泥々の川

遮る者

大阪での仕事とプライベートの用事を済ませ、久美子は、新幹線に乗り、三時間余りかけて東京に戻ってきた。


東京駅にはジローが迎えに来ており、ホームで会うなり、サッと久美子のボストンバックを受け取り、肩にかけた。


「久美子、腹減ってねえか？」


「うん。新大阪で食べてきたわ。
ジローちゃんは？」


「俺も軽く済ませといた。

じゃあ、まっすぐ帰るか。」


久美子とジローは、タクシーに飛び乗り、二人の家に舞い戻ってきた。



「やっぱり、家は落ち着くねえ、ジローちゃん。」


久美子は家に入るなり、ジローに言った。


「狭いながらも楽しい我が家～ってか。」


「そうそう。
全然広いけど。」


「それにしても、久美子

お前、毎週毎週大阪に一人で行くの、大変だろう？

次から俺も付いて行こうか？」


「ううん。
地元だし、実家に戻れることもあるから、体も気持ちも全然ラクなの。
だから、大丈夫よ。」


「そうか。

まあ、実家で親父さんに会うのも楽しみの一つだもんな。
邪魔しちゃ悪いから、やっぱやめとくわ。」


「ジローちゃん、そんなのは全然いいのよ。

気にしないで。


それとね、昨日実家でお父さんに、好きな人がいるって言ったのよ。」


「えっ！

俺の事？」


「そう。」


「それはマズイよ。
こんなジジイのことを…」


「ううん。

ちゃんと歳の事も言ったんだよ。
そしたら、今度ちゃんと挨拶がしたいって。」


「マジかよ…」


「だからさあ、ジローちゃんさえよければ、今度一緒に三人でご飯でも食べに行かない？」


「そりゃ…

久美子や親父さんがいいって言うなら…」



「楽しみ増えちゃったわ」


久美子はニヤニヤしながら、ジローを見つめながら言うと、抱きついてキスをした。

「おい、びっくりすんじゃねえか！」


しどろもどろになりながら、顔を真っ赤にするジローに、久美子はかまわず、頬や耳にキスをしまくった。

「えーっ、イヤなの？

キス…」


「なわけねえだろ！

こんなとこでキスしたら、ヤリたくなっちまうって話さ。」


ジローは久美子の背後に回り、豊満な乳房を両手で持ち上げるようにして揉んだ。


「あんっ！

ジローちゃんのえっち…」


この瞬間に、二人共エンジンがかかってしまい、気がつけば全裸でベッドの上で体を絡み合わせていた。


年齢こそ三十以上離れている二人だったが、体の相性は恐ろしいほどに良く、そして、気持ちの面でも固い信頼で結ばれ、最高の関係を築き上げていた。