事は…

とてもじゃないけど出来ないよ。」


「でも、相手の男の人は遥の事をわかった上でそう言ったんだろ？
その言葉って信用できるもんじゃないのか。」

冷静な口調で質問する大輝に、遥は少し伏し目がちになってしまった。


「わかんない…

カレはワタシが女じゃないって事は関係ないし、気にしないって言ってくれてる。
その言葉は多分信じていいと思う。

でも、ワタシ自身が自分の事を信用出来ないの。

カレがどれだけワタシの事を愛してくれても、勝手にそんなわけないって思ってしまうのよ。」




「信じてみてもいいんじゃないか」


「えっ？」


「お互いに好きっていう気持ちは強いんだろろ？
それなら、相手を信じてみろよ。

遥は、これまでの人生で辛い思いを散々してきたんだろ？

初めて好きになった相手だし、尻込みするのはわかるけど、ここは思い切ってぶつかってみれば？

俺はそう思うよ。」


「大輝…」


遥にとって、大輝の言葉は、一番自分にかけてほしかったものであり、勇気が湧いてくるのと同時に、彼女の心に沁みた。