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第2章 平穏を求める
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僕は今、門前の広場に立っている。街にはすんなりと入ることができた…が、一巳さんが広場にある露店に興味津々で、冒険者ギルドに向かうことができない。
普通に声をかければいいのだけれど、凄く楽しそうなので邪魔をしづらい。
結局、落ち着くまで待つことにした。
「…すまない、珍しいものだからつい夢中になってしまって…」
「いえ、大丈夫ですよ。帝国では露店はないのですか?」
「うん…一つも無いよ。治安が悪くてね。露店なんて出したら、直ぐに襲われてしまうんだ」
「そ、そうですか…」
それは…そんなに住みにくいなら、なぜ住民達は出て行かないのだろうか…?
一巳さんに聞いてみると…
「外へ行くにも危険なんだ。帝国軍は盗賊の討伐を行おうとしないからね。護衛を雇おうにも冒険者が少ない。そのせいで依頼料が高くなって…税金が異常に高いせいで、雇うお金も無い。それに、帝国…特に帝都の人々の殆どは人族至上主義の信者だからね…帝国の方針には反対しないんだ」
「……」
な、なんだそれ…なんか少しだけ昔の日本に似ている…
「………」
「………」
ち、沈黙が痛い!
「そ、それでは冒険者ギルドに向かいましょうか…」
「う、うん、わかった」
しばらく歩いて、冒険者ギルドに到着した。
中に入ると、一巳さんに入り口で待ってもらい、僕はお姉さんのもとに向かう。
お姉さんはやっぱり受付で仕事をしていた。
「お姉さん! 只今戻りました!」
「…あっ! リアちゃんおかえり! 待っていたよ!」
お姉さんは死んだ魚のような目をして何かの書類を読んでいたが、僕に気づくとすぐに目に光が灯った。なんだかわからないけれど…凄く安心した。
「あの、お姉さん…」
「あ、まだ名前教えていなかったね。私の名前はシャルル。これからは名前で呼んでね」
「はい、わかりました。それで、シャルルさん…ギルド長にあわせてもらえませんか? 早急に伝えたいことがあるので…」
「えっと…それはいいけれど、どんな要件なの?」
「………」
お姉さん…もとい、シャルルさんにこのことをいっていいのかな…一巳さんのこととかは、言っても理解してくれないだろうし…エルフの長老さんからの手紙についても、戦争に関係することだからな…
「えっと…シャルルさんに言ってもいいことかわからないので…戦争に関係すること…です」
「っ!? リアちゃん、また厄介ごとに頭突っ込んだの?」
「ひっ!?」
「まあ、結構重要なことらしいから、お説教は後でね。じゃあ、ギルド長のところへ案内するから、着いて来てくれる?」
「うぅ…わかりました…それと、今回の関係者も連れて来たので、ギルド長にあわせてもいいですか?」
「…その人が危険じゃないのならね…」
「大丈夫だと思います。それに、みんなを傷つけるようなことをしたら…今度は国ごと殺ってやるんだから…」
「?」
いけない…思考が危ない方へといってしまう…
「じゃあ、呼んできますね」
「分かったよ。なるべく急いでね。私、仕事溜まってるから…」
「は、はい…」
様子が変になったシャルルさんから逃げるように僕は一巳さんを呼びに向かう。
「一巳さん!」
「リアちゃん、どうだった?」
「ギルド長へ会う許可をもらいました」
「そうか、ありがとうね」
「ひゃっ!?」
一巳さんが突然僕の頭を撫でてきた!?
「あ、あの…」
「あぁ、ごめん、嫌だったかな…」
「いえ、そういうわけでは…」
嫌じゃ無いけれど………凄く恥ずかしい…
うぅ、僕は元男だし、撫でられたくらいじゃ嬉しくなんか無いもん!!
………それよりも、シャルルさんのところに向かわないと…
「そ、それでは、ギルド長に会いにいきましょう! 待たせてしまっていますし!」
「…?わかった、それじゃあ行こうか」
僕は一巳さんを連れてシャルルさんのところへと向かう。
「シャルルさん、お待たせしました!」
「じゃあ、ギルド長のところへ向かおうか…それと君、名前は知らないけれど、ギルド内では変なことをしないようにね。武器は持っていないようだけれど…」
「わかりました」
お姉さんが向かったのは前に僕がギルド長と話し合った部屋だった。
「それじゃあ、リアちゃん、ギルド長を呼んでくるから、少し待っててね」
「わかりました、ありがとうございます」
シャルルさんは僕に声をかけてから、部屋を出て行った。
「そういえば一巳さん」
「なんだい?」
「ギルド長に会うところまではうまくいきましたけれど、ギルド長にどんなことを頼むつもりなんですか?」
「そうだね…僕のことを覚えてもらって、帝国から逃げて来た時に匿ってくれることを了承さえしてくれればいいと思っているよ」
「そうですか…」
それだけなのか…まあ、一巳さん達が考えている作戦ではこの街に要求するべきことはそれしか無いからね…
でも、代償はどうするのだろう…流石にただでは匿ってくれないと思うけれど…
僕が考え事をしていると、シャルルさんがギルド長を連れて戻ってきた。
ギルド長は僕と一巳さんに席をすすめると、僕が伝えた要件について聞いて来た。
「リアちゃん…だったかな、戦争に関係する話があると聞いたのだが…いったいどんな?」
「えっと…まずは、この手紙を読んでください。エルフの長老さんからのものです」」
「ふむ………」
ギルド長は表情一つ変えずに読み進めていく。
手紙を読み終わると、少しの間目を瞑り考えるようなしぐさんをした後、、僕たちに向かって話し始めた。
「この手紙にはエルフの村の軍が我々に協力する、ということが書いてあった。長老の直筆のサインがあるので間違いは無いだろう。この件については了解した。上層部へと伝えておこう」
「ありがとうございます」
「それで…見たところ他にも話があるようだが…いったいどんな?」
「えっと………今この会話って誰かに聞かれていたりしますか?」
「一応防音構造になっているが…シャルル、外を見張っておいてくれないか」
「わかりました」
ギルド長に言われて、シャルルさんが部屋を出る。
「それでは…この人は…永田一巳さん………帝国の勇者の一人です」
「っ!?」
ギルド長は驚愕の表情を浮かべる。
ここからが正念場だ。
普通に声をかければいいのだけれど、凄く楽しそうなので邪魔をしづらい。
結局、落ち着くまで待つことにした。
「…すまない、珍しいものだからつい夢中になってしまって…」
「いえ、大丈夫ですよ。帝国では露店はないのですか?」
「うん…一つも無いよ。治安が悪くてね。露店なんて出したら、直ぐに襲われてしまうんだ」
「そ、そうですか…」
それは…そんなに住みにくいなら、なぜ住民達は出て行かないのだろうか…?
一巳さんに聞いてみると…
「外へ行くにも危険なんだ。帝国軍は盗賊の討伐を行おうとしないからね。護衛を雇おうにも冒険者が少ない。そのせいで依頼料が高くなって…税金が異常に高いせいで、雇うお金も無い。それに、帝国…特に帝都の人々の殆どは人族至上主義の信者だからね…帝国の方針には反対しないんだ」
「……」
な、なんだそれ…なんか少しだけ昔の日本に似ている…
「………」
「………」
ち、沈黙が痛い!
「そ、それでは冒険者ギルドに向かいましょうか…」
「う、うん、わかった」
しばらく歩いて、冒険者ギルドに到着した。
中に入ると、一巳さんに入り口で待ってもらい、僕はお姉さんのもとに向かう。
お姉さんはやっぱり受付で仕事をしていた。
「お姉さん! 只今戻りました!」
「…あっ! リアちゃんおかえり! 待っていたよ!」
お姉さんは死んだ魚のような目をして何かの書類を読んでいたが、僕に気づくとすぐに目に光が灯った。なんだかわからないけれど…凄く安心した。
「あの、お姉さん…」
「あ、まだ名前教えていなかったね。私の名前はシャルル。これからは名前で呼んでね」
「はい、わかりました。それで、シャルルさん…ギルド長にあわせてもらえませんか? 早急に伝えたいことがあるので…」
「えっと…それはいいけれど、どんな要件なの?」
「………」
お姉さん…もとい、シャルルさんにこのことをいっていいのかな…一巳さんのこととかは、言っても理解してくれないだろうし…エルフの長老さんからの手紙についても、戦争に関係することだからな…
「えっと…シャルルさんに言ってもいいことかわからないので…戦争に関係すること…です」
「っ!? リアちゃん、また厄介ごとに頭突っ込んだの?」
「ひっ!?」
「まあ、結構重要なことらしいから、お説教は後でね。じゃあ、ギルド長のところへ案内するから、着いて来てくれる?」
「うぅ…わかりました…それと、今回の関係者も連れて来たので、ギルド長にあわせてもいいですか?」
「…その人が危険じゃないのならね…」
「大丈夫だと思います。それに、みんなを傷つけるようなことをしたら…今度は国ごと殺ってやるんだから…」
「?」
いけない…思考が危ない方へといってしまう…
「じゃあ、呼んできますね」
「分かったよ。なるべく急いでね。私、仕事溜まってるから…」
「は、はい…」
様子が変になったシャルルさんから逃げるように僕は一巳さんを呼びに向かう。
「一巳さん!」
「リアちゃん、どうだった?」
「ギルド長へ会う許可をもらいました」
「そうか、ありがとうね」
「ひゃっ!?」
一巳さんが突然僕の頭を撫でてきた!?
「あ、あの…」
「あぁ、ごめん、嫌だったかな…」
「いえ、そういうわけでは…」
嫌じゃ無いけれど………凄く恥ずかしい…
うぅ、僕は元男だし、撫でられたくらいじゃ嬉しくなんか無いもん!!
………それよりも、シャルルさんのところに向かわないと…
「そ、それでは、ギルド長に会いにいきましょう! 待たせてしまっていますし!」
「…?わかった、それじゃあ行こうか」
僕は一巳さんを連れてシャルルさんのところへと向かう。
「シャルルさん、お待たせしました!」
「じゃあ、ギルド長のところへ向かおうか…それと君、名前は知らないけれど、ギルド内では変なことをしないようにね。武器は持っていないようだけれど…」
「わかりました」
お姉さんが向かったのは前に僕がギルド長と話し合った部屋だった。
「それじゃあ、リアちゃん、ギルド長を呼んでくるから、少し待っててね」
「わかりました、ありがとうございます」
シャルルさんは僕に声をかけてから、部屋を出て行った。
「そういえば一巳さん」
「なんだい?」
「ギルド長に会うところまではうまくいきましたけれど、ギルド長にどんなことを頼むつもりなんですか?」
「そうだね…僕のことを覚えてもらって、帝国から逃げて来た時に匿ってくれることを了承さえしてくれればいいと思っているよ」
「そうですか…」
それだけなのか…まあ、一巳さん達が考えている作戦ではこの街に要求するべきことはそれしか無いからね…
でも、代償はどうするのだろう…流石にただでは匿ってくれないと思うけれど…
僕が考え事をしていると、シャルルさんがギルド長を連れて戻ってきた。
ギルド長は僕と一巳さんに席をすすめると、僕が伝えた要件について聞いて来た。
「リアちゃん…だったかな、戦争に関係する話があると聞いたのだが…いったいどんな?」
「えっと…まずは、この手紙を読んでください。エルフの長老さんからのものです」」
「ふむ………」
ギルド長は表情一つ変えずに読み進めていく。
手紙を読み終わると、少しの間目を瞑り考えるようなしぐさんをした後、、僕たちに向かって話し始めた。
「この手紙にはエルフの村の軍が我々に協力する、ということが書いてあった。長老の直筆のサインがあるので間違いは無いだろう。この件については了解した。上層部へと伝えておこう」
「ありがとうございます」
「それで…見たところ他にも話があるようだが…いったいどんな?」
「えっと………今この会話って誰かに聞かれていたりしますか?」
「一応防音構造になっているが…シャルル、外を見張っておいてくれないか」
「わかりました」
ギルド長に言われて、シャルルさんが部屋を出る。
「それでは…この人は…永田一巳さん………帝国の勇者の一人です」
「っ!?」
ギルド長は驚愕の表情を浮かべる。
ここからが正念場だ。
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