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抗争編
2話「カモメの港の暗殺者」
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数年後、昼下がりのムエットの港街、通称「カモメの港」。
サンサンと日差しが照り付けるそんな中、物陰と化している裏路地では1人の少女が壁にもたれて立っていた。
その少女は襤褸を纏っており、足元に転がる物言わぬ死体と化した物を見ながら干し肉を食べていた。
死体から出ている鮮血の溜まりは、まだ先程まで生きていたことを物語っている。
少女はそんな事お構いなく干し肉を食べ続ける。
余りにも異質な光景に見た者は恐らく恐れを抱くだろう。
しかし、少女からは何も感じられない。
言ってしまえば“無”だった。
そんな中、少女から「ピロロ」と明るい音が響く。
少女は干し肉を口にくわえ、襤褸の中に手を突っ込み探る動作をする。
しばらくして取り出したのは、小石サイズの水晶だった。
それは小型の連絡用魔法道具であり、この街はおろか国全土で使用されている物だった。
少女は干し肉を含んだ口を動かしながら、水晶を操作する。
『私の元へすぐにおいで』
そう文字が浮かぶのを見て、少女は口に含んでいた物を飲み込む。
そして、一息ついてから水晶を懐に仕舞い込み、その場から去る。
路地裏から表の道に出ると、日差しが容赦なく彼女を照らす。
襤褸に包まれた彼女は日差しに目を細めながらも足を動かし、目的地へと向かう。
カモメの港のとある一角の隠れ家的場所にある酒場に、先程の少女が足早に現れる。
少女は見た感じ放浪者に見える。
店の客は蔑んだ目で彼女を見ていたが、本人は気にする素振りを見せず、酒場のカウンターに向かって足を進め、店主らしき者に声を掛ける。
「リヤン。レーグルに用があって来た」
凛とした鈴の様にコロコロした声が店内に響く。
見た目に反したその美しい声に、酒場の客は驚いた表情をするが、彼女、リヤンは全く気にせず店主をじっと見る。
店主は特に驚く様子もなく、カウンターの物陰を探すような仕草をしてから彼女を見る。
「お待ちしておりました。こちらを持って、奥へどうぞ」
店主はカウンター越しで店の奥を指しながら先程探す仕草をして取り出した、アンティーク風の鍵を渡す。
リヤンはその鍵を受け取ると迷う素振りを見せず奥へと姿を消す。
そして、慣れた足取りで進んでいくとドアに突き当たる。
ドアは質素な白色の作りをしており、余りにも飾られていないため人がいるようには見えなかった。
コンコンコン。
リヤンは躊躇う素振りを見せず、ノックをする。
軽快な音を響かせてから、リヤンはしばらく待った。
「リヤン。来た」
「あぁ。入りたまえ」
穏やかな春を思わせる様な声がすると、彼女は引き込まれる様にドアノブに手をかけながら、鍵穴に店主から受け取った鍵を差し込み回す。
サンサンと日差しが照り付けるそんな中、物陰と化している裏路地では1人の少女が壁にもたれて立っていた。
その少女は襤褸を纏っており、足元に転がる物言わぬ死体と化した物を見ながら干し肉を食べていた。
死体から出ている鮮血の溜まりは、まだ先程まで生きていたことを物語っている。
少女はそんな事お構いなく干し肉を食べ続ける。
余りにも異質な光景に見た者は恐らく恐れを抱くだろう。
しかし、少女からは何も感じられない。
言ってしまえば“無”だった。
そんな中、少女から「ピロロ」と明るい音が響く。
少女は干し肉を口にくわえ、襤褸の中に手を突っ込み探る動作をする。
しばらくして取り出したのは、小石サイズの水晶だった。
それは小型の連絡用魔法道具であり、この街はおろか国全土で使用されている物だった。
少女は干し肉を含んだ口を動かしながら、水晶を操作する。
『私の元へすぐにおいで』
そう文字が浮かぶのを見て、少女は口に含んでいた物を飲み込む。
そして、一息ついてから水晶を懐に仕舞い込み、その場から去る。
路地裏から表の道に出ると、日差しが容赦なく彼女を照らす。
襤褸に包まれた彼女は日差しに目を細めながらも足を動かし、目的地へと向かう。
カモメの港のとある一角の隠れ家的場所にある酒場に、先程の少女が足早に現れる。
少女は見た感じ放浪者に見える。
店の客は蔑んだ目で彼女を見ていたが、本人は気にする素振りを見せず、酒場のカウンターに向かって足を進め、店主らしき者に声を掛ける。
「リヤン。レーグルに用があって来た」
凛とした鈴の様にコロコロした声が店内に響く。
見た目に反したその美しい声に、酒場の客は驚いた表情をするが、彼女、リヤンは全く気にせず店主をじっと見る。
店主は特に驚く様子もなく、カウンターの物陰を探すような仕草をしてから彼女を見る。
「お待ちしておりました。こちらを持って、奥へどうぞ」
店主はカウンター越しで店の奥を指しながら先程探す仕草をして取り出した、アンティーク風の鍵を渡す。
リヤンはその鍵を受け取ると迷う素振りを見せず奥へと姿を消す。
そして、慣れた足取りで進んでいくとドアに突き当たる。
ドアは質素な白色の作りをしており、余りにも飾られていないため人がいるようには見えなかった。
コンコンコン。
リヤンは躊躇う素振りを見せず、ノックをする。
軽快な音を響かせてから、リヤンはしばらく待った。
「リヤン。来た」
「あぁ。入りたまえ」
穏やかな春を思わせる様な声がすると、彼女は引き込まれる様にドアノブに手をかけながら、鍵穴に店主から受け取った鍵を差し込み回す。
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