超人だと思われているけれど、実は凡人以下の私は、異世界で無双する。

紫(ゆかり)

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2章 帝国

第67話 エルフとの遭遇

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 「どしたの!祓って欲しいって、何から?」
 私はまだお日様が登る前に、金魚から緊急要請を受けて、皇宮に来た。
 大丈夫!今日はちゃんと、入り口から入って来ました。
 前回転移で飛び込んだっけ、恥ずかしい思いをさせてしまったみたいだからね。

 以外と乙女なんだよね~
 何が恥ずかしいのか、理解に苦しむけど…
 私が男の子だったら、堂々と闊歩するけどね!マルコみたいに。

 「ルイが毎晩うなされるんだ。悪夢を見るらしいが、内容は覚えてなくて。今朝なんて、何度も揺り起そうとしたのに、起きなくて。このまま目覚めないんじゃないかと思って。俺どうしたら良いのか分からなくて、焦って…」
 金魚が珍しく動揺してるな…言いたい事は伝わったけど、あんたも人の心配してる場合じゃなさそうだよ?
 目玉は、すまなそうに私を見てるし…

 「朝早く起してしまってごめんね。ハルトには大丈夫だと、言ったのだけれど…」
 「大丈夫じゃないだろ!何度も助けてって言っていたんだぞ!」
 そんな肩を掴んで耳元で叫んだら、鼓膜痛いだろ。
 金魚がこんなに取り乱すなんて、余程だったんだろうけど…
 
 「そうか…申し訳ない」
 「金魚、あんたも少し落ち着きなよ。状況は分かったから、ちょっと離れてくんない?」
 「そうだな…うん分かった。取り乱して、すまん」
 「護衛の座、私に取られたくないんでしょ?ほんと、しっかりしてよね」

 しょんぼりして壁際に行ったけど、その態度を見てたら金魚が干物に見えて、心配になって来た。
 私は先に目玉の両手を握って、一応呪詛が無い事を確認した。
 こんな事をしなくっても、呪印が反応してないから大丈夫だと思ったけど、念の為ね。

 「呪詛はなかったけど、全然大丈夫じゃないね。顔色凄い悪いし、精神的に不安定になってるわ。ちょっと待ってて」
 目玉の次はお前だ。
 「金魚、あんたも見せて。どうせ一睡も出来なかったんでしょ?目の下にクマさん飼ってるよ?」

 「え!いや、俺は…ごめん。頼む」
 素直じゃないね~まったく。
 「どっちもどっちだな。あんたら思い合うのは自由だけどさ、無理して共倒れになったら、笑えなくなるよ」
 私はマジックボックスから薬草を取り出して、薬研でゴリゴリしながら、金魚に説教してた。

 「目玉が心配なのは分かるけど、過剰な警護をする必要はないんだからね?護衛は他にも居るんだし、毎日学園にも通ってるんだから。ちゃんと自分の部屋の、ベッドで寝なさい!分かった?」
 「なんで俺がソファーで寝てる事まで分かったんだよ!覗きか?」
 思いっきりぶん殴ってやりたい!弱ってるから我慢したけど。

 出来上がった薬茶を淹れながら、目玉に問いかけてみた。
 「もしかしてお花畑の事気にしてんの?皇女除けの呪印でも刻んどく?」
 「そんな事出来るのか?」
 金魚が驚くのも無理ないか…普通に生活してる人は、使わないからね。

 「出来るよ。持続性はないんだけど、半日位なら避けられる。はい、これ飲んで。少しは落ち着くから」
 私は二人に、それぞれ淹れ立ての薬茶を渡した。

 「ありがとう。ティアの顔を見たら、安心したよ。呪印は…そうだね、パーティの時にでも、お願いしようかな?」
 精神的な物は、直ぐにどうこう出来るもんじゃないしね。

 「俺の分までありがとう。手間かけさせて、すまなかった」
 「別に構わないよ、心配な時は何時でも呼んで、飛んで来るから。あと、お茶は余分に作ってあるから、ちゃんと飲んでよ?そんじゃ私戻るから、また学園でね」
 「送って…って必要ないか」
 金魚がなんか言ってたけど、聞く前に転移で戻って来ちゃった。てへっ

 悪夢って、毎日見る物なの?
 精神が凄い擦り減ってたから、よっぽど嫌な夢だったんだろなぁ。
 悪夢を見なくする方法って、あんのかな?
 そもそも夢って、なんで見るんだろ?考えた事もなかったけど…

 なんだろ?凄~く大事な事を見逃してる気がする。
 私はポチを撫でながら考えたけど、やっぱし分かんないや。
 医術や薬術だけじゃなくって、魔術も呪術も、もっと勉強しなきゃ駄目だな。

 
 クレアと一緒に大聖堂へ来たら、昨日よりも閑散としてた。
 目玉の話だと、辞職する聖職者も居るんだって。
 お賃金が無いと、生活出来ないから仕方ないのかもだけど、聖職者が辞職するって聞いた事無いぞ~

 だって…普通は質素倹約だから、寄付金が無ければ自分達で働くもんでしょ?
 癒しを使える光属性の聖職者なら、何処へ行っても引く手数多だし、直ぐにお賃金貰えると思うけど…

 まぁ、これだけ贅沢な建物を維持するのは大変そうだし、聖職者の数も多いもんね。
 一度覚えた贅沢は、止められないって事なのかな?
 寄付金を持って来る人も激減してるって、言ってたし…
 大神官を追い詰める前に、大聖堂が閉鎖されそうな勢いで、恐ろしくなるわ。

 お花を渡したら、複雑な顔でお礼を言われたよ。
 そして、毎日お花を買って来てるなら、そのお金を寄付して欲しいって言われちゃった。
 気持ちは分かるけど、それじゃ意味が無いんだわ、残念だけど。
 大神官の逃走日が分かるまでは、お花持って通わせてもらいますよ。
 
 それに、今は苦しいかもだけど、もう少し辛抱して欲しい。
 あいつが隠し持ってた寄付金は、ちゃんと使わずに取ってあるからさ。
 大聖堂の甘い蜜を吸っていた聖職者達が居なくなって、本来あるべき姿に戻ったら、必ず返すからね。
 私は罪悪感を覚えながら、大聖堂を後にした。

 学園に来たら、やっぱしご令嬢が待ってるから、気付かれる前に教室へ向かったよ。
 だってあの人達鬱蒼しいんだもん!
 いい加減諦めてくんないかなって思う。
 教室に入ったら、目玉と目があった、顔色が少し良くなってて安心したわ。

 「今朝はありがとう。随分楽になったよ、ティアの作る薬茶は、本当に良く効くね」
 「ミラ伯母様直伝だからね!」
 「カルティア、心配かけた」
 「ちゃんと借りは返して貰うから、安心しなよ」
 「ははっ」

 金魚は、流石近衛騎士って感じ?なんか復活してるわ。
 二人に茶葉の入った缶を渡して、寝る前に飲んでねって言ったら、喜んでくれたのはいんだけど…
 お返しにって目玉から、大量のミルクバターが入ったマジックバックを、渡された。

 「こんなに?バターなんて、どしたの」
 周りを見ながら、耳元でこっそりと教えてくれた。
 「もし、ダンジョンでエルフに遭遇したら、ミルクバターを渡すといい。彼らは耳の尖った人型の種族だから、一緒に踊ってはいけないよ」
 「ありがとう。目玉って凄い物知りだね」
 複雑な顔された…なんでだ?

 「必ず戻って来てね、何かあったら連絡してね、絶対に無理はしないでね。それと…出来るなら、不思議なサークルに近付いてはいけないよ」
 悪夢の見過ぎで、心配症になったらしい…

 「うん、分かった。約束するけど…今日はダンジョン行くの止めて、目玉達と一緒に居ようかな」
 「ごめんね、気を遣わせてしまった。僕は大丈夫だから、ハルトも傍に居てくれる。だから、気にせずに行って来ていいよ」
 「分かったよ、絶対戻って来るから、待っててね」
 「うん。行ってらっしゃい」
 「気を付けて行けよ」
 「「は~い」」

 今日休んだところで、ダンジョンへ行く日が一日伸びるだけだと、思ってるのかも?
 私達が100層クリアする迄帰らないって意思を、伝えてたからね。
 目玉って人の気持ちを、尊重してくれる人なんだよ。
 
 心配かけてんのは知ってるけどさ、それで攻略を諦めちゃったら、今度は別の理由で悩ませちゃう。
 だから、後ろ髪曳かれる思いでダンジョンまで来たのに、屋台がない。
 「前回も人は少ないと思ったけど、誰も居ないってのは、おかしくね?」
 「うん。謎」
 「ここに入り口らしき物がなかったら、場所間違えたと思うよね、これ」
 「うん。そだね」
 なんかね、丸い芝生の中に、ポツンと木製の扉だけあるの。

 「ねぇ。今日から新しいダンジョンに入れるんじゃなかったっけ?」
 「一週間経った」
 「だよね。やっぱこれが入り口なのかな?なんで誰も居ないんだろ」
 「不思議な入り口」
 扉の周りをグルっと歩いてみたけど、壁も何も無いの。

 表?から開けても、裏?に回って開けても、下に降りる階段があった。
 そして毎回街に近い所に入り口が出来てたんだけど、今回は山の中にあったんだよ。
 だからなのかな、やっぱ誰もいないよね、なんで~?

 「目玉が言ってた不思議なサークルって、まさか入り口の事じゃないよね」
 「うん。違うと思う」
 ちょっと不気味に思ったけど、気にしてても仕方ないし、中に入ったよ。

 今回は1層から始まって、最後は90層だ!
 お宝は要らないって言うから、ボス部屋だけ1層目からクリアしてった。
 何故かって?
 そりゃあね、二度ある事は三度あるって言うじゃない?
 今までボス部屋以外で、変な空間に飛ばされたから、警戒してんのよ。

 後は、ボス部屋から出るお宝を、全階層分集めてみたくなったの。
 こっちが一番の理由かな。
 憩いの広場にも、冒険者の姿はなかった。
 釣りを楽しむ気にもならないし、時間も勿体ないから、先に進むよ。

 一度私達がクリアした層には、ボス部屋は無いみたい。
 80層のボス部屋をクリアした所で、お腹の虫が鳴った。
 一気に下って来たのに、やっぱ一日でクリアするのは、難しいのかな。

 「あと10層か~。まだ一時間はかかるよね?晩ご飯までに戻らないと、目玉達心配するだろうし、仕方ない。帰るか~ガックシ」
 「そだね、仕方ない」
 安宿へ転移しようとした時、何かに邪魔されて出来なかった。
 そして、私達以外の、気配を感じた。
 「おかしい、転移出来なかった…あそこに、なんか居る」
 「エルフ?」

 こっちを見てクスクス笑ってる。
 「ちょっと感じ悪くない?馬鹿にされてる気分」
 「うん。感じ悪い」
 ムカついたけど、目玉達待ってるし、帰ろうとしたっけ声かけられた。

 「ねぇ、一緒に踊らない?」
 ホントに誘われた!
 目玉が言ってた通りだよ、確か踊っちゃいけないんだよね?
 さこちゃんが首を左右に振って、エルフの問いに答える。
 「踊らない」

 「じゃあさ、ミルクバター頂戴。くれないなら帰さない」
 気付くと変な空間に入ってた。
 やられたって思ったけど、ミルクバター?
 そいや目玉がエルフに会ったら渡せって言ってたな。

 バックを取り出した時だった。
 『違う!そっちではない』
 「えっ目玉?」
 「る~いがどしたの?」
 「今、声しなかった?」
 「うん。私聞こえてない」
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