待ちに待ったVRMMO!でもコミュ障な僕はぼっちでプレイしています…

はにゃ

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第6章 迷宮攻略

第百七十八話

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 僕達は探索を続け、廃墟の街並みを一望できる高台までやってきた。
 幸か不幸か魔物とのエンカウントは一度もなかった。
 逆になにも出てこないのが不気味に感じてしまうのは僕がヘタレなだけだろうか?

 眼下にはどこまでも続く廃墟の街。
 ていうかここ迷宮だよね?迷宮じゃなくてまるで別世界に来た感覚に陥ってしまう。
 ここに来るまでかれこれ一時間くらいは歩いたけど、MAPはおおよそ全体の三分の一にも満たない。
 今のところ下の階層に行くには以前通った場所しかないようだ。
 MAPには記録されているから行けることは行けると思うけど……

 ていうかもういいでしょ……帰りたい。

 ここは勇気を出してさくらに帰ろうと言うか。

「っ!?ご主人様あちらをご覧ください」

 そんなことを考えていたらさくらがある方向を指差した。
 
 うん?なんだあれ?

 さくらが向けた方へ目を向けてみるとなにかが動いているのが見えた。
 高台から見下ろした街の片隅に誰かが移動しているのが見えた。

 えっ!?ウソでしょ?

 視界に表示されているMAPにはなんの反応もない。
 PCでもNPCでも誰かいれば反応があるはず。
 なのにMAPにはなんの反応もない。

 隠蔽スキル?なら姿も見えないはず。若しくは僕の知らないスキルか?

「あれなんだろう?」
「わかりません……」

 あれは一体なんなのか、僕は興味を持った。
 敵か味方か現状わからないけど(十中八九敵だろうけど)行ってみるか。

「僕が近づいてみるから、さくらはサポートをお願い」
「かしこまりました。全力をもって援護致します」

 ざっと示し合わせた僕達は高台を降り、動きのあった場所へ向かった。





 周囲に警戒しながら街まで降りて、なにかがいた通りを進んでいくとそれはいた。

「アレ……だよね?」
「あれ……だと思います」

 僕は念の為にさくらに訊ねると首を傾げながらも頷いてくれた。
 高台から見えたなにかの正体はカッポカッポと歩いている馬だった……。

 黒い馬。
 頭上には何本ものHPMPゲージがあり、ネームは【Goetia】

 何度見てもただの馬にしか見えない。
 なのにMAPに表示されないのはどういうことだ?
 馬が隠蔽スキルかなにかを使ってる?それともただのバグ?
 後者は考えられないから前者の可能性の方が高い。

「魔物かな?」
「私には普通の馬にしか見えませんが」

 馬があんな何本もHPゲージあるかな?いやないでしょ。
 そもそもNPCの馬にネームもHPゲージもなかったはず。
 いやでも誰かの持ち物の可能性があるか。
 誰かの持ち物なら名前を付けれるし、あでもあのゲージの数は異常だよな。

 僕達は遠目から馬を見つめていると、くるりと馬がこちらを向いた。
 ばっちり僕は馬と目があってしまった。

「あ」

「シンニュウシャアアアアアア!!!」

 馬が喋った!?

「クセモノダ!デアエデアエエエエェェェエエエ!!!」

 馬がそう叫ぶと、馬の周りにいくつもの魔法陣が浮かんだ。
 その魔法陣からゾンビが次々出てくる。

 ウソッあれって前に宝箱から魔剣とった時に出てきたゾンビ!?

「ご主人様!」
「に、逃げるよさくら!」

 僕達は背を向けて走り出した。
 全力全開ダッシュで馬から逃げる。

「マテエエエェェェエエエ!!!」

 馬の怒声が僕の背中に突き刺さる。

 怖い怖い怖い怖い!なにあの馬!?魔物?絶対魔物だよねアレ。
 とにかく逃げないとヤバい。
 僕は追ってくる気配を背中に感じながらさくらとともに全力で駆け続けた。
 
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