自殺し屋

代々木翠

文字の大きさ
上 下
1 / 6

殺し屋

しおりを挟む
「ねぇ、私を殺して」



僕の名前は河合三樹(かわいさんじゅ)
本業 学生兼殺し屋
殺し屋と言っても殺すのは死を望んでいる人だけだ。
「あなたが今回の依頼者ですね。
では殺す前に身元確認の為に本名年齢死因(ここで言う死因は死にたいと思った理由)を教えてください。」
「名前は斉藤由貴(さいとうゆき)16歳生きてても辛いだけだから死にたいの」
「そうですか…  では、今から質問することに答えてください。」
「ちょっと待ってよ。まだ殺してくれないのさっきも思ったけど死因とかなんで言わなきゃいけないの?あんたはさっさと私を殺せばいいの。」
「僕は快楽殺人鬼ではありません。取り返しのつかないことをする前に確認を取らなければいけないので、それが飲めないなら僕はあなたを殺せません。」
「はぁわかったじゃあ早くして。」
「ではなぜ生きてるのが辛いのですか?」
「…一年前くらいにお父さんが死んだの。それからお母さんは私のことなんか置いてけぼり、私の事が嫌いだからって怒ってばっかで、挙句の果てに男に騙されてばかりで、今日でもう一ヶ月も帰ってきてないし、だからもう死にたいの。」
「ではあなたのお母さんはなぜそのようになってしまったのですか?」
「はぁ、だからお父さんが死んだっていったでしょう。」
「それは聞きましたけどそれであなたのお母さんがおかしくなったって本人からきいたんですか?」
「聞いてるわけないでしょ、ってかそうに決まってるでしょ。」
「もしそうじゃなかったらどうするんですか。あなたはその勘違いで死ぬつもりですか?」
「……でも男と一緒にいるところを見たのよ私のことなんて忘れたまま。」
「じゃあ今日はもう帰ってください。
一週間後気持ちが変わらないならまた来てください。」
「えっ今日は殺してくれないの!?」
「死ぬまでの一週間思い残しも言い残しもないようにでは」
安心してください一週間後はちゃんと殺してあげます。





しおりを挟む

処理中です...