泥々の川

フロイライン

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教育的死導

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久美子は、心配になり、店の前まで行こうと、二、三歩近づいた。

しかし、歩みを止めざるを得なかった。

江藤とジローがヤクザと思しき、先ほどの連中に囲まれるようにして外に出てきたからだ。

万事休す…

久美子はパニック状態に陥りながら、その場で江藤とジローが連れていかれるのを、ただ、見つめるしか出来なかった。

店の前では、江藤、ジロー、ヤクザ四名、少し離れて久美子、そんな彼らを訝しがりながら、中に入ろうとする客と、カオスな状況となっている。


しかし、店に入ろうとしていた客と、何故か江藤が会話を交わしているではないか。

そして、その客は、ヤクザの方にも話をしているように見えた。

久美子は、何事かと、会話の内容を確認するために、少し近づいてみると…

客に対し、ヤクザのリーダー格の男が話をしているところだった。

「よくわかりませんなあ。

どうして警察の方が、こんな店に?」

男は不服そうに言ったが

「今日相談に来られた方がここにいて、新宿龍神会の組員も一緒にいる。

到底知り合いとは思えませんが、どうなんですか?」

警察?の男が、江藤とジローに向かって質問すると、二人とも首を横に振り

「いえ、いきなり踏み込んでこられて、連れ出されようとしたところです。」

江藤がすかさず言うと、警察の男は頷き、ヤクザの方に視線を移した。

「とりあえず、お二人を放しなさい。」


久美子は、突然の出来事に、わけが分からず立ち尽くしていたが、警察らしき男が、自分達が相談に行った時に話を聞いてもらった柳原刑事だとわかり、安堵の表情を浮かべた。

梁川等は憮然とした表情で、柳原を睨みつけていたが、埒が開かないとわかったのか、渋々退散していった。


柳原は、ジローと江藤に

「大丈夫ですか?
ケガはありませんか?」

と、声をかけた。


「刑事さん、これは一体…」

江藤は、ヤクザに危うく連れ去られそうになったという事で、少し体が震えていたが、すぐに柳原に質問した。


「ワケは後でお話しします。

それよりも、先ずは佐野恭子さんを保護しないといけません。」


「いえ、今日は休みだそうです。」


江藤が言うと、柳原は首を横に振った。

「休みであろうが店に出てようが、ここにいる事には変わりませんよ。

さあ、行きましょう。」


柳原は先に店に入っていった。


江藤は、久美子の方に視線を送ったが

「行きましょう」

と、いう即決の言葉が返ってきたため、三人は柳原に続いて店の中に入っていった。
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