女神の幼女体で異世界生活

さんらいず

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第2章 平穏を求める

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静まり返った食堂の中、一巳さんが思い切ったように発言した。

「それは、俺たちの命の安全は保証されているのか?」
「え? えーっと…」

確か、ギルド長が書いていた契約書には…『戦闘に参加した契約者が命が失われる程の脅威に晒された場合、戦闘を破棄する権利を有する』とかなんとか、難しい言葉で書いてあったけど…死にかけたら逃げていいってことだよね?

「は、はい。契約書にそんな内容があったので、多分大丈夫かと…」
「契約書ってなんだ?」

あ…

「ぎ、ギルド長が私がここに向かう前に契約書を渡そうとしてきて…そこにそんな内容があったので…」
「…そうか」

うう、大丈夫かな…せめて5人は集まってくれないと、かなりの死者とか出るらしいし…(ギルド長の計算)

「じゃあ……2つ目の質問だ」
「え、あ、はい」

まあ、そんなすぐに決めてくれるわけないかぁ…

「例えば、俺たち全員がこの話を拒否した場合、どうする?」
「あ、それは、大丈夫、だと思います。まだセントラルに帝国軍が侵攻してくるまで時間があるので(ギルド長曰くあと一週間くらい)、エルゼル王国の王都まで逃げる時間はありますし、ギルド長からも強制はしないと聞いています…」
「そうか」

僕が答えると、一巳さんが笑ったような気がした。

「では、結論だ。参加するかしないかは自由とする。ここに居るみんなはじっくりと考えてくれ。死にそうになったら逃げてもいいとは言え、怪我はするだろうし、何より俺たちは人を殺したことが無い……そういえば、そこはどうするんだ? 俺たちは殺人の経験なんて無いぞ?」
「えーっと…それについては聞いてませんけど、どこかの盗賊の討伐とか、そういうの経験して慣れてもらうしか…それでも無理な場合は、無力化でも構いません」
「…わかった。では、この場は解散とする。明日の朝と夜にも集まろうか。朝は参加するかしないかだけを聞く。明日の夜にはどっちにしろ出発だ」

一巳さんがさっさと決めて行っているが、誰も反論はしない。それだけ頼れる人ってことなのか…それとも単純に強いからなのか…

夕飯をさっさと食べて、颯人さんのところへ向かった。

「あ、リアちゃん。じゃあ、部屋に戻ろうか」

颯人さんは何も変わらずにいた。こんな危ない話を持ってきた僕が怖く無いのかなぁ…

部屋に戻ると、夕方と同じようにちょっとしたもので遊んで、また同じベッドで寝た。
考える様子も見受けられない。断る気満々なんだろうか…



翌朝

「おはよー、リアちゃん」
「…ふぇぁっ!?」

…起きたらまた颯人さんが目の前に…! 僕の驚き方が気持ち悪かった…

…ふう。

「お、おはようございます、颯人さん」
「…うん、おはよう」

なんだか颯人さんは不機嫌そうだ。

「あの…どうかしましたか?」
「んー…ねえリアちゃん」
「はい?」
「いつまでその口調なの?」
「へ?」

口調?

「その敬語口調だよ! せっかく2日一緒に寝たのに、親近感のかけらも見当たらない…」
「え、えっと…これに慣れてしまって…」
「やだ! 私だけでもいいから、普通の口調にして!」
「え、えっと…わかりました」
「ほらそれ!」
「…わかった…」

颯人さん…ゴネてるのが、なんだか可愛かった。

「じゃあ、朝ごはん食べに行こうか」
「は…う、うん」

早速颯人さんに睨まれた…

食堂に行くと、一巳さんはもう朝食を食べ始めていた。

「お、リア、颯人、おはよう」
「一巳さん、おはようございます」「一巳、おはよう…」

颯人さんが睨んでくるけど…勘弁してほしいなぁ…流石に他の人はまだ…

3人で朝食を食べていると、全員集まったところで一巳さんが話し始めた。

「よし、じゃあ全員の希望を聞くぞ」

…緊張してきた…5人未満なら撤退も…いや、住民が突っ込んでっちゃうなぁ…

「先ずは、不参加の人は手を挙げろ」

…誰も、手を挙げなかった。

「じゃあ、全員参加だな。次、条件参加の人」

ここで、4人程が手を挙げた。颯人さんもだ。
って、条件参加? どういうことだろうか…

「あとは普通に戦闘に参加だな。リア、わかったか?」
「え…えっと、あ、ありがとうございます! それと、条件参加って、何ですか?」
「あぁ…颯人も含めて、4人は戦闘向きの能力じゃないんだ。だから、後方支援などに回してほしいということだな」
「そ、そうですか! 構いません! 多分…皆さんをセントラルにお連れしてから、ギルド長に話してみます」
「おう、頼んだぞ」

条件付きも含め全員参加なんて、考えてもいなかった。見たところ、戦闘をしたく無いという人(3人)が条件付き、颯人さんが後方支援という感じだろうか。これなら、十分に街を守れそうな感じだ。僕はそれほどあの街に愛着があるわけじゃないが、依頼だし、親切にしてもらったシャルルさんや門番の人たちが住んでいる街だから…ちゃんと仕事しないと…でも、これで僕の出る幕は無さそうだな…
僕が全員参加に驚きながらも今後のことを考えていると、一巳さんが笑いながらこちらに歩いてきた。

「よ、リア。驚いたか?」
「えっと…はい…5人前後集まったらいいかなぁ、と思ってました」

僕がそういうと一巳さんは苦笑した。

「元々はそんな感じだった。けどな、人数が少ないと、あの子リアも戦闘に参加するかもしれないぞって言ったら、全員が参加表明したよ」

一巳さんはそう言って笑った。
…なんだか複雑だけれど、それでみんなが集まったなら、それでいいかな。
そんな感じに和んでいると、食堂に3人の気配が近寄ってきた。
この食堂には逃げる勇者の全員が揃っているはずで、誰かが来るのはおかしい。僕は急いで姿を隠す魔法を使った。

「『不可視化インビジブル』」

使ったのは光属性魔法だ。


「よお、一巳共々。久しぶりだなぁ…」
「何の用だ、達也。こんなところに来るなんて珍しいな。しかも取り巻きまで連れて」

一巳さんが達也と呼んだ少年…おそらく、ほかの勇者だろう。

「いやぁ…今日は気分がいいんでねぇ…ちょっくら報告によ」

なんだか、それほど仲が悪そうにも見えない…

「一体何なんだ…」
「『あのダンジョン』クリアしたぜ? 俺たち3人でな!」

その瞬間その場が凍りついた。『あのダンジョン』って…何かやばいところなのか…

「今日はそれだけだぁ…んじゃ、一巳、元気でなぁ~」

そう言って3人は食堂を去って行った。いや、本当に仲が悪そうに見えないし、いい人にしか見えなかった。
…1人しか喋っていなかったけど…

僕は魔法を解いて一巳さんを見ると…一巳さんは難しそうな顔をして何かを考えているようだった。
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