『異界酒場 ルーナ』

みぎみみ

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第5巻

第12話 ユーリとアメリアの話

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十二月。

ユーリが一人で来た。

今夜は少し珍しく、グラスを受け取ってからすぐに話し始めた。

「アメリアに、正式に気持ちを伝えた」

「どうでしたか」

「……受け取ってもらえた」

「それは、良かった」

「良かった。でも、研究が終わるまでは研究を優先したい、と言われた」

「それは、断られたわけではないですよね」

「断られてはいない。ただ、今は研究が全てだ、と」

「アメリアの研究は、今年中に大きな壁を越えそうです」

「そうだな。だから、待てる」

ユーリは蜂蜜酒を一口飲んだ。

「待つのは、得意じゃないが——待てると思う」

「なぜですか」

「待っている間も、アメリアは存在しているから。離れているわけじゃない。ただ、今は研究の時間で、それが終わったら——その先がある」

「それは、成熟した待ち方ですね」

「成熟か。少しずつ積み重ねてきたので」

「そうです。ここで話してきたことが、積み重なっています」

ユーリはグラスを傾けた。

「ルーカス、来年の春に向こうへ行くか」

「行きます」

「また戻ってくるか」

「必ず戻ってきます」

「……俺の誕生日は来年の十一月だ」

「覚えています」

「待っていてくれるか」

「お待ちしています」

ユーリはグラスを飲み干した。

「それだけ確認したかった」

「来ましたか、確認のために」

「そうだ。あとは酒を飲みたかっただけだ」

「正直ですね」

「ここでは正直でいることにしている」
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