泥々の川

フロイライン

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江藤の元に現れた女は、恭子とは似ても似つかない別人であった。

落胆した江藤だったが、プレイをせず、ちょっとした手掛かりでもいいからと、この女に少し質問をしてみようと思い立った。


「お姉さん

ちょっと人探しをしててね。
少しだけ話をしてもいいかな?

すぐに帰るから」

と、話しかけた。


しかし、女は何も答えず、焦点の定まらない様子で、江藤の方をボーッと見るだけだった。


この女もヤク中か…

江藤は、この世界に蔓延している薬物中毒者達に、憂慮をするしかなかった。


「お兄さん

服脱いでよ
早くやろうよ」


女は、急に喋り出すと、服を脱ぎ始めた。


江藤は、話を聞くのは無理だと感じ、女が服を脱いでいく姿をジッと見つめていたが…


顔は厚化粧で誤魔化しているが、服を脱ぐと、肌の色も悪く、全体的に痩せ気味で、自分が客ならヤル気が失せるだろうなと、思ってしまった。

ただ、若いというのは本当だろうとは思ったが。


既に全裸になった女に、江藤はもう一度だけ質問をしてみようと決め、これでダメなら帰ろうと思った。


「お姉さん

この人を探してるんだけど、知らない?」


久美子から預かっている、恭子の写真を二枚、その女に見せた。


女は相変わらず、目の焦点が合わないような感じだったが、写真をボーッと見つめ、次に江藤の方を見た。


「知ってるよ、この子」

と、フツーのテンションで言った。


「えっ、それは本当?

どこにいるの!」


「ここのお店にいるよー」


女はそう言うと、何が楽しいのか、ケラケラと笑い出した。


「僕は探偵で、この女性を探すよう依頼を受けて
調べて回ってるんだ。

謝礼は必ずするから、この女性に会えるように話をしてつけてくれないか?」


「謝礼って、お金はいらないよ

もっとガツンと効くお薬をくれんなら考えてもいいよ。」
 

「…」


この女も相当な中毒者だと、江藤は気の毒な思いで見ていた。

腕は注射針を刺した痕だらけで紫色になっている。


「会わせてくれるのかな?」


「うーん…どうしよかなあ」


女は江藤が困ると、嬉しそうに笑った。


「お兄さん、カッコいいから特別に会わせてあげる」


「本当?

どこに行けばいい?
それとも、ここへ連れてくる事は可能かな?」


「うん。連れてくる」


「頼むよ。
店の人達には気付かれないようにね。
特にさっきのお婆さんとかに。」


江藤が近づいて小声で言うと、女は頷いた。


そして

「連れてきたよー」

と、言った。


「悪いけど時間がないんだ。
本当に頼むよ。」


江藤がイラつきを抑えながら言うと、女はニヤニヤしながら

「だからあ、連れてきたって言ってるでしょ?


と、大笑いして言った。

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