新 或る実験の記録

フロイライン

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「你是目标?」


「快点带我出去!」


「抓住这个家伙!」


聞き取れない言語がワタシの耳元に届いた。


三人の男のうち一人はワタシの口を押さえ、ナイフを突きつけている。

もう一人はロープを取り出して、ワタシの手足を縛ろうとしている。

もう一人は大きな袋を用意していて、手足を縛り上げ次第、ワタシにそれを被せるつもりだ。

どちらにしても大ピンチだ!


(もうダメだ…

殺される…)


ワタシは自分の肉体の非力さを恨みながら、死を覚悟した。


しかし、次の瞬間

「菅原さん、目を閉じろっ!」

と、玄関の方から日本語が聞こえてきた。


「えっ!」


ワタシはようやく意味のわかる言葉に、即座に従った。

男達は皆ワタシの方を向いていたので、不意に後ろのドアが開けられた事に、たじろぎを見せた。

その時だ

何か大きな音がしたかと思うと、目を瞑っていてもわかるくらい眩しい光が、辺り一面を覆った。


ようやく目を開けると、機動隊?みたいな完全防備の人達がドカドカと中に入ってきて、ワタシを連れていこうとしていた外国人を拘束した。

何が何かわからないまま、呆然とするワタシに、最後に中に入ってきたスーツ姿の男が、近づき、手を差し伸べて起こしながら

「大丈夫ですか?」

と、言った。


外国人三人が手錠をかけられ外に出されている間、ワタシは奥の部屋でその男と一緒に、その光景を見つめていた。

でも、すぐに我に返ったワタシは、男に質問した。


「あの、これは何なんですか…」


「拉致未遂事件ですよ。」

と、表情を変えずに言った。

拉致?

未遂?


この人、警察の偉いさん?

でも、何か雰囲気が違うなあ。
見た目はどこにでもいそうなサラリーマンのような風貌に服装だ。

なかなかイケメンで、まあ、ワタシのタイプではある。

「すいません、あなたは誰なんですか?
警察の人??」

ワタシの質問に、男は首を振り、呟くように言った。


「普通は名乗らないんですが、ここまで大きな事件に発展したからには、もういいでしょう。

私は公安外事四課の三浦といいます。」


「公安…」

何かのドラマで見たことあるぞ。


「菅原さん
あなたには悪いが、囮となっていただきました。」


「囮?」


「ええ。
今回、あなたを含め、センターの十名には私どもの監視が付いていました。

誰がターゲットであっても良いように。

そして、あなたがターゲットになった。

今のところ、他の人達は皆無事なようです。」


「すいません

全然話が見えないんですが、詳しく教えていただけませんか。」


「それはワタシから話をさせてもらうわ。」


そう声をかけてきたのは…

吉岡センター長だった。


「先生!

なんでここに…」


「ごめんなさいね、菅原さん

今回のあなた方へ与えられた休暇は、敵を誘き出すために我々が仕掛けた罠なの。
勿論、万が一に備えてはいたんだけど、危険な目に遭わせてしまって本当に申し訳なく思っています。」

「…」

吉岡先生は、今はセンター長として、ワタシ達をサポートする仕事をしているが、現在も警視庁に所属する警官で、今回の作戦にも参加していたらしい。

作戦?…作戦て…何?
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