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久美子に依頼を受けた探偵の江藤は、翌日から精力的に動き出し、先ずは新宿に出向いていた。
恭子が消息を絶った可能性が高いスタジオ付近を調べる事が先決だと思ったからだった。
そんな彼の前に、久美子とジローが現れた。
依頼人の突然の出現に、少し戸惑いを見せる江藤だったが…
「どうしたんですか
友谷さん
あっ、金村ジローさん?」
久美子と共に、テレビで見たことのある顔を見て、江藤はさらに驚きの声を上げた。
「おはようございます、江藤さん。
ワタシもやる事がないので、何かお手伝いが出来たらって。
ジローさんも協力していただけるってことで来ていただきました。」
「どうも。
金村ジローです。
久美子とは前からの知り合いでね。
俺も手伝わせてもらうことになったんだ。
役に立つかどうかはわからんけど、自分にやれることは何でもやりますよ。」
「いやあ、金村ジローさんまで来ていただけるとは…
ありがとうございます。」
「ところで、江藤さん。
ワタシ達は何をすればいいでしょうか。」
「ええ。
お話を聞いたかぎりでは、この辺りを調べるのが効果的だと思ったんですが、いきなり壁にぶつかっておりまして。」
「どうされたんです?」
「四年前の事ですし、街行く人に聞き込みするのはナンセンスですから、四年前からずっとここにいる可能性があるのは誰なんだろうと考えていたんですが…」
久美子はジローと顔を見合わせてハッとしたような顔をした。
「ひょっとして、スタジオの守衛さん?」
「そうなんです。
もしかして当時と今と同じ守衛さんだったら何かわかるんじゃないかって思ったんですけど。」
「それだったらワタシ達の方がいいかもしれません。
一般の人は有無を言わさず追い払うように教育されてるから。話を聞こうにも門前払いされるだけです。それならタレントの方が…
でも、ワタシも引退して結構経つし、覚えてくれてるかな。」
「それなら、まだ俺の方がマシかもしれん。
毎週ここでレギュラー番組持ってたんだから。
ごく最近まで。
とにかく行ってみよう。」
三人はスタジオの入り口に向かった。
久美子は、ある程度近づくと、すぐに声を上げた。
「守衛さん
同じ人だよ。」
しかし、ジローは
「いやあ、全然覚えてねーわ。
一々ガードマンの顔なんて見ねえし。
よく覚えてるなあ、久美子」
「タレントする前のお仕事が役に立ったのかな。」
久美子は、大阪で売春業をしているとき、客の顔は一度見たら絶対に忘れないよう教育されていた。
それ故に、度々訪れていたこのスタジオにおいて、出入りのときに挨拶を交わしていた守衛の顔を忘れるわけがなかった。
恭子が消息を絶った可能性が高いスタジオ付近を調べる事が先決だと思ったからだった。
そんな彼の前に、久美子とジローが現れた。
依頼人の突然の出現に、少し戸惑いを見せる江藤だったが…
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友谷さん
あっ、金村ジローさん?」
久美子と共に、テレビで見たことのある顔を見て、江藤はさらに驚きの声を上げた。
「おはようございます、江藤さん。
ワタシもやる事がないので、何かお手伝いが出来たらって。
ジローさんも協力していただけるってことで来ていただきました。」
「どうも。
金村ジローです。
久美子とは前からの知り合いでね。
俺も手伝わせてもらうことになったんだ。
役に立つかどうかはわからんけど、自分にやれることは何でもやりますよ。」
「いやあ、金村ジローさんまで来ていただけるとは…
ありがとうございます。」
「ところで、江藤さん。
ワタシ達は何をすればいいでしょうか。」
「ええ。
お話を聞いたかぎりでは、この辺りを調べるのが効果的だと思ったんですが、いきなり壁にぶつかっておりまして。」
「どうされたんです?」
「四年前の事ですし、街行く人に聞き込みするのはナンセンスですから、四年前からずっとここにいる可能性があるのは誰なんだろうと考えていたんですが…」
久美子はジローと顔を見合わせてハッとしたような顔をした。
「ひょっとして、スタジオの守衛さん?」
「そうなんです。
もしかして当時と今と同じ守衛さんだったら何かわかるんじゃないかって思ったんですけど。」
「それだったらワタシ達の方がいいかもしれません。
一般の人は有無を言わさず追い払うように教育されてるから。話を聞こうにも門前払いされるだけです。それならタレントの方が…
でも、ワタシも引退して結構経つし、覚えてくれてるかな。」
「それなら、まだ俺の方がマシかもしれん。
毎週ここでレギュラー番組持ってたんだから。
ごく最近まで。
とにかく行ってみよう。」
三人はスタジオの入り口に向かった。
久美子は、ある程度近づくと、すぐに声を上げた。
「守衛さん
同じ人だよ。」
しかし、ジローは
「いやあ、全然覚えてねーわ。
一々ガードマンの顔なんて見ねえし。
よく覚えてるなあ、久美子」
「タレントする前のお仕事が役に立ったのかな。」
久美子は、大阪で売春業をしているとき、客の顔は一度見たら絶対に忘れないよう教育されていた。
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