待ちに待ったVRMMO!でもコミュ障な僕はぼっちでプレイしています…

はにゃ

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第1章 ギルド入会

第二十四話

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 アーノルドさんとドンペリキングさんが心当たりのPCに連絡したあと、僕らはドンペリキングさんの受けたクエストをこなすために街の外に出た。
 ただ連絡待ってるだけだったらクエスト手伝ってよー(泣)というドンペリキングさんに、僕とアーノルドさんはほぼ無理矢理連れられて外に出ることになった。
 時刻はもう真夜中の3時。
 街灯もない夜の草原は真っ暗かと思ったけど、月明かりと星々の輝きで案外そうでもなかった。
 眠気は一切ない。むしろ緊張と興奮で僕の目は冴え渡っていた。
 アトラスの街の周辺は2~3キロくらい広がる草原なんだけど、いまその草原はPCでごった返していた…。

「これみんなゴブリン狩りに来てるんですか?」

 と尋ねる僕にドンペリキングさんが頷いた。

「ああそうよ。でもここら辺にうろついてるヤツらは順番待ちできないあぶれプレイヤーだな」
「あぶれプレイヤー?」

 首を傾げるアーノルドさん。
 僕もドンペリキングさんの言った言葉がわからずに首を傾げた。
 そんなゲーム用語ってあったっけ?

「ああ悪い。俺の造語つうか言葉通りの意味っすよ。狩場の順番待ちすらできなくてただ意味もなくうろついてからそう呼んでるだけっす。つかこんな街の近くなんかにゴブなんてポップしねえっつーの。それがわからねーままあぶれてうろついてる無能のDQNプレイヤーっすよ」

 周りのPCに聞こえるように言うドンペリキングさん。

(口悪いなあ…。思っててもあんな大きな声で言わなくてもいいのに)

 ほらあそこのPC睨みつけてるよ…!ごめんなさい僕はそんなこと思ってませんから!
 むしろドンペリキングさんのほうがDQNだと思いますw

「つかファントムっち。この世界のモンスターってどうやって現れると思う?」
「え、えっと、シンボルでしょう?」
「ブッブー!半分正解。正解はシンボルとランダムのふたつあるんだよファントムっち」

 ファ、ファントムっちって………(苦笑)言いづらくないのかな?
 ていうかアーノルドさんには普通に敬語使ってるのになんで僕にはタメ口なんだろ?
 相手が年下でも敬語はネットマナーの常識でしょう?
 なんか上から目線のタメ口で地味に不快だ。
【TB】でチャットしてたときはそんなことなかったのに………。
 僕が神経質になり過ぎなのかな?
 そんなことを胸の内で思っていると、とりま説明するんで狩場まで歩こうと言うドンペリキングさんのあとを僕とアーノルドさんはついていった。

「ゴブリンつかこの世界のモンスターって基本見えるシンボルエンカウントじゃん?で、倒すと砕け散って消える。そんで時間経つとリポップして周辺をうろつくんすけど、見ての通りそういう場所はプレイヤーが囲んでて順番待ちしてるっしょ?」

 たしかに周りを見回すと草原にいるPCが囲むように円を組んでいて、その中心でPCがゴブリンと戦闘していた。

「最初はみんな適当にゴブ狩りしてたんだけど、そのうち取り合いの横殴りとか起きちゃってさ、横取りすんなボケー!ってガチでキレたプレイヤーがケンカしちゃってパクられちゃったんだよ。横殴りの地雷にキレて牢獄行きってマジウケるwさすが底辺のDQN怖い怖いw」

「はは…」
「………」

 愛想笑いを浮かべる僕と難しい表情をしているアーノルドさん。
 ドンペリキングさんは笑いながら話を続けた。

「で、どこかの効率厨がって俺じゃねーよ?そいつが順番に狩ろうって言い出してそれが採用!こうしてみんなで仲良く円陣組んでるってわけ」

 今どれくらいのPCがインしているかわからないけど、初日だから軽くは超えてるはずだ。その中でゴブリン狩りをしているPCは見た感じ数えるのもバカらしいくらいに多い。ひとつの円陣で百人くらいいるもん………。
 そんな円陣がいくつもあったら半径2~3キロの草原なんてあっという間に埋まるだろうし、順番くるのに何分いや、何時間かかるの?

「あのドンペリキングさん」
「なに?ファントムっち」
「(っちはいらねーよ!)いや、そのゴブリンのリポップってどれくらいなんですかね?」
「ああたしか、草原に湧いて出るゴブは大体5分の出現間隔だな」
「他のゲームと比べても普通の間隔ですね。それでもこの人数をさばくのは時間がかかりますが…。もしかしてドンペリキングさんの狙いはランダムですか?」
「さすがアーノルドさん!正解♪その筋肉はダテじゃないっすねー」

 パチパチと拍手を送るドンペリキングさんにアーノルドさんは苦笑いだ。

「もうひとつのランダムは普通、プレイヤーが遭遇するまで敵が見えない仕様が多いじゃん?この世界のランダムは来るんすよ」

 草原の先には森がある。
 街を囲む草原。その草原を囲むように森が囲んでいる。
 そしていくつかの道が森の一部を切り開いて続いているけど今は関係ないか。

「なんか聞いた話だけど森にはいくつものの集落つうか村があって、その中のひとつにゴブどもの村があるみてー。俺の予想だと多分そっからこっちに来るヤツらがランダムエンカウントととして森から出て来るんすよ」
「その森から出て来るゴブリンを狙うというわけですか?」
「その通りっす!まあこっちも順番待ちがありますけど、がいるんでけっこう狩れる自信ありますよ」

 片頬をあげて自信満々に笑うドンペリキングさん。
 それにしてもとアーノルドさんがドンペリキングさんに向けて言った。

「まだインして間もないはずなのによくそんなに情報を集めましたね。流石はドンペリキングさん他のゲームとはいえ効率厨ギルドのギルマスやってるだけはありますね」
「そうっすか?大したことないっすよ。フィールドでゴブ狩りしてれば場所とかポップ時間とかリポップ時間も自然とわかってくるし、周りの状況なんていやでも耳に入るっすよ。それと受付嬢のアリサとレベッカと桜ちゃんと話してたら色々聞けただけなんで」

 アーノルドさんの賞賛を大したことないとこともなげに言うドンペリキングさん。
 ていうか受付嬢口説いてただけじゃなかったんだ…。
 ちゃんと情報収集してたことを知った僕は、心の中で幻滅暴落していたドンペリキングさんのイメージが少し見直された。
 
「俺…帰ったらアリサとデートするんだ。だから二人とも頑張ってゴブを狩りましょ!俺の幸せがかかってるんでよろしくでーす!」

 前言撤回…。
 いまのドンペリキングさんの発言で株価が暴落しました。
 やっぱり苦手だこの人……。

 話をしているうちに草原の端森の近くまで来たようだ。
 一定の間隔を空けて森から半円を描くように待機しているPC達。
 ああして森から出てきたゴブリンを狩っているのか?
 でもドンペリキングさんが連れてきた場所は誰も囲んでいない場所だった。

「どっかのプレイヤーが有志を集めて、平原にポップするゴブと森から出てくるゴブの出現場所を探し出したんだけど、場所なんすよ」
「?来ない場所に来てどうするんですか?」
「ぶっちゃけただ待ってるだけじゃゴブは出てこないっす。遭遇するまで敵が見えないからランダムなんすよ」
 
 アーノルドさんの問いにドンペリキングさんはそう答えると僕の方に近づき僕の肩に手を置いて笑った。

「というわけでファントムっち。ちょっと森入ってゴブをトレインしてきてよ」
「はああああああ!?」
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