転移先は超過保護な人のもと

マナミ

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遂に陛下と会う夏梅

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執務室に着き、ドアを開けるテラージ。

ガチャ…パタン。
「待たせたな。」

「遅いッッ!!待ちくたびれたぞ!!」

陛下と思われるやたら豪華な衣装の人と、その後ろに無言で控える騎士団長と思われる黒服の男性。

夏梅は大きな声にびっくりしてテラージ様の後ろに隠れる。

「そりゃすまんな。」
全く悪びれもせず謝るテラージ。
ハラハラして様子を伺う夏梅。

「ゲフンッ!…テラージよ。夏梅ちゃんを紹介しろ。」

「………………………分かった…………。」
歯切れの悪いテラージ。

「……………夏梅よ………。前に出ておいで………。」

「…はい…。」
声かけられ、テラージの後ろからおっかなびっくり顔を出す夏梅。

「「ッ?!(可愛いぃぃぃぃぃぃぃ!!)」」

陛下と騎士団長の2人にじーーーーーーーーと見つめられる夏梅。

(?!?!なになに?!なんでそんなに見つめるの?!)
2人の様子にびっくりして固まる夏梅。

「お二方、夏梅様がびっくりしております。」

「ッ?!……済まない。あまりにも可愛いくてつい…な。」

「申し訳ありません。」

何故か2人に謝られる夏梅。

何故か2人をギロッと睨むテラージ。

(?!?!)

「…まぁ。とりあえずお二人とも座りましょう。」

セバスチャンさんに誘導され、テラージ様と私はそれぞれ椅子へ座る。

この世界の椅子はとても大きいので、座る時どうしても手こずる。

「んしょっ…と。」

椅子に頑張ってよじ登り、座る夏梅。

「「「「(可愛いぃぃぃぃぃぃぃぃッ!!)」」」」

次は4人に見つめられる夏梅。

(?!?!?!なになになに?!?!)

「ゴホンッ………初めまして。この国の皇帝をしている、フォレスト クロコダイルだ。宜しくな!」

「……マックレガーと申す。騎士団長をしている。」

それぞれにあいさつされた夏梅。

「ぁ…あの…初めまして…。夏梅と申します…。」

この世界に来てからは、セバスチャンさんとテラージ様以外とあまり喋った事のない夏梅。思わず赤くなりモジモジ答える。

「「(可愛いぃ…。)」」

「ゴホンッ!挨拶は終わったな。じゃあ夏梅を部屋に戻してくる。」
そう言って夏梅を抱えあげるテラージ。

「なッ?!テラージ!!そうはさせん!!」

シュパッと夏梅をふんだくり、膝に乗せる陛下。

びっくりして固まる夏梅。

(ッ?!?!)

「なッ?!何をする!!」

「お前が夏梅ちゃんを部屋に戻そうとしたからであろう。私はもっと夏梅ちゃんと話したい。部屋に帰りたいなら一人で帰れ。」

「なッ?!なんだと?!もう夏梅を紹介したであろう!!夏梅はさっきまで寝てたんだ!部屋に帰って寝かしてやるんだ!夏梅を離せ!!」

「ほぉ…?ならば私の腕の中で寝ればいい…。のぉ夏梅ちゃんよ…。」

この状態で眠れる程夏梅の肝は据わってない。

「いえ…もう沢山眠りましたので大丈夫です。」

丁重にお断りする夏梅。

「…だそうだ。…のぉ夏梅ちゃんや、余が持ってきた菓子は食べるかい?王都にしか売ってない菓子だぞぉ~?」

(ッ?!王都のお菓子?!食べたい食べたい!!)

「食べたいです…!」

「ふふ…よしよし。マックレガーよ。あれをここに。」

「はい。」

マックレガーさんの懐から可愛らしいパッケージの箱が出てきた。

(可愛いぃ~!どんなお菓子かな?どんなお菓子かな?気になるぅ~!)

「ふふふ…。そう身を乗り出すでない。可愛いのぉ…。ほれ、今開けてやるぞい。」

ガサ…ガサガサ…

陛下がパッケージを開けてくれた。

すると可愛らしい見た目のクッキーが入っていた。

(可愛いぃ~!美味しそぉ~!どんな味かな?どんな味かな?)

「ふふふ…。ほんに可愛いのぉ…。思ってる事が顔に出ておるぞぃ…。今食べさせてやる。…それ、あーん…。」

「あー…ん。」

今までテラージ様やセバスチャンさんから普通に給餌行為をされていた夏梅。あーんと言われたら無意識に口を開ける癖が出来てしまっていた。

「「ッ?!何をしているん(ですか)だ!!!」」

テラージとセバスチャンが叫ぶ。

「何を驚いている。女性のお世話をするのは当たり前だろう?…まぁ給餌行為は別物だがなぁ…。」

「…?別物…ですか?」

首を傾げる夏梅。

「(可愛いぃ…)夏梅ちゃんは知らなかったのかい?この世界では基本的に男性は女性のお世話をするのが当たり前とされてはいるが、給餌行為やお風呂の世話や洋服の着替えなど、女性の身に触れる行為は夫や親しかやらないぞ。」

「ッ?!?!そうなんですか?!?!」

「あぁそうだよ。…という事で、これからは余も夏梅ちゃんのパパになってやろう。テラージとセバスチャンの2人だけで夏梅ちゃんの世話をするのは大変であろう?余も夏梅ちゃんの世話をしに来てやるぞい。この国の皇帝にこんな事をさせるんだ。感謝するがいい。」

「「ッ?!ダメ(です)だ!!!!!」」

またもやテラージとセバスチャンが叫ぶ。

「何を言ってるんだ。実際2人だけでは大変であろう?余も手伝うのだから感謝するがいい。しかも余が父親になればテラージでは防ぎきれない敵ももう手は出せまい。テラージはこの国では余の次に身分が高いから、数多の貴族は相手になるまいが、他国の王族では話は別だ。その時に余の身分は役に立つぞい。テラージもそれは充分分かっているであろう?」

「くッ………!」

「でももし余やテラージが不在の時に、セバスチャンだけでは貴族からの攻撃には対処できない。その時に騎士団長は役に立つぞい。余は信用のおける者はむしろ夏梅ちゃんの近くに置いておいた方が良いと思うぞ。なぁに、余は寛容だから騎士団長が夏梅ちゃんの護衛兼夫になる事を許そう。…お前もそろそろ諦めろ。ちゃんと夏梅ちゃんの事を考えてやるんだ。お前の嫉妬心は理解できるが、それだけでは大切な者は守れないのだぞ。お前も理解できるだろう?」

「……………………………………………。」

「テラージよ…。諦めろ。…余は夏梅ちゃんが気に入った。余は本当は夏梅ちゃんを妃にしたいと思っている。夏梅ちゃんを一度知ってしまったら手放せる訳ないであろう?…だけど夏梅ちゃんに余計な負担はさせたくない。王妃になればそれこそ国外の王族や貴族を相手にしなければならない。それはあまりに可哀想だ。界渡りしてきた落ち人である夏梅ちゃんにそんな負担はさせたくない。ただでさえここに慣れるのだけでも大変なのに、可哀想であろう?だから王妃にはせずに夏梅ちゃんの父親になってやろう。そうしたら夏梅ちゃんは国内国外問わず、どの身分の人間でも手は出せまいよ。なぁ?どうだ?」

「……………………………………分かった………………。」

「ふふん。いい返事だ。…という事でこれから宜しくな!」

「宜しくお願い致します。」

陛下と騎士団長に宜しくされた夏梅。

急な話で全くついていけない。

頭を抱えてショックを受けるテラージ。

口を開けて固まるセバスチャン。



カオスである。

そして緊張しすぎて、クッキーの味は全く分からなかった。
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