さよならの言葉は風と共に。

ルーさん

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気持ち悪い夢

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「おかしいなぁ~?」

俺は自室から見える花壇を見ながら首を傾ける。

あれから一週間たったのだが、一向に夢から覚める気配がない。

別に俺がいなくても何とかなるだろうけど、PCのパスワード、会長達知らないからなぁ~。

今頃鬼の形相で俺を探し回ってるんだろうなぁ~怖っ!

「はやくおきないとなぁ」

あぁ~余りこの夢は好きじゃないから起きたいんだよなぁ。

『……なら、もうゆずるなんてっ…しらないからっ!』

そう言ってから一週間音沙汰無しの伊吹。

美幸みゆきさんっ!譲がっ!譲がっ!反抗期になっちゃったよ!!伊吹君もつるんで反抗期だよ!!その内髪を赤く染めちゃうよ!!ど、どどどっどうしよう!!日本の男児は反抗期が早すぎるよ!!』

お見舞いに来た元父親を避けたら何故か発狂し、慌てて母さんにすがり付く元父親。

『取り敢えず落ち着きましょう?…それに玄武さん、日本出身日本育ちじゃないですか。』

何故かすがり付く元父親を愛しそうに見ている母さん。



あぁ…気持ち悪いくて堪らない。


俺はお見舞いで置かれた青いカーネーションの花束から一輪花を取りじっと見てから、潰す。

胸の中がぐちゃぐちゃする。何かを吐き出したいのに吐き出せない苦しみ。
まるで全身にウジ虫が這っている様だ。

「いけないよねぇ?…こんなんじゃぁ~」

もっと黒く染まって無いと。この家に白なんて要らない。

白なんて、要らないんだ。

自身が変色させられそうで、恐れる。
また温かいあの頃に戻れると思う馬鹿な考えに、嗤う。


『ぼくたち、ずっとなかよし!!おとなになってもずっと!!』

『譲を本当に愛しているのは私だけよ』

俺には会長達や母さんが居る。だからこんな気持ち悪い場所要らない。

俺には彼等しかいない。

『ーーーか?ーーーーーー脱退ーーー貰う。』

頭に響くダレカの声。とても知っているのに、分からない。

ーーー望月 桃花もちづき とうか

思い出せない声が人物名を上げた。途端何故かドキドキする。

俺は疑問を浮かべながらその名前を何度も読み返す。

何でこんなにドキドキするのか。何故、思い出さなければいけないような気がするのか。

彼を誰にも近づけてはいけない、と思うのか。

彼が何処に居るのか気になる。何をしているのか、気になる。

ーーー何故?
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