待ちに待ったVRMMO!でもコミュ障な僕はぼっちでプレイしています…

はにゃ

文字の大きさ
128 / 186
第4章 NPC

第百二十一話

しおりを挟む

 アーチェさんが同行することになった僕達は引き続き調査を再開した。
 T字路まで戻り今度は反対側へ進む。

「気をつけて。この先が広場になっているわ」

 ゼルと並んで先頭を歩いているアーチェさんが警戒を促した。

「ゴブリンとゴブリンライダー、あとゴブリンシーフが【隠蔽】で隠れているから気をつけて」
「ゴブリンシーフ?」

 初めて聞く魔物だ。

「ゴブリンシーフは盗賊系のスキルを有していて高い隠蔽スキルを持ってるの。あたしたちはそいつらがいることに気がつかなくて…」

 捕まっちゃったというわけか…
 アーチェさんは【斥候射手スカウトアーチャー
 索敵系のスキルが得意な弓使いの職に就いている。
 レベル二十くらいだけど、アーチェさんが気づかなかいほどの高い隠蔽スキルをゴブリンシーフとらは持っているということになる。

「ゼル、反応は?」
「たしかにゴブリンらしき気配を多数感じますが、隠れている気配は感じませんね」

 ゼルでも見つけられないほどのレベルか…

「あとゴブリンシーフは後ろからの不意打ちをしてきて麻痺毒の武器を使ってきたわ」
「了解…みんな、戦闘になったらできるだけ背中を合わせて固まって戦おう。特にアルとヴァイス、ルーネは気をつけてね」

 状態異常にかかったらまずい人に注意を促して僕達はこの先の広場へ向かった。
 アーチェさんの言う通り、通路の先は広場だった。
 中庭のような吹き抜けの広場には何体ものゴブリンが思い思いの場所で寛いでいた。

 これはチャンスかな?
 先制攻撃を入れて一気に畳みかけようか?

「ギャ!?」

 そう思っていた矢先、ゴブリンの一体がこちらに気付いてしまった。

「くるぜ!」

 カイが素早く前に出ると刀を抜いて正眼に構えた。

「ゼルとアルはカイの左に!」

 僕はそう言うとカイの右側に歩を進めた。
 僕とカイ、アルは通路から出て扇状に広がる。
 後衛のヴァイスとルーネ、アーチェさんはそれぞれの武器を構えた。
 多分この陣形なら背後を襲われる心配はない…と思う。

 ゴブリン達が襲いかかってきた。
 僕に向かってきたゴブリンが槍を突き出した。
 動きが遅い。
 僕は繰り出された槍を身体を半歩ずらすように躱すと前に踏み出して剣を振るう。

「ギャッ!」

 僕の振るった剣はゴブリンの肩口に当たる。
 剣は胸あたりまで食い込んだ。
 傷口から砕け散っていくゴブリン。
 一撃で倒れた。
 弱いな…ってそりゃそうか、ただのゴブリンだもんね。
 数が多くてちょっとウザいけど、この程度なら問題なく対処できそうだ。
 迫り来るゴブリンを蹴散らしながら僕は戦況を確認。

「おらおらどうした!かかってこいやあああ!」
「カイ、前に出過ぎだよ」
「アルの言う通りだ。兄貴の作戦忘れたのか?」

 僕と同様に…いや、それ以上の勢いでゴブリンを倒しているカイ。
 ゼルとアルはゴブリンを倒しながら前に少し出ていたカイをフォローしていた。
 この調子でゴブリン無双していけば余裕で勝てるな。
 ていうかアーチェさんの言ってたゴブリンシーフとやらは見かけない。
 隠れているのかそれとも………

「………」

 後衛のアーチェさんが無言で弓を引き矢を放つ。
 放たれた数条の矢は面白いようにゴブリンの眉間に次々と突き刺さっていく。
 どうでもいいけど僕の真後ろで殺気を込めて矢を放つのはやめてほしい…(汗)
 せめて殺気を抑えるか僕から少し離れてくれないかな…

「…暇だ。俺も無双したい…」
「ヴァイスさん、僕たちの役目はヒーラーですから」
「…必要か?」

 たしかにw
 自分が指示しといてなんだけど、全然って言っていいほどダメージ受けてないし、僕の場合はダメージ受けても外気功スキルの自動回復で全快する。
 ゴブリンのDPSより僕の外気功の回復のほうが速いし、ゼル、アル、カイもリジェネがかかっているから、ヒールが必要なほどのダメージを受けてない。
 ゴブリンシーフの麻痺を警戒してヴァイスとルーネを下がらせたけど、肝心の敵が全然出てこない。
 なんでだろう?これじゃ警戒した意味がないな(苦笑)
 まあ、油断して危険な目に遭うよりかはマシか。
 ヴァイスには悪いけどそのまま待機しててね。

「8…9…10…」

 アーチェさんが弓に矢をつがえ放ちながらなにやら数を数えている。
 殺意と狂気を感じる…
 それ、ちょっと怖いんでやめてくれませんかね…?

『戦闘に勝利しました!』
 etc…


 ゴブリン達を一掃した僕達は辺りを警戒。ていうかゼルが注意深く【索敵】している。

「………クリアです兄貴」

 良かった。広場には敵はもういないようだ。

「なんだよ肩透かしだな」
「おかしいわね…ゴブリンシーフが出てこなかった」
「不意打ちできなくて逃げたんじゃない?」
「とりあえず先に進もうか?」

 僕がそう提案するとみんな頷いてくれた。
 
 
 広場を抜け通路を進む。
 途中、いくつかの部屋がありゼルとアーチェさんに罠の有無を確認してもらってから突入。
 なにもなければそのまま進み、宝箱があればゼルとアーチェさんに安全かどうか確認してもらってから開ける。
 幸いトラップやミミックな宝箱ではなく、普通の宝箱だった。
 といっても開けた宝箱はどれも薬草とかGゴールド。ダマスカス系のしょぼい武器防具しかなかった。
 時々、ゴブリンが部屋にいて襲いかかってきたけど、ゼルかカイに瞬殺され戦闘終了。
 そんな感じで遺跡をマッピングしながら回収と戦闘を繰り返していた。


「兄貴、この扉の向こうからを感じます」

 遺跡の最奥の部屋。
 その扉の前でゼルが言った。
 ということは、もしかしてこの先にクエストボスがいるのかな?
 今のところとしかエンカウントしていない。
 ランクアップクエストにしてはどうも難易度が低い気がする。
 僕達のレベルが高すぎるだけなのかもしれないけど………

「確かに、強い気配を感じるな」

 不敵な笑みを浮かべるカイ。
 る気満々ですね(苦笑)ていうかカイもわかるの?
 他のみんなも戦意充分みたいな表情をしている。
 まあ、若干一名怨みと殺意の波動を放っているけど…(震)

「みんな、準備はいい?」

 僕の問いにみんなは力強く頷いた。

「じゃあ行こう」

 これでただのゴブリンだったらウケるよねwww
 まあ、今の僕達ならホブやシャーマンクラスのゴブリンが束になってかかってきても余裕で倒せる自信がある。
 どんな敵でもかかってこいやあ!って感じで僕は扉を開いた。





 
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

処理中です...