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EP20 縛りプレイと闇を刈るもの 2
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「……あぶねぇっ! 『加速』!」
漆黒の玉が飛んでくると同時に、トールは『加速』を使い、アルデリアとフレイを両脇に抱えて橋の方へと低く跳躍した。そのまま橋の上まで飛んで倒れ込む。その3人の上空を、漆黒の玉が高速で過ぎ去り、先ほどまで立っていた場所で爆発した。
黒い煙をあげながら、その地面は深くえぐれている。
「間一髪だったな……。あんなの喰らったら、一撃で終わりだったぜ……!」
アルデリアも起き上がりながら、目の前のデュラハンを見据えた。
「……それでトールさん、今回の作戦は?」
「作戦?」
「ええ、いつも戦闘の際には、すぐに作戦を思いついているのでしょう?」
「……ない」
「え?」
「今回ばかりは、何も思いつかないぜっ! いくらなんでも、こんなやばそうな敵、倒せるとは思えないだろっ!?」
「むぅっー! こんな時こそ役に立って欲しいのですのにー!」
「もうっ、こんな時に喧嘩してる場合じゃないでしょ! 『シールド・プロテクション』!」
膝立ちで体制を立て直し、前方に盾を構えたフレイが防御魔法を展開する。
強力な魔法攻撃が外れたのを確認すると、デュラハンは静かに槍を構え直した。そして、体を後ろにのけぞらせると、素早い腕の動きでその槍をフレイに向けて投げつけた。
デュラハンの腕から放たれた槍は黒い妖気のようなものをまといながら、猛スピードで接近し、フレイが展開した防御の壁に激突した。
――パァァァーン!!
ガラスが砕けるような音を立てて、防御の壁は槍によって破壊された。やや勢いを落とした槍は一直線にフレイに向かっていく。
「フレイっ!」
「フレイさんっ!」
トールとアルデリアが同時に叫ぶ。
「くっ! なんとか持ちこたえてっ……!!」
フレイは盾をしっかりと構え、防御姿勢を取った。そして、槍がその盾を直撃した。
――ギィィィィーーン!!
甲高い金属音を発しながら、強烈なスピードで盾を直撃した槍の力に押され、ずるずるとフレイの体は後ろに押し戻された。
「くぅぅっ! す、すごい力っ……!!」
フレイの必死の防御がしばらく続き、ようやく槍がその衝突の力を失うと、すうっと静かに槍はデュラハンの手に戻っていった。
「はぁっ……はぁっ……」
両膝をついてその場にくずおれるフレイ。
「フレイさんっ、いま回復します! 『キュア』!!」
アルデリアがすかさず回復魔法を詠唱する。
「あ、ありがとうアルデリア。『シールド・プロテクション』が、一瞬で無効化されてしまうなんて……」
「あいつ、やっぱただ者じゃないな……」
「ええ、何が有効な攻撃手段なのかもわかりません。私も、攻撃魔法を使ってみますわ!」
アルデリアは回復魔法の詠唱によるクールダウンを待って、すぐに攻撃魔法の詠唱を開始した。
デュラハンは手元に戻った槍を構え、じっと様子をうかがっている。
「これで少しでもダメージを……『稲妻』!!」
アルデリアの構えたロッドから、激しい雷光がデュラハンに向かってほとばしる。
デュラハンはその手の槍を構え直すと、魔法の到達を見計らって大きく振り回した。
――ビィイイン
鈍い音とともに、デュラハンの目の前で雷光は白い光の粒になって霧散した。
「そ、そんな……攻撃魔法を無効化するなんて……」
アルデリアもいつになく厳しい表情を浮かべて、敵の強さに唖然としていた。
「なら、物理攻撃で攻めろって事だなっ! 『加速』!!」
アルデリアの背後から、青白い光をまとったトールが飛び出した。そのスピードは、デュラハンに再度槍を投擲する暇を与えなかった。
そして、トールがデュラハンの眼前に迫ろうとしたそのとき、重厚な鎧をまとった馬がトールの方を向くと同時に、その口からドス黒い炎を吐き出した。
「ぐわわっ、なんで馬が炎なんか吐き出すんだよっ!?」
空中を飛んでいる最中でほとんど身動きをとれないが、炎の射出スピードをトールの極振りしたAGIのスピードが上回っていた。慌てて体をひねることで、トールは間一髪でその炎をかわした。そして、そのままデュラハンの本体へと上空からダイブしながら、トールは両手にナイフを構えた。
「よしっ、このままクリティカルで決めてやるぜーっ! 『双頭撃』!!」
デュラハンはその様子をうかがいながら、驚く様子もなく、左腕の小手部分を構えて防御態勢を取った。そこへトールは両手のナイフで目に見えない早さの攻撃を連続で切りつけていった。
カンッ、カンッ、カンッ、カンッ……!
トールが小手部分にナイフをヒットさせるたび、激しい光のダメージエフェクトが飛び散った。だが、デュラハンがひるむ様子はなく、数十発の攻撃を繰り出した後、トールはデュラハンのHPバーを見て驚愕の表情を浮かべた。
「嘘だろ……全然HPが減ってないぞ、こいつ!」
攻撃が終わったことを確認すると、デュラハンは右手の槍を一閃、大きくなぎ払った。
その攻撃を攻撃直後の態勢で受けたトールは、アルデリアとフレイのそばまで思い切り吹き飛ばされた。
「ぐ、わ……こいつは、さすがにまずいかも、しれないな……」
「トールさんっ、しっかりしてくださいっ!」
「……無駄なあがきはやめろ……お前ら人間は……排除される運命……」
再び槍を構え、先端にエネルギーを溜めはじめるデュラハン。三人に絶望の色が浮かんでいた。
漆黒の玉が飛んでくると同時に、トールは『加速』を使い、アルデリアとフレイを両脇に抱えて橋の方へと低く跳躍した。そのまま橋の上まで飛んで倒れ込む。その3人の上空を、漆黒の玉が高速で過ぎ去り、先ほどまで立っていた場所で爆発した。
黒い煙をあげながら、その地面は深くえぐれている。
「間一髪だったな……。あんなの喰らったら、一撃で終わりだったぜ……!」
アルデリアも起き上がりながら、目の前のデュラハンを見据えた。
「……それでトールさん、今回の作戦は?」
「作戦?」
「ええ、いつも戦闘の際には、すぐに作戦を思いついているのでしょう?」
「……ない」
「え?」
「今回ばかりは、何も思いつかないぜっ! いくらなんでも、こんなやばそうな敵、倒せるとは思えないだろっ!?」
「むぅっー! こんな時こそ役に立って欲しいのですのにー!」
「もうっ、こんな時に喧嘩してる場合じゃないでしょ! 『シールド・プロテクション』!」
膝立ちで体制を立て直し、前方に盾を構えたフレイが防御魔法を展開する。
強力な魔法攻撃が外れたのを確認すると、デュラハンは静かに槍を構え直した。そして、体を後ろにのけぞらせると、素早い腕の動きでその槍をフレイに向けて投げつけた。
デュラハンの腕から放たれた槍は黒い妖気のようなものをまといながら、猛スピードで接近し、フレイが展開した防御の壁に激突した。
――パァァァーン!!
ガラスが砕けるような音を立てて、防御の壁は槍によって破壊された。やや勢いを落とした槍は一直線にフレイに向かっていく。
「フレイっ!」
「フレイさんっ!」
トールとアルデリアが同時に叫ぶ。
「くっ! なんとか持ちこたえてっ……!!」
フレイは盾をしっかりと構え、防御姿勢を取った。そして、槍がその盾を直撃した。
――ギィィィィーーン!!
甲高い金属音を発しながら、強烈なスピードで盾を直撃した槍の力に押され、ずるずるとフレイの体は後ろに押し戻された。
「くぅぅっ! す、すごい力っ……!!」
フレイの必死の防御がしばらく続き、ようやく槍がその衝突の力を失うと、すうっと静かに槍はデュラハンの手に戻っていった。
「はぁっ……はぁっ……」
両膝をついてその場にくずおれるフレイ。
「フレイさんっ、いま回復します! 『キュア』!!」
アルデリアがすかさず回復魔法を詠唱する。
「あ、ありがとうアルデリア。『シールド・プロテクション』が、一瞬で無効化されてしまうなんて……」
「あいつ、やっぱただ者じゃないな……」
「ええ、何が有効な攻撃手段なのかもわかりません。私も、攻撃魔法を使ってみますわ!」
アルデリアは回復魔法の詠唱によるクールダウンを待って、すぐに攻撃魔法の詠唱を開始した。
デュラハンは手元に戻った槍を構え、じっと様子をうかがっている。
「これで少しでもダメージを……『稲妻』!!」
アルデリアの構えたロッドから、激しい雷光がデュラハンに向かってほとばしる。
デュラハンはその手の槍を構え直すと、魔法の到達を見計らって大きく振り回した。
――ビィイイン
鈍い音とともに、デュラハンの目の前で雷光は白い光の粒になって霧散した。
「そ、そんな……攻撃魔法を無効化するなんて……」
アルデリアもいつになく厳しい表情を浮かべて、敵の強さに唖然としていた。
「なら、物理攻撃で攻めろって事だなっ! 『加速』!!」
アルデリアの背後から、青白い光をまとったトールが飛び出した。そのスピードは、デュラハンに再度槍を投擲する暇を与えなかった。
そして、トールがデュラハンの眼前に迫ろうとしたそのとき、重厚な鎧をまとった馬がトールの方を向くと同時に、その口からドス黒い炎を吐き出した。
「ぐわわっ、なんで馬が炎なんか吐き出すんだよっ!?」
空中を飛んでいる最中でほとんど身動きをとれないが、炎の射出スピードをトールの極振りしたAGIのスピードが上回っていた。慌てて体をひねることで、トールは間一髪でその炎をかわした。そして、そのままデュラハンの本体へと上空からダイブしながら、トールは両手にナイフを構えた。
「よしっ、このままクリティカルで決めてやるぜーっ! 『双頭撃』!!」
デュラハンはその様子をうかがいながら、驚く様子もなく、左腕の小手部分を構えて防御態勢を取った。そこへトールは両手のナイフで目に見えない早さの攻撃を連続で切りつけていった。
カンッ、カンッ、カンッ、カンッ……!
トールが小手部分にナイフをヒットさせるたび、激しい光のダメージエフェクトが飛び散った。だが、デュラハンがひるむ様子はなく、数十発の攻撃を繰り出した後、トールはデュラハンのHPバーを見て驚愕の表情を浮かべた。
「嘘だろ……全然HPが減ってないぞ、こいつ!」
攻撃が終わったことを確認すると、デュラハンは右手の槍を一閃、大きくなぎ払った。
その攻撃を攻撃直後の態勢で受けたトールは、アルデリアとフレイのそばまで思い切り吹き飛ばされた。
「ぐ、わ……こいつは、さすがにまずいかも、しれないな……」
「トールさんっ、しっかりしてくださいっ!」
「……無駄なあがきはやめろ……お前ら人間は……排除される運命……」
再び槍を構え、先端にエネルギーを溜めはじめるデュラハン。三人に絶望の色が浮かんでいた。
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