『異界酒場 ルーナ』

みぎみみ

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第6巻

第13話 ヴァルドへ戻る

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五月末。

今度は三人でヴァルドへ戻った。

アメリアとユーリも一緒だった。

光が収まると、王都の夜。

春の終わりの夜。

「……帰ってきた」とユーリが言った。故郷の言葉で。

「帰ってきましたね」とルーカスが言った。

「向こうも良かった。でも——ここが好きだ」

「ここが好きなのは正常です。ここが故郷だから」

「お前は、どちらが故郷だ」

「どちらも故郷です」

ユーリは少し間を置いた。

「……そういうことが言えるようになったのは、どのくらいかかったんだ」

「三年くらいです」

「三年か」

「最初は、どちらへ帰ればいいか分からなかったです。でも今は——どちらへ行っても帰ることだと分かりました」

「それが分かると、どうなる」

「軽くなります。どちらへいても、軽くなります」

ユーリは夜の王都を見た。

「……軽くなるか」

「なります」

「今は少し、軽い気がする」

「それは——東京へ行ったせいかもしれない」

「そうかもしれない。向こうを見たことで、ここの見え方が変わった」

「変わるんです。外から見ると、見えなかったものが見える」

三人で歩いた。

王都の夜の石畳。

ルーカスは歩きながら、思った。

二つの世界の夜を、この足で歩いてきた。

コンクリートと石畳。

どちらも、自分の足に慣れた地面だ。
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