或る実験の記録

フロイライン

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使者

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「女から男への性転換薬?
そんなものが…」

「実用段階に入っているらしい。
キミの時のように拉致して実験というわけにはいかんだろうから、治験に時間がかかるだろうがね。

まあ、聞くところによると反社に委託するって話さ。」


「反社?」


「ああ。反社組織ならいくらでもモルモットを引っ張って来れるだろうからね。

借金苦とか、犯罪に手を染めてどうにもならなくなった人間とか。そういう奴は平気で妻や娘を提供してくれるさ。

そういうわけで、薬自体を入手するのは簡単とは言わないが、全く無理な話ではない。」

「と、言っても…」

「あと、もう一つ探って欲しいことがある。」

「ええっ!無理です」

「こっちのは、開発が済んでるのか済んでないのか、さっぱりわからない。
ただし、性転換薬よりインパクトがあるらしい。」

高山がそう言うと、黙って聞いていた伊藤が口を挟んだ。

「今回、私が嵌められて全ての罪を背負わされたのも、もう一つの計画に気づかれたくないからだと思う。

明るみに出したくないっていう、奴らの思惑が見え隠れしている。」

「奴らって?」

「それはわからん。
少なくともファイン製薬の社長は間違いなくその中心にいる。

だが、政治家の協力なしでは無理だろう。
その政治家ってのが誰だかわからんのだ。」


「そういうわけで、先ずは伊藤先生に男に戻ってもらい、汚名を晴らすために頑張ってもらおうじゃないか。

そして、もう一つの謎も暴いてもらい、我々も含めて危険な状況から脱しよう。

頼んだよ、吉岡奈緒ちゃん。

微力ながら私も出来る限りの協力をするから。」

高山は相変わらずの冷たい視線をこちらに向けながらも、口元は少し綻んでるような気がした。
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