『異界酒場 ルーナ』

みぎみみ

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第4巻

第21話 東京の夢、続き

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六月。

深夜。

夢を見た。

東京のルーナの夢だった。

カウンターに、高橋が立っていた。

清子が、奥のテーブルで何かを書いていた。

佐野が来て、「いつものを」と言った。

梶原が来て、演奏会のチラシをカウンターに置いた。

礼奈が来て、本を一冊手に取って読んでいた。

晴樹が来て、「今日は電車に乗れました」と言った。

篠田先生が来て、本棚の前に立って何かを考えていた。

全員が、今夜もいた。

夢の中で、ルーカスはドアを開けた。

全員が振り返った。

「……ルーカスさん」と誰かが言った。

「帰ってきました」と言おうとした。

でも、目が覚めた。

明け方の光が、石造りの壁に差し込んでいた。

ここはヴァルド王国だ。

東京ではない。

でも——夢がくっきりしていた。

全員の顔が、声が、はっきり見えた。

「……会いたい」

一人で言った。

この言葉が、今朝は特別に大きく聞こえた。
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