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八十話 交差点
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「死んだってのは理解できるけど、ここはどこなのよ」調停者に殺された私は所謂死後の世界というところには来ているんだけど、設定で聞いていたところとは全然違う。楽園みたいなところって聞いていたんだけど、楽園要素がゼロ。
見慣れた景色が永遠に続いているだけ。どうしようかしら。歩き続けてもいいんだけど、当てのない行動は嫌なのよね。旅はブレイクとかがいたから良かったけど、今は一人だから心細い。
「はぁ、魔法も使えないし。どうしよう」何回も魔法の発動を試みているが、魔方陣はおろか、魔力すら掴めない。ここには魔力が無いのだろう。じゃぁあスキルはどうだろうって?試したけど全部不発。これ以上やったら、理不尽に殺されたことを思い出すからやめておく。
「どうしたんだい?迷子かね?」途方に暮れていると、一人のおじいちゃんが前の方から歩いてきた。見たところ外のなさそうな人だからいいか。ここは死後の世界だから、何されてもいいしね。
「そうなんです。どうすればここから出れますか?」純粋な疑問を聞く。まともな返事はこないってわかっているけど。
「ここから出たいってことは未練があるんだね。それなら簡単さ。交差点に出るたびに左に曲がればいい。そうすれば来てくれるはずじゃからな」おじいちゃんはそういうと、どこかに歩いて行って消えてしまった。
今の話、真に受けていいのかしら。交差点に出るたびに左に曲がるって、同じところをくるくる回るだけじゃない。ボケてるんじゃないかしら。
でも、ここでの経験は私とよりも確実に長いだろうから、飽きるまで曲がり続けてみようかな。もしかしたら、ブレイクとか助けに来たりして。ただでさえ好きなのにもっと好きになっちゃうわね。
惚気はさておき、早速歩き始めますか。石畳を歩いて行く。コツコツという音が響き渡る。なんだか心地いいわね。疲れが来るまでは歩き続けられそうだわ。ていうか死んでるから疲れとかないのかな。
死んだことって何気に初めてだから分からないのよねってみんな初めてか。それか覚えていないだけか。死んだ後にこうやってどこに行くのかわかっていれば案外、受け入れられるのかもね。
輪廻転生はこの世界にはあって、得を摘んだ生物が上に上がれるシステムなのよね。上って言うのは神に成れるかどうかってことで、どこからでもなろうと思えばなれる。楽になるのは圧倒的に得を積んだ方だけど。
だから、邪神とかが生まれるのよね、悪意の塊みたいなやつでも、神に成れるから。神に成れるかどうかは他の神からの推薦を受けたら、みたいな話を聞いたことがある。どこまで本当かは分からないけどそうだったらブレイクは絶対に推薦なんてされないわね。あんな破天荒な奴が神に成れたらみんな神に成って極楽浄土になるわ。
「そんなことよりどこまで歩けばいいの?」長い間歩いたと思うが、同じような風景ばかりで、どこまで進んだのか全く分からない。あのじじい、今度会ったら倒してやるわ。
「世界征服やめた~」どこからか詩を読んでいる声が聞こえる。この道の先で間違いはないんだけど、姿が全く見えない。はっきりと聞こえてはいるから近くにいるとは思うんだけどね。
それにしてもいい声ね。心の底から震えあがってくるこの感覚はこの人じゃないと駄目なのかもしれない。全く不可思議な感覚だ。詩をじっくりと聞くということは今までしてこなかったけど、とてもいいわね、これから私、吟遊詩人を目指そうかしら。
なんて考えていたら声は聞こえなくなってしまった。せっかく私好みのいい声だったのに。いい人ほど遠くに行って、手が届かなくなるから仕方が無いわ。こればっかりはね。
あの声がまた聴けないかなと歩いていると、不思議な門の前に辿り着いた。鳥居みたいな形をしていた。横に立っていた看板には神の門と書かれていた。何が神なんだろう。神秘的ってわけでもないし。
「右に曲がれよ」泣きそうになりながら必死に言葉を届けようをしている男の人の声が聞こえた。どこを右に曲がればいいんだ?
「交差点のことなのかな?それとも,,,」門の先には三つの道があった。どれも暗闇で覆われていて先が見えない。爺さんの言うことを聞くなら左側で、今の男の人の声を頼りにするなら右側だ。
困ったわね。どれが正解なのか分からない。でもなぜか、右に曲がった方がいい気がする。なんとなくだけど、左に曲がったらもう二度と戻れない感じがする。
「一回立ち止まるかぁ」二人が助けてくれることを信じて立ち止まることにした。確信が無い行動は後悔を残すだけだもんね。
「どのくらい待てばいいのかな~。もしかしたら年単位だったりして」彼女は笑いながら空を見えげた。奇しくも死後の世界でも青空は健在だった。
見慣れた景色が永遠に続いているだけ。どうしようかしら。歩き続けてもいいんだけど、当てのない行動は嫌なのよね。旅はブレイクとかがいたから良かったけど、今は一人だから心細い。
「はぁ、魔法も使えないし。どうしよう」何回も魔法の発動を試みているが、魔方陣はおろか、魔力すら掴めない。ここには魔力が無いのだろう。じゃぁあスキルはどうだろうって?試したけど全部不発。これ以上やったら、理不尽に殺されたことを思い出すからやめておく。
「どうしたんだい?迷子かね?」途方に暮れていると、一人のおじいちゃんが前の方から歩いてきた。見たところ外のなさそうな人だからいいか。ここは死後の世界だから、何されてもいいしね。
「そうなんです。どうすればここから出れますか?」純粋な疑問を聞く。まともな返事はこないってわかっているけど。
「ここから出たいってことは未練があるんだね。それなら簡単さ。交差点に出るたびに左に曲がればいい。そうすれば来てくれるはずじゃからな」おじいちゃんはそういうと、どこかに歩いて行って消えてしまった。
今の話、真に受けていいのかしら。交差点に出るたびに左に曲がるって、同じところをくるくる回るだけじゃない。ボケてるんじゃないかしら。
でも、ここでの経験は私とよりも確実に長いだろうから、飽きるまで曲がり続けてみようかな。もしかしたら、ブレイクとか助けに来たりして。ただでさえ好きなのにもっと好きになっちゃうわね。
惚気はさておき、早速歩き始めますか。石畳を歩いて行く。コツコツという音が響き渡る。なんだか心地いいわね。疲れが来るまでは歩き続けられそうだわ。ていうか死んでるから疲れとかないのかな。
死んだことって何気に初めてだから分からないのよねってみんな初めてか。それか覚えていないだけか。死んだ後にこうやってどこに行くのかわかっていれば案外、受け入れられるのかもね。
輪廻転生はこの世界にはあって、得を摘んだ生物が上に上がれるシステムなのよね。上って言うのは神に成れるかどうかってことで、どこからでもなろうと思えばなれる。楽になるのは圧倒的に得を積んだ方だけど。
だから、邪神とかが生まれるのよね、悪意の塊みたいなやつでも、神に成れるから。神に成れるかどうかは他の神からの推薦を受けたら、みたいな話を聞いたことがある。どこまで本当かは分からないけどそうだったらブレイクは絶対に推薦なんてされないわね。あんな破天荒な奴が神に成れたらみんな神に成って極楽浄土になるわ。
「そんなことよりどこまで歩けばいいの?」長い間歩いたと思うが、同じような風景ばかりで、どこまで進んだのか全く分からない。あのじじい、今度会ったら倒してやるわ。
「世界征服やめた~」どこからか詩を読んでいる声が聞こえる。この道の先で間違いはないんだけど、姿が全く見えない。はっきりと聞こえてはいるから近くにいるとは思うんだけどね。
それにしてもいい声ね。心の底から震えあがってくるこの感覚はこの人じゃないと駄目なのかもしれない。全く不可思議な感覚だ。詩をじっくりと聞くということは今までしてこなかったけど、とてもいいわね、これから私、吟遊詩人を目指そうかしら。
なんて考えていたら声は聞こえなくなってしまった。せっかく私好みのいい声だったのに。いい人ほど遠くに行って、手が届かなくなるから仕方が無いわ。こればっかりはね。
あの声がまた聴けないかなと歩いていると、不思議な門の前に辿り着いた。鳥居みたいな形をしていた。横に立っていた看板には神の門と書かれていた。何が神なんだろう。神秘的ってわけでもないし。
「右に曲がれよ」泣きそうになりながら必死に言葉を届けようをしている男の人の声が聞こえた。どこを右に曲がればいいんだ?
「交差点のことなのかな?それとも,,,」門の先には三つの道があった。どれも暗闇で覆われていて先が見えない。爺さんの言うことを聞くなら左側で、今の男の人の声を頼りにするなら右側だ。
困ったわね。どれが正解なのか分からない。でもなぜか、右に曲がった方がいい気がする。なんとなくだけど、左に曲がったらもう二度と戻れない感じがする。
「一回立ち止まるかぁ」二人が助けてくれることを信じて立ち止まることにした。確信が無い行動は後悔を残すだけだもんね。
「どのくらい待てばいいのかな~。もしかしたら年単位だったりして」彼女は笑いながら空を見えげた。奇しくも死後の世界でも青空は健在だった。
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