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異世界に召喚された四人の高校生。
三人は【剣聖】【聖女】【大魔導】。
俺――鳴海カイだけが、【解体屋】だった。
「ハズレか。城に置いておく理由はない」
渡されたのは、ルーン硬貨二十枚と、廃棄箱の底の錆びた短剣一本。
レベル1。力6。剣聖の七分の一。
でも俺には、ひとつだけ見えるものがあった。
装備の中を走る、光の「継ぎ目」。
使いこむほど成功しやすくなる「なじみ」。
続けて強化すると失敗しやすくなる「ひずみ」。
この世界の誰も知らない、魔導エンチャントの“仕様”だ。
+6から先は、失敗すれば装備が灰になる。
王国の常識は「強化は+3まで。それ以上は狂気の沙汰」。
――だったら、確率ごと育ててやる。
道具屋が買い叩くボロから精錬石を取り出し、
ひずみを冷やし、なじみを積み、石を選んで、一回ずつ。
ときにはロストして、灰になった剣の前で立ちつくしながら。
盾を構える没落騎士の娘ノエル。
精錬石のにおいを嗅ぎ分ける猫耳の少女ルゥ。
理論は完璧なのに石にさわれない眼鏡の魔導士セラ。
火山の街、湖の都、獣人の国、死者の都、海の向こうの竜の大陸。
【鉄】【銀】【金】から【赤】【青】【黒】【骸骨】【竜】【古代の英知】へ。
そして、錆びた短剣が七つの色を喰らったとき――
レベルでも職業でもない、“育てたもの”の差が、魔王を圧倒する。
*全100話完結済み
文字数 72,643
最終更新日 2026.10.23
登録日 2026.10.23
大庭稔(おおば・みのる)、四十一歳。自動販売機に飲み物を補充して回るルート配送の仕事を、十九年。家と会社を往復するだけの毎日で、スマホのメモに書きためた「いつかやりたいことリスト」――畑、薪ストーブ、ハンモック、犬――は、ひとつも叶っていなかった。
ある夕方、トラックを降りたら、そこは知らない村の丘の上だった。理由はわからない。帰り方もわからない。
「だったら、ここでやるか。スローライフ」
空き家を借りて、畑を耕して、自分ひとりで暮らすつもりだった。ところが塩は買えない、鍬は作れない、パンの焼き方も知らない。
ひとりで生きるつもりだったおじさんが、村の仲間と「ちょうどいい暮らし」を見つけるまでの一年間。
文字数 182,820
最終更新日 2026.10.11
登録日 2026.10.09
朝の通勤電車で、隣の男の声が聞こえた。
口は閉じたままだった。
宍戸恭司、三十四歳。業務用資材の卸会社「伊庭興産」の総務課、主任。
独身。怒鳴られても笑って頭を下げるのが、十二年間の仕事だった。
心が読める。手を使わずに物が動く。人の気持ちを、少しだけ大きくできる。
試しに、課長の頭の中の不安を、毎日少しずつ大きくしてみた。
十日目、課長は自分の不正を、泣きながら白状した。
だから決めた。
まずは、この会社をもらう。
次は、会社の金を吸っているヤクザの組をもらう。
その次は、街を。国を。世界を。
使うと体が冷える。甘いものがないと、指が動かなくなる。
それでも、彼は一度もためらわない。
正義の味方は来ない。来たとしても、彼には心の声が聞こえる。
――ただひとり、何も聞こえない刑事を除いて。
※暴力・脅迫・犯罪の描写があります。主人公は最後まで改心しません。
文字数 6,753
最終更新日 2026.10.10
登録日 2026.10.10
灰都ロムナの最下層で屍洗いをしているヴィム。死体を洗い、そこに溜まった「澱(おり)」を抜くのが仕事だ。
ある晩、運ばれてきたのは、国じゅうが喪に服している「微笑みの聖女」イーダの遺体だった。
洗い台の縁に腰かけた彼女の霊は、生前の微笑みを捨ててこう言った。
「香水くさい伯爵夫人。プリン泥棒の助祭。ぜんぶ呪う」
この世界の魔法は、死者の澱で撃つ。そして澱は、感情が汚いほど強く燃える。
愛や正義はほとんど燃えない。燃えるのは妬み、恥、見栄、食い意地、そして怨み。
国でいちばん清らかだったはずの聖女の澱は、国でいちばん真っ黒だった。
「くだらない怨みだな」と笑ったヴィムは、すぐに知ることになる。
香水の下に隠されていたのは、施療院から盗まれた薬の腐ったにおいだった。
金が欲しい屍洗いと、怨みを晴らしたい聖女。
汚い者どうしの契約が、灰色の都の「綺麗な嘘」を一枚ずつ剥がしていく。
文字数 148,037
最終更新日 2026.10.09
登録日 2026.10.03
ダンジョンが現れて十年。探索者は稼ぎ手であり、そのすべての行動は法律で全世界へ生配信することが義務づけられている。
惨めなところも、下手なところも、全部映る。
事務所は三十社に落ちた。保険は下りない。父が遺した装備ローンの残り、一千八百四十二万円。
同時接続は三人。
そんな奏は、悪質な配信仲間の罠で未踏区域に置き去りにされる。回線は切らせてもらえない。全世界に晒されたまま、死ぬまでを見せろということだった。
視界に、数字が浮かんだ。
【生存確率 1.0%】
――なら、100%に書き換えるまでだ。
ただし動かせるのは、自分が損をしたぶんだけ。上げた確率は、どこかから抜いてくる。ゼロには、札は置けない。
底辺であることだけが、この男の資源だった。
これは、笑っていた世界を一パーセントずつひっくり返していく、成り上がりの配信記録。
文字数 5,463
最終更新日 2026.09.26
登録日 2026.09.26
目を覚ますと、森の奥の石室にいた。名前は「レイ」。覚えているのは、それだけだった。
ポケットには、見覚えのある字で書かれた焼け焦げた手紙が一枚。
「俺へ。思い出すな」
ステータスを開けば、全魔法適性、全スキルLvMAX。ただし【休息 Lv1】。
どうやら前の俺は、休み方を知らない働き者だったらしい。
うっかり初級魔法で山を削り、盗賊団を指一本で縛り上げ、罠にかかった銀色の子狐「シラタマ」を拾い、借金のかたに決闘を迫られていた没落騎士の娘リリアを助けた。
森の廃屋を直して、畑を耕して、露天風呂を作って、もふもふを吸う。ごはんを作って、みんなで食べる。それだけで、休息スキルがちょっとずつ上がっていく。
――なのに、行く先々で耳にする百年前の伝説「灰の賢者」の話が、なぜか他人事に思えない。
そして記憶のかけらがひとつ戻るたび、どこかで空にひびが入る。
思い出したら世界が滅ぶ。思い出さなければ、大切な人を守れない。
元社畜の最強魔導師が、もふもふと仲間たちと「本当の休日」を取り戻すまでの物語。
文字数 93,870
最終更新日 2026.09.21
登録日 2026.09.21
文字数 133,343
最終更新日 2026.08.13
登録日 2026.08.13
東京・渋谷から少し外れた路地の奥、築五十年のビルの地下一階。看板は小さく、知っている人しか辿り着けない。
カウンター八席、テーブル二卓。深夜零時から夜明けまでの営業。
ルーカス(本名:ルカシュ・ヴァルド)
異世界の小さな王国の第三王子として生まれたが、王位継承争いに巻き込まれ、魔法陣の暴走によって現代日本に転移してきた。外見は三十代前半の白人男性。銀灰色の髪と、光の加減で金色にも見える瞳を持つ。日本語は「声の魔法」で習得した。
他人の「最も深い渇望」が視える力を持つ——それは意識的な欲求ではなく、本人すら気づいていない魂の底の叫び。酒や料理を通じてその渇望に応える。
自分の力を「呪い」だと思っていた時期もある。今はただ、使い道を見つけた、という感覚でいる。
文字数 152,924
最終更新日 2026.03.09
登録日 2026.03.09
紙に「斬」と書いたら神話級の短剣ができた。「守」と刻んだら神話級の盾になった。木下真が異世界に転移して気づいたこと――自分の話す日本語は、この世界では三万年前に消えた「幻の言語」で、書かれた文字は最高位の神話級アイテムを生み出すらしい。しかも声に出した言葉にも力が宿り、強い感情を乗せれば現実に干渉する。おまけに黒髪黒目の自分は幻の種族の末裔として注目の的に。スローライフがしたいだけなのに、盗賊、国の陰謀、エルフの策略、魔王の影が次々と降りかかる。隣には強烈に可愛くて容赦のないロリ美少女・ユナがいる。今日も誰かが助けを求めてくる。スローライフはいつ来るんだ。
文字数 628,167
最終更新日 2026.03.08
登録日 2026.02.21
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