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8 微睡みの中で・・・

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 あれから、何度イかせて、何度イったんだろうか?

ふわふわとした気持ちがいっぱいのまま、幸せ気分に浸っていた私は雫の胸に顔を埋めたまま眠っていたみたいだった。





「・・・あ、気がついた?」



 くすっと笑った雫が少し照れくさそうな顔をして私を見つめていた。


「・・・わたし…寝ていたんじゃなくて気を失っていたの??」


 とりあえず雫の上から身体を退かそうとして腕を突っ張った…のに、力なく私の身体はへにゃっと音を立て、再び雫の上に倒れ込んでしまう。


「あ…あれれ?力が入んない…?」
「そりゃあ、杏奈ちゃんってば、10回は果ててるんだもん。力入んないくらい消耗してると思うけどなぁ…」

え・・・?

私、そんなにイってるの?

 キョトンとする私の顔を面白そうに見つめながら雫はクスクスと笑いながら話しだした。


「あんなに乱れちゃってる杏奈ちゃん、すっごく可愛くて…つい、もっと乱れさせちゃいたくなっちゃったからさぁ……」

あは,あはははは・・・。
たしかに…後半は気持ち良くなっちゃって・・・
何度もおねだりしていた気がする・・・(汗)


「雫だって何度かイったでしょ?なんともないの?」

・・・そうだよ。
たしかに、彼女だって潮を吹いちゃうくらい乱れてイっていた…はず。


「…なんともなくは、無いよ。正直、おトイレに行くのすら厳しくて。足ガクガク」

えへへっと苦笑いして頭を掻く彼女には罪悪感は少しも感じられないようで。
 でも、私は…。
こんなことを、たくさんしちゃって・・・正直かなりの罪悪感が覆い被さってきていたのだった。


「ごめん…雫。私、あなたにとんでもない事を・・・」



女の子同士。



ありえない組み合わせ。


そして、お互いの恥ずかしい所を攻め合い、卑猥なことをする行為…。




正直言って、正常なことではない。



「…どうして謝るの?」

私の言葉を聞いた彼女はキョトンとしながら私を見つめた。


「だって、女の子同士なのにこんなこと…しちゃったんだよ?おかしいんじゃない??」


 世間的に見たら…白目で見られて後ろ指刺されるようなこと…しちゃってるんだと私は思っていたから。

でも、彼女はそうは思っていなかった。



「何がおかしいの?私達、好き同士で、お互いを求めあっただけだよ?なんにも間違ったことなんてしてないと思う、けど?」

「…でっ、でもっ・・・」
「…杏奈ちゃんは気持ち良く無かったの?」

「そっ…それは…その……」

め、めっちゃめちゃ気持ち…よかったです、はい。


「こういうのって、お互いを好きじゃなかったら成立しないと思うんだよね~…。
だって、お互いの大切な場所を無防備になって触らせて、しかも、それを気持ち良く感じられるって事は、よほど相手を信頼してないとそうはならないっていうか…
上手く言えないんだけど、つまり・・・」
「…つまり?」

「少なくとも間違ってない!って私は断言できるっ!ていうこと☆」

そう言うと、雫は私をぎゅううっ!と強く抱きしめてきた。


「そりゃあ、まあ・・・そうかもしれないけど」

「…じゃあ、杏奈ちゃんは私のこと、嫌いなの?」

いや、そんなことはない!!
それは、断じて違う!
私の恋愛スイッチだってオンになったままだよ!

ぶんぶんと大きく首を横に振る私を見た雫は、更に抱きしめる力を強めてきた。


「…ちょっ・・・いたい、いたいっ」
「あ、ごめん。強すぎた、かな?」

てへっ☆と舌を出しておちゃらける雫を見て、ちょっとだけ…悩んじゃった自分がバカバカしくなってきた。


「お互いがお互いを好きなんだもん。他に理由なんて要らないじゃない?」


・・・たしかに、それは、そうだ、ね。



「大丈夫、だよ。私と杏奈ちゃんの二人なら、他に何があっても怖くないから。ほんとだよ?」



この、能天気な考え方は流石というか…
でも、確かに私だって雫がいれば・・・
この先、きっと何があっても怖くはない…と、思う。

・・・感化、されちゃってるなぁ…私(汗)



・・・でも、ま、いいか♡








 ホテルを出た私達は、車をレンタカー屋へ返したあとそれぞれの家に帰り・・・。



 私は雫と身体を合わせられたことで幸せに満ち溢れていた。

・・・これが、好きな人と思いを遂げた…って言う事なんだ…。
 なんて・・・幸福感だろう。


 男の人がセックスしたら世界が変わるって言う話をしているのを聞いたことはあって。
そんな話はただの満足感だけなんじゃないかな?って思っていたけれど。


今なら言える。


それは、紛れもない事実だった、っていうこと。




まあ・・・私達の場合は同性同士で、世間的に見たらやっぱりおかしいことなのかもしれないけど・・・。


私は信じたい。


わたしが彼女を好きになった気持ちと


雫がずっと私を好きでいてくれた事実と


私と彼女がお互いを好きである気持ち。




お互いの愛を確かめあった時の、肌の触れ合う暖かさと、心地良さ。

これは、何モノにも替えがたいことである、ということを。




ただ、問題があるとすれば


父さんや母さんがこれを知ったらどう思うか、ということだけど。
今は、まだ・・・そんな事、心配しなくっても…いいよ、ね?



・・・私達の本当のお付き合いは、始まったばかりなんだから…。






・・・おしまい☆

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