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四十二話 絶望
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七人のうち、二人を殺したところでダリア家が動き出した。
「あんまり調子に乗るなよ」赤髪の男が俺の後ろを見ながら言った。後ろからはアンデッドになった人間たちが迫ってきてた。
「性根が腐ってんな」今は余裕かもしれないが、持久戦になれば圧倒的に不利だ。アンデッドを細切れにしなければならないし、蒼も無限で発動わけじゃない。
どうすっかな。とりあえずダリア家のほうを殺していくか。間合いを詰めて切り伏せようする。しかし、寸前のところで地面の中に逃げられてしまった。
最後に「応援しています」という意味の分からない言葉を残して。
こうなったら、このアンデッド一万近くのアンデットを相手にしなきゃならないといけないのか。振り返って剣を構える。
アンデッドは生前の人間の身体能力を数倍に引き上げられているから、単身で大勢と戦うのは厳しいんだよな。普通の人間だったら余裕なんだが。
「困っているのか?」聞いたことのある声が上から聞こえた。上を見ると、ワイバーンの乗っていた青年が見えた。
「レン!どうして ここに居るんだ?」そう言うと、レンは俺の目の前に飛び降りてきた。流石極東の人間、身体能力が高いな。
「言っただろ、ギルガ家は革命派だって」彼は笑いながら、太刀に手を伸ばす。こいつも国王に命じられてきたんだろうか。
「そうだったな。共闘してこいつらを始末しようか」俺も大剣にオーラを纏わせる。
「オーラを纏わせられるのか。凄いな」俺が大剣に蒼を纏わせているのを見て、レンが驚いた表情を見せた。
「お前もできるくせによく言うよ」俺は笑いながら、アンデットのほうを見る。
「こいつらはどうすれば死ぬんだ?」
「一ミリくらいまで切り刻むか、炎で燃やすかのどっちかだな」
「了解した。ちょっとだけ抑えてくれ。俺が一掃する」そう言うとレンは、太刀に赤色のオーラを纏わせた。こいつの属性は炎だな。
「オーケー、任せとけ」俺はアンデットに向かって蒼の槍を足に向かって飛ばす。足止めのなるし、攻撃が当てやすくなるだろう。
「おらぁ!」足が止まったアンデットたちに横薙ぎをお見舞いする。思ったより硬いな。体を半分にしたと思ったが、刃が途中で止まってしまっている。
「ブレイク、離脱してくれ」後ろから声が聞こえた。俺はすぐさま後ろに跳躍をする。
「紅一閃」刹那、極限まで赤く染まった刀身から炎が横一文字で目の前のアンデットに向かって驀進していく。その炎はすべてを拒絶するかの如く、触れたもの全てを悉く燃やし尽くしていった。
「剣聖の名に恥じない威力だな」何も残っていない大通りを見てレンを褒める。
「まだまだ未熟さ」謙遜するように太刀を鞘に納めながらレンが笑う。
「どこが未熟なんだよ?」ここまでの威力をもって未熟だなんて、向上心が高いのか、本当に駄目だと思っているのかわからん。
「抜刀術以外がな,,,」頬を掻きながら教えてくれた。
「確かに決闘した時、抜刀以外が甘かったな」
「今度は勝たせてもらうぞ。約束はしっかり守れよ?」トンと俺の胸を叩きながら言ってきた。
「何回やっても負けるわけねぇよ。それよりダリア家を始末しようぜ」
「そうだな。あいつらの本拠地は抑えてある。こっちだ」レンの後ろをついていく。
「お前はどこまで俺のことを知っているんだ?」興味本位で聞いてみる。
「名前と強さ、リズレットと仲がいいことくらいだな。あとは自由のために戦っているってことくらいだ」路地に残っていたアンデットを倒しながら、談笑をする。
「リズレットとは仲良くねぇよ。あとなんか嫌だな。お前は俺のことは知ってて、俺はお前のこと知らないの」
「そうなのか。リズレットはお前のことを話す時楽しそうにしていたぞ。あと俺のことは革命が終わったらゆっくり教えてやるよ」歩きながら、会話を重ねていく。
「こんなにゆっくりでいいのか?」大通りの真ん中を歩いている。もちろん人影は見えない。死んだか、家の中に居るかだ。
「あぁ、アイツらを完全に殺すには手順を踏まないといけないからな」レンは遠くを見つめながら言った。
「その手順っていうのはなんだ?」
「昔ダリア家の親友から聞いた方法さ。一家が禁断の魔法によって肉体が一つになったときに、本体の心臓を潰せばいいって。そいつはこのことを漏らして死んだんだがな」
さっきの遠い目は親友を思い出していたんだな。
「悪いことを聞いたな」
「いいさ。どうせ教えなければならないんだからな」レンは寂しそうに言った。
互いに無言になる。聞こえてくるのは国が燃えていく音。互いの拍動と呼吸の音。本能が警鐘を鳴らし始めている。ここに居るのは危険だ、逃げろと。抗えない運命が待っている。と。レンも気が付いているようだ。
「レン!!逃げるぞ!!」俺は後ろに走り出す。しかし、レンはその場から動かないで、呆然と空を眺めていた。
「何してんだ!」俺は咄嗟に腕を掴んでレンのことを引っ張って走る。レンの体は羽が生えているかの様に軽かった。
後ろから影が伸びてくる。命が吹き込まれているかのように形状を変えながら、俺たちに被さろうとしていた。
やばい。やばいやばいやばい!!今までにないくらいに汗をかいている。本能が頭が割れるくらいに警鐘を鳴らしている。呼吸がどんどんと乱れていく。
「もう、駄目かもな」体が、脳が諦めている。生きるということを。だけど、与えられた宿命がそれを許さなかった。
「弱音を吐いてんじゃねぇよ!!俺!!」自分に向かって叫ぶ。今まで何回ビビってチャンスをの尾がしてきたんだ。変わるなら今しかない!!
「レン、ここでお別れだ」城のほうに向かって力のを限界まで込めて投げる。風魔法で覆っているから死にはしないだろう。
「さぁ、戦おうか」後ろを振り返って空から降ってきた。『それ』と対峙する。異形、その言葉を形容するかのような見た目の怪物がいた。
龍の頭に魚のえらのような器官。胴は金と銀の体毛で包まれていた、下には逆鱗が生えているのが見えている。左腕はサソリの尾に、あらゆるものを両断するかのようなハサミが肩から生えていた。右腕には鎌を持っていて、肩からは剣を持った手が生えていた。足は馬のような形をしていた。
「エイヨハ,,,,ワガモノニ」怪物はそう発すると、鎌で攻撃をしてきた。紙一重で避ける。だが、この判断は間違いだった。二撃目の剣の攻撃をいなせなかったのだ。
遥か後方へと吹き飛ばされる。家の壁にぶつかっても勢いは止まらない。家を貫通して、やっと勢いが止まった。無人の家でよかった。ぐらつく思考と視界で状況を把握する。
目の前まで異形が来ている。また鎌を振り下ろす。今度は完璧にいなす。窯は地面に深く刺さっている。二撃目の剣の薙ぎも跳躍して回避する。このまま一撃を,,,,
剣を脳天に突き刺そうとしたときに、龍が口を開き炎を吐いてきた。視界が真っ赤になる。
「ぐあああぁぁ!!」あまりの熱さに地面を転がる。即座に魔法を使って回復をするが、俺の実力じゃ重度の火傷を、中度の火傷にするくらいのことしかできない。
何とか立って、その場から離脱をしようとする。しかしサソリの毒が当たっていたのか、体が思うように動かない。クソが。
「コンナノ,,,アマリニモ,,,」異形が何かを発しようとしている。自我が上手く保てていないのか?なんなんだこの怪物は。
「モロイ」ハサミが俺を挟むように突き刺さる。このままじゃ死ぬ!
「蒼!!」自らのことを吹き飛ばして離脱をする。
これが絶望か。目の前に佇む異形の怪物を目にしながらそう思った。
「あんまり調子に乗るなよ」赤髪の男が俺の後ろを見ながら言った。後ろからはアンデッドになった人間たちが迫ってきてた。
「性根が腐ってんな」今は余裕かもしれないが、持久戦になれば圧倒的に不利だ。アンデッドを細切れにしなければならないし、蒼も無限で発動わけじゃない。
どうすっかな。とりあえずダリア家のほうを殺していくか。間合いを詰めて切り伏せようする。しかし、寸前のところで地面の中に逃げられてしまった。
最後に「応援しています」という意味の分からない言葉を残して。
こうなったら、このアンデッド一万近くのアンデットを相手にしなきゃならないといけないのか。振り返って剣を構える。
アンデッドは生前の人間の身体能力を数倍に引き上げられているから、単身で大勢と戦うのは厳しいんだよな。普通の人間だったら余裕なんだが。
「困っているのか?」聞いたことのある声が上から聞こえた。上を見ると、ワイバーンの乗っていた青年が見えた。
「レン!どうして ここに居るんだ?」そう言うと、レンは俺の目の前に飛び降りてきた。流石極東の人間、身体能力が高いな。
「言っただろ、ギルガ家は革命派だって」彼は笑いながら、太刀に手を伸ばす。こいつも国王に命じられてきたんだろうか。
「そうだったな。共闘してこいつらを始末しようか」俺も大剣にオーラを纏わせる。
「オーラを纏わせられるのか。凄いな」俺が大剣に蒼を纏わせているのを見て、レンが驚いた表情を見せた。
「お前もできるくせによく言うよ」俺は笑いながら、アンデットのほうを見る。
「こいつらはどうすれば死ぬんだ?」
「一ミリくらいまで切り刻むか、炎で燃やすかのどっちかだな」
「了解した。ちょっとだけ抑えてくれ。俺が一掃する」そう言うとレンは、太刀に赤色のオーラを纏わせた。こいつの属性は炎だな。
「オーケー、任せとけ」俺はアンデットに向かって蒼の槍を足に向かって飛ばす。足止めのなるし、攻撃が当てやすくなるだろう。
「おらぁ!」足が止まったアンデットたちに横薙ぎをお見舞いする。思ったより硬いな。体を半分にしたと思ったが、刃が途中で止まってしまっている。
「ブレイク、離脱してくれ」後ろから声が聞こえた。俺はすぐさま後ろに跳躍をする。
「紅一閃」刹那、極限まで赤く染まった刀身から炎が横一文字で目の前のアンデットに向かって驀進していく。その炎はすべてを拒絶するかの如く、触れたもの全てを悉く燃やし尽くしていった。
「剣聖の名に恥じない威力だな」何も残っていない大通りを見てレンを褒める。
「まだまだ未熟さ」謙遜するように太刀を鞘に納めながらレンが笑う。
「どこが未熟なんだよ?」ここまでの威力をもって未熟だなんて、向上心が高いのか、本当に駄目だと思っているのかわからん。
「抜刀術以外がな,,,」頬を掻きながら教えてくれた。
「確かに決闘した時、抜刀以外が甘かったな」
「今度は勝たせてもらうぞ。約束はしっかり守れよ?」トンと俺の胸を叩きながら言ってきた。
「何回やっても負けるわけねぇよ。それよりダリア家を始末しようぜ」
「そうだな。あいつらの本拠地は抑えてある。こっちだ」レンの後ろをついていく。
「お前はどこまで俺のことを知っているんだ?」興味本位で聞いてみる。
「名前と強さ、リズレットと仲がいいことくらいだな。あとは自由のために戦っているってことくらいだ」路地に残っていたアンデットを倒しながら、談笑をする。
「リズレットとは仲良くねぇよ。あとなんか嫌だな。お前は俺のことは知ってて、俺はお前のこと知らないの」
「そうなのか。リズレットはお前のことを話す時楽しそうにしていたぞ。あと俺のことは革命が終わったらゆっくり教えてやるよ」歩きながら、会話を重ねていく。
「こんなにゆっくりでいいのか?」大通りの真ん中を歩いている。もちろん人影は見えない。死んだか、家の中に居るかだ。
「あぁ、アイツらを完全に殺すには手順を踏まないといけないからな」レンは遠くを見つめながら言った。
「その手順っていうのはなんだ?」
「昔ダリア家の親友から聞いた方法さ。一家が禁断の魔法によって肉体が一つになったときに、本体の心臓を潰せばいいって。そいつはこのことを漏らして死んだんだがな」
さっきの遠い目は親友を思い出していたんだな。
「悪いことを聞いたな」
「いいさ。どうせ教えなければならないんだからな」レンは寂しそうに言った。
互いに無言になる。聞こえてくるのは国が燃えていく音。互いの拍動と呼吸の音。本能が警鐘を鳴らし始めている。ここに居るのは危険だ、逃げろと。抗えない運命が待っている。と。レンも気が付いているようだ。
「レン!!逃げるぞ!!」俺は後ろに走り出す。しかし、レンはその場から動かないで、呆然と空を眺めていた。
「何してんだ!」俺は咄嗟に腕を掴んでレンのことを引っ張って走る。レンの体は羽が生えているかの様に軽かった。
後ろから影が伸びてくる。命が吹き込まれているかのように形状を変えながら、俺たちに被さろうとしていた。
やばい。やばいやばいやばい!!今までにないくらいに汗をかいている。本能が頭が割れるくらいに警鐘を鳴らしている。呼吸がどんどんと乱れていく。
「もう、駄目かもな」体が、脳が諦めている。生きるということを。だけど、与えられた宿命がそれを許さなかった。
「弱音を吐いてんじゃねぇよ!!俺!!」自分に向かって叫ぶ。今まで何回ビビってチャンスをの尾がしてきたんだ。変わるなら今しかない!!
「レン、ここでお別れだ」城のほうに向かって力のを限界まで込めて投げる。風魔法で覆っているから死にはしないだろう。
「さぁ、戦おうか」後ろを振り返って空から降ってきた。『それ』と対峙する。異形、その言葉を形容するかのような見た目の怪物がいた。
龍の頭に魚のえらのような器官。胴は金と銀の体毛で包まれていた、下には逆鱗が生えているのが見えている。左腕はサソリの尾に、あらゆるものを両断するかのようなハサミが肩から生えていた。右腕には鎌を持っていて、肩からは剣を持った手が生えていた。足は馬のような形をしていた。
「エイヨハ,,,,ワガモノニ」怪物はそう発すると、鎌で攻撃をしてきた。紙一重で避ける。だが、この判断は間違いだった。二撃目の剣の攻撃をいなせなかったのだ。
遥か後方へと吹き飛ばされる。家の壁にぶつかっても勢いは止まらない。家を貫通して、やっと勢いが止まった。無人の家でよかった。ぐらつく思考と視界で状況を把握する。
目の前まで異形が来ている。また鎌を振り下ろす。今度は完璧にいなす。窯は地面に深く刺さっている。二撃目の剣の薙ぎも跳躍して回避する。このまま一撃を,,,,
剣を脳天に突き刺そうとしたときに、龍が口を開き炎を吐いてきた。視界が真っ赤になる。
「ぐあああぁぁ!!」あまりの熱さに地面を転がる。即座に魔法を使って回復をするが、俺の実力じゃ重度の火傷を、中度の火傷にするくらいのことしかできない。
何とか立って、その場から離脱をしようとする。しかしサソリの毒が当たっていたのか、体が思うように動かない。クソが。
「コンナノ,,,アマリニモ,,,」異形が何かを発しようとしている。自我が上手く保てていないのか?なんなんだこの怪物は。
「モロイ」ハサミが俺を挟むように突き刺さる。このままじゃ死ぬ!
「蒼!!」自らのことを吹き飛ばして離脱をする。
これが絶望か。目の前に佇む異形の怪物を目にしながらそう思った。
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