『異界酒場 ルーナ』

みぎみみ

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第3巻

第28話 兄との再会

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五月の夜、王都。

ルーカスが城の外壁近くに来ると、見張りの兵士が驚いた顔をした。

「……ルカシュ様!」

「久しぶりです」

「お生きでいらっしゃったんですか」

「生きていました。色々あって、遠くにいました」

兵士が走っていった。

しばらくして、松明の灯りとともに人が来た。

長い銀色の髪の男。

ルーカスよりも背が高く、顔が似ている。

長男のエルロだった。

二人は向き合った。

しばらく、何も言わなかった。

「……生きていたか」

「生きていた」

「どこへ行っていた」

「遠い場所」

「三年も」

「三年、そこにいた」

エルロは少し目を細めた。

「怪我はないか」

「ない。元気だ」

「父が……半年前に亡くなった」

「そうか」

短い沈黙。

「カインは」

「争いを、止めた。三年前、お前が消えた後に。お前が消えたことで、俺たちの争いの愚かさを見た」

「……そうか」

「俺たちのせいで、お前がいなくなった。それが分かったら——続けられなかった」

エルロはルーカスの肩に手を置いた。

「……帰ってきてくれてよかった」

ルーカスはその言葉を聞いて、少し目が熱くなった。

「探してくれていたんですか」

「ずっと探していた。どこへ消えたのか、三年間分からなかった」

「遠い世界にいた。でも——悪くない時間だった」

「悪くなかったのか」

「悪くなかった」

エルロはルーカスの顔を見た。

「……少し変わったな、お前」

「変わりましたか」

「前より、落ち着いた目をしている」

「三年、人の話を聞き続けたので」

「人の話を?」

「長い話になります。後で話します」

「聞かせてもらおう。今夜は、帰ってきたことを祝う」

「蜂蜜酒がありますか」

「もちろん」

「それを飲みましょう」

二人で歩き始めた。

城の門が開いた。

故郷の夜が、ルーカスを迎えた。
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