女神の幼女体で異世界生活

さんらいず

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第2章 平穏を求める

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「それは…………勇者です」
「…は?」
「脱出したがっている勇者達を使うんです。人族至上主義達への制裁っていう大義名分を与えれば多分大丈夫ですよ」
「ふむ。しかし数が足りないだろう。逃げたがっている勇者の数は10人ちょっとじゃないか」
「それがですね…」

反対派の勇者の数は賛同派と比べてかなり少ないが、戦力の面ではそうでも無かった。
賛同派の中には大した能力も持っていないくせに調子に乗っているバカもかなりいるそうで…2対1で戦っても勝てるそうだ。相性にもよるが。
主力は一巳さん他3人。どれも大罪スキルに似た能力らしい。颯人さんは戦う事には向いていないそうな。

「ふむ……まあ、いいだろう。勇者たちの同意が得られれば、だがな」
「わかりました!」

さて! 勇者たちのところに戻ろうかな!

「ん? リア、戻るのか?」
「はい……戦力としてここにいた方がいいですか?」
「いや、まだ大丈夫だ……それと、この書類を持って行ってくれ」
「これは……」

渡されたそれは、契約書だった。おそらく、勇者達を信用させるためのものだろう。だけど…

「これ、返って疑われませんか?」
「むむむ…まあ、いいだろう」
「そうですね。それじゃあ、行ってきます」
「気をつけろよ」
「はい」

ギルド長の執務室を出て、街の外へと向かう。シャルルさんには会わなかった。
森の入り口辺りで、周りに人がいないことを確認してから、帝都の城へと転移魔法を行使した。



「わっ…なんだ、リアちゃんか……お帰りー」
「あ、すいません…ここに飛ぶのがちょうどいいかなぁと…ただいま帰りました」
「うん…それでさ、リアちゃん」
「何でしょうか」
「……暇なんだよね。何かして遊ぼ?」
「………」

颯人さんって、勇者だよね?

「あの、颯人さんは訓練しないんですか?」
「……えーっとね…能力が戦闘向きじゃないからさ…」
「あー……すいません…」
「ううん、いいよー別に」

むう…それじゃあ、何して遊べば……あんまり知らないんだよな…

「あ、リアちゃん、将棋って分かる? そろそろ売り出されてる筈なんだけど…」
「え? あぁ、知ってますよ」
「………じゃあ、将棋やろうか」
「はい…」

将棋かぁ…少しだけお爺ちゃんに教えてもらっていたけど…
というか、売ってるんだね。帝国では流行ってたりするのかな。

10分後…

「負けました…」
「ふふっ。もう一回やる?」

颯人さん、強すぎる…もう一回…!


そうやって時間を潰していると、昼食の時間になった。
…まあ、僕の分なんて無いけど。
仕方ないので昼食は抜きにする。

「ごめんね、リアちゃん。お昼ご飯無しなんて…」
「いえ、大丈夫ですよ…ちょっと前までそうでしたし」
「あ、そうなんだ~」

そうやって、のんびり過ごしていった。
そういえば、こんな時間は久しぶりな気がするなぁ…
これまで色々あって、忙しかったし…謹慎中もギルド内の雑用やらしてもらってたから、何もせずに遊んでばかりの日々は村での生活ぶりかなぁ…

そういえば、防衛の件についてはいつ話そうかな…こんな平和に暮らしてる人たちに言うのは気が引ける…まあ、攻めてきてるのはこの国なんだけど…訓練って結構きついんだろうなぁ…

よし、夕飯の時間に言おうかな。食堂は脱出予定の勇者の人達だけで集まって食べるらしいし。
でも、全員が同意してくれるとは限らない。人数足りなくなったら…僕も参戦…かな。


色々考えながら颯人さんと遊んでいると、すぐに夕飯の時間になった。

「なんだか緊張するなぁ…」
「ん…? どうかしたの?」
「あ、いえ、何でもないです」

颯人さんには先に言おうかと思ったけど…やっぱり一斉に言った方が良い気がしたので、やめておく。

「おーい、颯人ー、リアー、食堂に来いよー」
「「はーい」」

そういえば、何故か僕の呼び方が呼び捨てに…まあいいか。僕年下だし。
あ、そうだ。
聞きたいことがあるので、一巳さんを追いかける。

「一巳さん、今日の夕飯全員揃いますか?」
「うーん…全員いるはずだぞ…何か言うことでもあるのか?」
「あ、はい。みんな揃ったらお伝えします」

うーん…一巳さんは…なんか心配になってきた。
多分、人種差別反対派と戦争反対派の2つがあると思うんだよなぁ…
戦争反対派の人は多分、嫌がるんじゃないかな。僕が出るのは必至かぁ…シャルルさんをどうやって説得しよう…


「あれ? リアちゃんは何食べるの?」
「あ、私はセントラルで買ってきましたので」
「え? 荷物なんて持ってたっけ?」
「いえ、収納系の魔法使いました」

これは凄い便利だ。でも、魔力量で容量が決まってしまうので、魔力が少ない人はあまり使う意味が無い。そもそも習得難易度が高いので、使える人自体が少ないのだ。
…僕はすぐに覚えたけれど…

「…そんな便利なのあるんだ…」
「はい。私は結構魔力量あるので、日常的に使ってます」
「ふーん…ボクも覚えようかな…」

颯人さん、魔法使えるのかぁ…使ってるところ見たことないけど。
あと、颯人さんの一人称が「ボク」だった! ボクっ娘!……なんか変態みたいだからやめよう…

じゃあ、そろそろ…
大声出すのは苦手なので、一巳さんに呼びかけてもらう。

「えと、一巳さん…」
「あ、わかった………おーい、みんな。リアが話があるそうだ」

一巳さんが勇者の人達に声をかけると、一気に僕に視線が集まった。
うぅ、緊張する…朝も同じ事やったんだけど…

「えっと、多分今から言うことは結構重要…というか、勇者の皆さんの命に関わることなので…しっかり聞いて欲しいんですけど…」

命に関わることと言うと、急に真剣な表情に…

「えっと……先ず言っておきます。これは有志です。強制じゃありません。まあ、誰も参加しなかったらそれはそれで問題ですけど…前置き長くてすいません。勇者の皆さんには…防衛戦に参加していただきたいのです」

そして、その場は静まり返った。


うぅ、気まずい…
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