聖也と千尋の深い事情

フロイライン

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海から帰ってくると、親父とオカンが晩御飯の食材を買って帰ってきたところだった。

「千尋ちゃん

夕方から庭でバーベキューをするわよ
BBQよBBQ」


「わぁ、やったー」


オカンの変なテンションに無邪気なキャラをぶつけられる千尋に感心。

千尋が皆から好かれる理由がわかるような気がした。


俺たちはご飯までまだ時間があるという事で、部屋に移動した

あ、俺の部屋の方に千尋も来た。


しばらく二人で窓から見える景色を見ていたが、それにも飽き、ベッドの上に二人で腰掛けると


「聖也、ねえ、キスしよ」

と、千尋が瞳を潤ませて俺に顔を近づけてきた。


断る理由なんて1ミリもない俺は、頷き、唇を合わせた。

自分で言うのは何だけど、かなりキスが上手くなったような気がする。

千尋も少し興奮しているのか、息が荒い。

俺は嬉しくなってもっと激しいキスをしようとしたが、そこまでだった。

慌てて唇を引き離した。


「どうしたの?聖也」


「ごめん…出そうになった…」


「出してもええやんか」


「いや、まだ昼間やし…」


「そうやな

夜にゆっくりしようよ」


千尋はニコッと笑って言った。

その顔が異常なくらい可愛かった。


「なあ、千尋」


「どないしたん?」


「お前、可愛すぎるねん

中2病の中2の童貞の俺にはキツすぎるわ」


「なんやねんソレ

ワタシも中2やんか、聖也って変やな」

千尋は笑って言った。


「あの、」


「うん?」


「ここのお風呂ってめっちゃデカイねんけど…

夜、一緒に入る?」


俺は思い切って誘ってみた。

でも、千尋の表情が少し曇っていくのがわかった。


「あ、ごめんごめん、ウソウソ
今の提案、無しな」


俺はすぐに撤回した。


「ちゃうねん、聖也…

ワタシ、自分のこの体がイヤで、自分で見ても落ち込むねん。

それやのに、好きな人に見られるのは…」


千尋のような人間の事は俺にはよく理解が出来ない。

体を見られたくないのか…

何でだろう…


「ごめんな、千尋
俺、お前の気持ちも考えんと変な事言うてしもて…

今言うた事はナシで」


「ちゃうねん、聖也

ワタシも一緒に入りたいねんで、それはホンマに思てるねん。

でも、聖也をガッカリさせたくないし…

当たり前の現実やのに落ち込んでしまうねん、自分の体に…」


「そうなんやな…
でも、俺はどんな千尋でも好きやで。

それだけはわかってな」


俺が言うと、千尋は涙ぐんで抱きついてきた。
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