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第4巻
第14話 アメリアの実験報告
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十二月の末。
「成功しました」
アメリアが来た。目が赤い。泣いていたか、眠れていないかのどちらかだ。
「小物の転移実験が、成功しました」
「おめでとうございます」
「ありがとうございます。昨日の夜から今日にかけて、連続して成功しました。誤差は計算通りの範囲内で」
「それは大きな一歩ですね」
「大きな一歩です。ただ——」
アメリアはグラスを受け取って、少し飲んだ。
「次のステップが、また難しくて」
「どんな問題が」
「安全性です。今は物体だけ。生き物を転移させた場合、無事に届くかどうかの理論的な証明が、まだできていない」
「それはどのくらいかかりますか」
「最短で半年。でも、一年以上かかる可能性もあります」
「急ぐ必要はないですよ」
「ルーカスさんは急いでいないんですか」
「急ぎたい気持ちはありますが……向こうに行けたとしても、帰ってこられなければ意味がないので」
「双方向の転移は、さらにその先です」
「分かっています。でも、アメリアが研究を続けてくれている、ということが——大事です」
アメリアはグラスを持ったまま、ルーカスを見た。
「向こうで、誰に会いたいんですか」
ルーカスは少し考えた。
「……たくさんの人に。バーを任せた夫婦に。毎夜来ていた常連たちに。教えてもらったことが多い老教授に」
「どんな人たちですか」
「私が力の使い方を見つけることを、教えてくれた人たちです」
「ルーカスさんに、そういう人たちがいたんですね」
「いました。全員、今も向こうにいるはずです」
「会えるといいですね」
「会えるように、研究を続けてください」
「続けます。今年の年越しも、計算します」
「それは……少し休んでください」
「だめです。突破したい部分があって」
ルーカスは少し笑った。
アメリアは発泡酒を飲み干して、「来年もよろしくお願いします」と言った。
「こちらこそ」
扉が閉まって、また一人になった。
年が明けようとしていた。
ヴァルド王国での最初の年越し。
蜂蜜酒を一杯作って、一人で飲んだ。
今年も、よかった。
向こうでも、よかった。
どちらも、よかった。
それが今年の答えだった。
「成功しました」
アメリアが来た。目が赤い。泣いていたか、眠れていないかのどちらかだ。
「小物の転移実験が、成功しました」
「おめでとうございます」
「ありがとうございます。昨日の夜から今日にかけて、連続して成功しました。誤差は計算通りの範囲内で」
「それは大きな一歩ですね」
「大きな一歩です。ただ——」
アメリアはグラスを受け取って、少し飲んだ。
「次のステップが、また難しくて」
「どんな問題が」
「安全性です。今は物体だけ。生き物を転移させた場合、無事に届くかどうかの理論的な証明が、まだできていない」
「それはどのくらいかかりますか」
「最短で半年。でも、一年以上かかる可能性もあります」
「急ぐ必要はないですよ」
「ルーカスさんは急いでいないんですか」
「急ぎたい気持ちはありますが……向こうに行けたとしても、帰ってこられなければ意味がないので」
「双方向の転移は、さらにその先です」
「分かっています。でも、アメリアが研究を続けてくれている、ということが——大事です」
アメリアはグラスを持ったまま、ルーカスを見た。
「向こうで、誰に会いたいんですか」
ルーカスは少し考えた。
「……たくさんの人に。バーを任せた夫婦に。毎夜来ていた常連たちに。教えてもらったことが多い老教授に」
「どんな人たちですか」
「私が力の使い方を見つけることを、教えてくれた人たちです」
「ルーカスさんに、そういう人たちがいたんですね」
「いました。全員、今も向こうにいるはずです」
「会えるといいですね」
「会えるように、研究を続けてください」
「続けます。今年の年越しも、計算します」
「それは……少し休んでください」
「だめです。突破したい部分があって」
ルーカスは少し笑った。
アメリアは発泡酒を飲み干して、「来年もよろしくお願いします」と言った。
「こちらこそ」
扉が閉まって、また一人になった。
年が明けようとしていた。
ヴァルド王国での最初の年越し。
蜂蜜酒を一杯作って、一人で飲んだ。
今年も、よかった。
向こうでも、よかった。
どちらも、よかった。
それが今年の答えだった。
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