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初陣
翌日、俺は予備校の授業を終えると家とは逆の方向へと向かった。
早速今日から店で働かせてもらう予定だったんだけど、化粧も何も出来ないもんだから美咲さんの家で変身させてもらい、それから一緒に出勤するという段取りになっていた。
マンションの下に着きエントランスで部屋番号を押すと、スピーカーから美咲さんの声が聞こえてきた。
「あ、西村です…」
「はあい。上がってきて。」
美咲さんの声は少し低めではあるけれど男性だった名残を一切感じさせない女性そのものの声だ。
「いらっしゃい、ユキちゃん
さあ 入って。」
昨日と同様笑顔で部屋へ招き入れてくれた美咲さんだったが、昨日と違う点は今日の美咲さんは化粧をしてない 。
いわゆるスッピンてやつだった。
「ごめんなさいね、見苦しいところ見せて。まだ化粧してないのよ。」
そう言った美咲さんだったが、化粧なんかしてなくても肌もキレイだしすごく可愛い。
ベースが女顔なんだな…
「いえ、美咲さんて化粧なしでもすごくキレイですよ。」
俺が言うと美咲さんは少しはにかむような笑顔を見せた。
「ユキちゃんは口下手っぽい感じだけどなかなかお世辞もうまいわね。
でも、この世界では必要な部分だから。」
「いえ、お世辞なんかじゃありません。事実です!」
「ありがとう。じゃあ、早速準備始めちゃおう。ゆっくりで良いからメイクの仕方とかを覚えていってね。」
「はい。頑張ります。」
俺は元気よく返事し、昨日のように鏡の前に座った。
美咲さんはやっぱりスゴイ !
あっという間に俺を女の顔に仕上げていく。
10分もしないうちに完成させてしまった。
俺もいずれはこんな風にメイクが出来るようになるのか…
全く自信がない…
全ての準備が整った。
「ユキちゃん、ちょっと待っててね 。私も支度するから。」
「はい。化粧はともかく、女性用の下着はどうも苦手です。ちゃんと履けてる気がしません…」
「全ては慣れよ、慣れ、ユキちゃん。」
美咲さんは笑って言った。
さあ、初出勤だ!
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