女神の幼女体で異世界生活

さんらいず

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第2章 平穏を求める

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(一部三人称)




王国派勇者のリーダー格、永田一巳は、手に持っていた最後の鉄板を襲いかかってきたオークの頸動脈に向けて転移をさせる。
頸動脈を鉄板によって切断されたオークは異物感に鉄板を引き抜くと、傷口から血が吹き出し、そのまま出血性ショックで死んだ。
これが、王国派勇者最強の戦い方だった。

「…ちっ…」
「どうしたの?」

一巳に声をかけたのは、一巳の幼馴染である稲荷颯人だ。彼女は、一巳のグループの回復役だった。

「いや…板が切れた。一度戻るか?」
「戦線はどうするの?」
「セントラルの人たちに任せるか…あいつたちに任せるか?」
「うーん…」

一巳のグループには、颯人以外に2人の勇者もいた。が、2人とも範囲攻撃ができないので、大量の魔物を相手にするのは難しい。

「仕方ない、そこらの石でやるよ」
「わかった…それにしても、ボクの出番ないなぁ…」
「仕方ないだろ、誰も怪我しないんだから…」
「一般の兵士さん達のところはダメなのかな…」

颯人は、一度セントラル兵の治癒に向かおうとしたが、一巳に止められていた。

「いや、お前の回復はレベルが高すぎるんだよ。それがいつかあっちがわ帝国派勇者に知られて、狙われたとしたらどうする? 俺には24時間ずっとお前を守るなんて、正直できそうにないからな」
「わかったよ…」

実際、颯人の回復スキルの効果は異常だった。
簡単に言うと、死んでなければ誰でも直ぐに全快してしまうのだ。
しかも、病気まで治すことができ、体力回復もできる。回復系統では一番効果が高い回復スキルだったのだ。

一巳と颯人は、近くにセントラル兵と自分たちのグループの勇者しかいないことを確認してから、木の根元に座り、休息をとることにした。





僕は、東門に向けて全速力で走っていた。
とはいえ、幼女の身体能力じゃ、大人が早歩きする程度でしか走ることができない。
身体強化魔法を使いたいところだけれど…この体は元が脆いので、使ってしまうと後々に体への負担が重すぎて動けなくなってしまうのだ。

…それはともかく

何故、迷いの森から魔物が? いや、迷いの森だけじゃないかもしれない。もしかして、三方向から…?

嫌な予感が頭をよぎり…直ぐにその考えを捨てた。
迷いの森の平原寄り、平原(正面 )、西側の森の全てに勇者が配置されているはず…魔物は、食い止めて欲しい…

そして、迷いの森の方は、一応勇者はいる。が、それはあくまで平原寄りの配置。東門はガラ空きなのだ。
故に、僕は非常に焦っている。そのせいで、僕は何かを見逃してしまうかもしれないのに…



当たり前だが、東門は閉ざされていた。外に出るために、短距離の転移魔法で門の上に転移する。
眼下には、凄惨たる光景が広がっていた。

残っている兵士は、もうほとんどいない。その兵士達がなんとか標的を自分に向けているおかげで、門に魔物が向かわずに、街が守られている状態だった。

僕は思わず参戦する。

「っ! 【風刃】」

大きめの風の刃を飛ばして、奥の方にいる魔物の首を全て飛ばす。
次に、小さめの風刃を多めに飛ばして、兵士たちと戦っている魔物を殺した。

僕は生きている魔物が近くにいないことを確認すると、怪我をしている兵士達のところへと向かった。

「だ、大丈夫ですか!?」
「何故こんなところに子供が…俺たちは大丈夫だから、早く街の中へ…」
「全然大丈夫じゃないですか! 待ってください、直ぐに回復魔法をかけるので…」

兵士たちは、皆大怪我をしていた。逆に言えば、それで済んでいたのだ。それで済まなかった者達は…全員死んでいた。
兵士たちは、回復魔法という言葉に驚いたが、直ぐに気を取り直して、「お願いする」と僕に向けて頭を下げた。

「…それで、何があったんですか?」
「…恐らく、参謀から聞いているのだろう? あいつが、一度こっちに来たからな」
「…はい。魔物が大量に襲って来たと…しかも、帝国軍に味方して…」
「ああ…」

ふと、僕は一つ違和感を覚えた。

「…そういえば…」
「どうした?」
「ここには、魔物の死体しかないのですが…帝国兵もいたんですよね?」
「ああ…それなんだが…途中、急に帝国兵が撤退し始めてな…それで…予想外の事態に冒険者ギルド長に何か指示をもらおうとしたら…ギルド長、そして、その補佐の女性がいなくなっていたんだ」
「……へ?」

ギルド長は東門の指揮官だ。そして、多分補佐の女性っていうのはシャルルさんだろう。
でも、いなくなった…?

それはつまり…

「連れ去られたかもしれない、ということだ」

その言葉を聞いた瞬間、僕は走り出した。
向かう先は、広域の探知魔法で大量の反応があった、帝国軍の陣地だと思われる場所へ。
後ろで兵士たちが何かを言っていたが、僕に聞く余裕はなかった。







一巳は休息を終えると、3人を集めて話し始めた。

「何か…おかしくないか?」
「「「…………」」」

その言葉には、他の3人も同意のようだった。

「魔物が、多すぎるんだ。それと、帝国兵も見つからない。そこで、誰か1人セントラルに戻って、どこかの門の指揮官から話を聞いて来て欲しいんだ」

一巳の意見には、反対は出なかった。だが、誰も立候補もしない。

「セントラルへは、俺が転移で飛ばすんだが…それでも無理か?」

すると、1人の男…地球で、教師をやっていた勇者の1人が手をあげた。

「帰りは、自分で?」
「すみません…敵が来たら、対応しなければいけないので…」
「わかった。それじゃあ、頼むよ」

そうして、一巳は転移で勇者をセントラルへと転移させると、直ぐにあたりを警戒し始めた。







僕は、帝国の陣地に一番近い森の木に登って、様子を伺っていた。
陣地の中央には、少しばかりのセントラル兵の捕虜がいた。

「……【水】」

水でレンズを作り、望遠鏡にして、捕虜の顔を見ていく……と、一番奥の方に、シャルルさんの姿を見つけた。

縛られることもなく。

殴られた跡もなく。

淡々と、帝国兵の一人と、話し込んでいた。

は、頭が真っ白になった。
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