80 / 84
2章 帝国
第78話 帰国
しおりを挟む
今朝は、お花代の分だけ寄付金持って、大聖堂に来たよ。
もう用事はないんだけど、もしかして大神官が戻って来てるかなって思いもあって、様子を見に来たの。
そしたらね、静かに祈りを捧げるどころじゃなくて、大騒動になってた。
突如大神官と、聖女が消えたらしい…
消えたんじゃなくって、逃げたんだけどね。
その事を知ってても、教えられないもどかしさがある。
あいつはきっと、西の国に帰ったんだよ。
呪詛持ちは、聖物が無いと呪詛師から逃げられないって、言ってたもんね?
暴力男は嫌いだから、同情はしないけど、ザマミロとも思わない。
あいつだって被害者なのかもしれないから…
大聖堂は聖女が居なくなったから、大神殿に戻るのかな?
あの皇帝の事だから、これ幸いって乗り込んで来るよ、絶対に。
そしていろんな権限を剝奪して、皇族の配下に置くんだろなって思う。
当然わ・た・しの為に(笑)出した寄付金も、取り返そうとするだろね?
だから今、私が預かってる寄付金を返すのは得策じゃないと思ったし、この騒動にのっかってみた。
お金になりそうな物は皆、ポチの中に保管させて貰ったよ。
今の皇帝モドキには、びた一文渡したくないのだ。フフン(ドヤ顔)
そして預かり物を全部、目玉父に押し付けた。
「何処から出したのだ?」って、顔面押さえて項垂れてた目玉父の姿が、ちょっと気の毒になっちゃったよ。えへっ
だってさ、返し処が分かんないんだもの、適任者に任せるべきよね。
学園生活もそろそろ終わりかなって思うと、こんなつまんない授業も楽しく聞こえるから不思議だね。
お昼は相変わらずのメンバーで、ご飯食べたよ。
母親が地下牢に入れられたのに、はんかくさいは相変わらずだった。
いや…以前より強烈になったかもしんない。
「皇女殿下、いい加減にして欲しい。私は貴方の様に、妹を蔑ろにする他人を妃に迎えるつもりは一切無いと、何度言えば分かるのだ」
「ち、違いますわ。知らなかったのです、火傷の跡で醜い姿になってしまった事を。今は治っておりますでしょう?何も問題はありませんのよ」
「火傷が治っていなかったら、化け物扱いをしていたのだろう!私が一番嫌いな人間を、何故妃にすると思っている」
「あの姿を見たら、誰だって…」
「黙れ!ティアもクレアだって、リーシャを醜い等と。一言だって、言った事は無い!それに、好きでもない他人に、ベタベタ触られるのは不愉快だ。離れろっ」
目玉のこんな姿、久し振りに見たな…
話しによると、リーシャが9歳の誕生日の時に撮った画像を、部屋に飾っていたんだって。
そんで勝手に入って来たはんかくさいが、その画像見て化け物って叫んだ事で、目玉の堪忍袋の緒が切れたんだって。
目玉はリーシャ大好き兄ちゃんだからね、そら怒るわ。
しかし、はんかくさいってどんな神経してんだろ?
あんな事言われてるのに「照れなくても良いのです」だって!
私だって、嫌われてるの分かるレベルだよ?
頭の中、かち割って覗いてみたくなる位、不思議な人だわ。
「ねぇ、傲慢。腹黒は、地下牢から出して貰ったの?」
「いや。あいつは地下牢から出る事は、恐らくだがないと思うぞ。極刑がほぼ決まっているからな」
「それって何時?国民には、事前に告知されるの?」
「勿論、他国にも告知する。あれだけ証人が居る上に、証拠品が出たからな…ひと月後には、断頭台に上がってるだろうな」
ひと月か…時間無いな。
出来る事なら、彼女には死んで欲しくないのよね。
私は封印されたままの、皇太子殿下を思い出してた。
「気になるのか?戦争用魔道具を集めていた、非道な女だぞ?情けをかけた所で、何の得にもならん。諦めろ」
「あ~…そだね。いや…不思議ちゃんは、実のお母様でしょ?平気なのかな」
「不思議ちゃん?はんかくさいから、不思議ちゃんになったのか?お前は人に仇名を付けるのが好きなんだな」
傲慢はケラケラ笑いながら、不思議ちゃんは腹黒と一緒で、自分にしか興味が無いからほっとけと言ってる。
そゆもんかね?遅かれ早かれ、皇帝も捌かれる時が来るし。
そうなったら嫌でも、不思議ちゃんが特に嫌ってる平民の血が、自分にも半分混ざってる事を知るんだよ。
それだけじゃない。
皇族の血が一切入って無いんだもの、間違いなく平民落ちになっちゃう。
腹黒の親戚一同は、揃って国外に逃亡したって聞いた、孫を見捨てたんだよ。
きっと引き取ってくれる人は、居ないんじゃないかな?
皇族として生きて来た不思議ちゃんが、平民になって呪詛師の娘として生きてけるとは、思えないんだけど…
皇子達は、皇帝が入れ替わってる事を、知ってるのかな?
私は知ってたよ。
あの転移する魔物を捕まえた時に、尋問したからね。
彼は苦痛で張り裂けそうになってた。
腹黒は自分に刃向う人達を、魔物になった皇太子殿下に取り込ませて、彼等が苦しむ姿を見て笑ってたんだわ。
人の心を、弄んでる事を理解したうえで、残酷な事を腹黒はやってた。
だから、同情する気は一欠けらも無いんだよ。
クレアは…目玉も金魚も帝国に来た宮仕え達も皆、目玉父からその事実を聞いている。
そして、これは私の憶測なんだけど。
皇太子妃は全てを知ったから、身を隠したんだ、世継ぎのアルフレッド様を守る為に。
多分皆、同じ所に居ると思う。
帝国の影が、皇太子妃とお上品を護ってる筈。
奴等は感情を捨てた、護衛のスペシャリストだからね。
命令があれば、簡単に主を見捨てる事も出来るし、自分の命を差し出す事も厭わない。
影に帝国の未来を託したのだとしたら?
本当の皇帝夫妻は、もうこの世にはいないのかも…
なんかしんみりしちゃったのを、傲慢が勘違いしてるけど、不思議ちゃんの前だしほっとこう。
彼はね、エイドリアンから、シュヴァルツになったよ。
どっちも言い難いから、傲慢のままで通すけどね、一応報告。
皇位継承権については、兄弟で揉めてるらしい…
お互い譲り合ってるのよ、仲良しだよね。
傲慢は私達の前で、虎を被るの止めた宣言したよ。
結構初めの頃から脱げてたと思うけど、本人気付いてないとか、ウケルわ。
授業が終わる頃、目玉父から皇宮への呼び出しが来たから、目玉と一緒に来たんだけど…
王様から【好きな時に帰っておいで】って書かれた手紙を、受け取った。
なんか、前にもこんな手紙を見た気がするけど…?
もっと他に書く事無いんか~いって思う。
王命遂行したからね、ここに残る理由も無くなったし…これから帝国は、皇帝問題で一波乱起きる。
いや…起こすの間違いかな?
だって、一石投じるの私だもん。
本当は自分の手で、皇帝モドキを、玉座から引き摺り落としてやりたかったんだけどね。
その役目は譲る事にしたよ。
だから、こんな所に居て、巻き添えは食いたくない。
【皆と一緒に帰るよ】って返事を、目玉父から王様に渡して貰った。
心残りは…やっぱダンジョンかな?
未だに入り口が見つかってないんだわ。
そこは仕方ないし、皇帝が世代交代して落ち着いた頃に、こっそり四人で遊びに来る事にした。
目玉父が皇帝と何を話したのかは、聞く必要無いから知らない。
多分王国の乗っ取りとか、国際問題的な何かだとは思う。
目玉父だって偽物の皇帝なんかと、まともに会話なんてしたくないだろうしね…
建前上息子の暗殺とか、私の暗殺とか放置出来ない問題があったから、席を設けたに過ぎない。
優秀な呪術師が居た様で、私が刻んだ口封じの呪印が反応したから、目玉父が激怒したってのは聞いたけど…
呪印が破られた訳じゃ無いから、聖女の事なんかは、知られて無い。
そんな感じで、数日かけて帰国の準備を整えた。
学園の人達にもお別れして来たし、大神殿の司祭達にもお別れ言って来た。
案の定皇帝命令で、いろいろ大変らしいけど、頑張って立ち直してって思う。
もう用事はないんだけど、もしかして大神官が戻って来てるかなって思いもあって、様子を見に来たの。
そしたらね、静かに祈りを捧げるどころじゃなくて、大騒動になってた。
突如大神官と、聖女が消えたらしい…
消えたんじゃなくって、逃げたんだけどね。
その事を知ってても、教えられないもどかしさがある。
あいつはきっと、西の国に帰ったんだよ。
呪詛持ちは、聖物が無いと呪詛師から逃げられないって、言ってたもんね?
暴力男は嫌いだから、同情はしないけど、ザマミロとも思わない。
あいつだって被害者なのかもしれないから…
大聖堂は聖女が居なくなったから、大神殿に戻るのかな?
あの皇帝の事だから、これ幸いって乗り込んで来るよ、絶対に。
そしていろんな権限を剝奪して、皇族の配下に置くんだろなって思う。
当然わ・た・しの為に(笑)出した寄付金も、取り返そうとするだろね?
だから今、私が預かってる寄付金を返すのは得策じゃないと思ったし、この騒動にのっかってみた。
お金になりそうな物は皆、ポチの中に保管させて貰ったよ。
今の皇帝モドキには、びた一文渡したくないのだ。フフン(ドヤ顔)
そして預かり物を全部、目玉父に押し付けた。
「何処から出したのだ?」って、顔面押さえて項垂れてた目玉父の姿が、ちょっと気の毒になっちゃったよ。えへっ
だってさ、返し処が分かんないんだもの、適任者に任せるべきよね。
学園生活もそろそろ終わりかなって思うと、こんなつまんない授業も楽しく聞こえるから不思議だね。
お昼は相変わらずのメンバーで、ご飯食べたよ。
母親が地下牢に入れられたのに、はんかくさいは相変わらずだった。
いや…以前より強烈になったかもしんない。
「皇女殿下、いい加減にして欲しい。私は貴方の様に、妹を蔑ろにする他人を妃に迎えるつもりは一切無いと、何度言えば分かるのだ」
「ち、違いますわ。知らなかったのです、火傷の跡で醜い姿になってしまった事を。今は治っておりますでしょう?何も問題はありませんのよ」
「火傷が治っていなかったら、化け物扱いをしていたのだろう!私が一番嫌いな人間を、何故妃にすると思っている」
「あの姿を見たら、誰だって…」
「黙れ!ティアもクレアだって、リーシャを醜い等と。一言だって、言った事は無い!それに、好きでもない他人に、ベタベタ触られるのは不愉快だ。離れろっ」
目玉のこんな姿、久し振りに見たな…
話しによると、リーシャが9歳の誕生日の時に撮った画像を、部屋に飾っていたんだって。
そんで勝手に入って来たはんかくさいが、その画像見て化け物って叫んだ事で、目玉の堪忍袋の緒が切れたんだって。
目玉はリーシャ大好き兄ちゃんだからね、そら怒るわ。
しかし、はんかくさいってどんな神経してんだろ?
あんな事言われてるのに「照れなくても良いのです」だって!
私だって、嫌われてるの分かるレベルだよ?
頭の中、かち割って覗いてみたくなる位、不思議な人だわ。
「ねぇ、傲慢。腹黒は、地下牢から出して貰ったの?」
「いや。あいつは地下牢から出る事は、恐らくだがないと思うぞ。極刑がほぼ決まっているからな」
「それって何時?国民には、事前に告知されるの?」
「勿論、他国にも告知する。あれだけ証人が居る上に、証拠品が出たからな…ひと月後には、断頭台に上がってるだろうな」
ひと月か…時間無いな。
出来る事なら、彼女には死んで欲しくないのよね。
私は封印されたままの、皇太子殿下を思い出してた。
「気になるのか?戦争用魔道具を集めていた、非道な女だぞ?情けをかけた所で、何の得にもならん。諦めろ」
「あ~…そだね。いや…不思議ちゃんは、実のお母様でしょ?平気なのかな」
「不思議ちゃん?はんかくさいから、不思議ちゃんになったのか?お前は人に仇名を付けるのが好きなんだな」
傲慢はケラケラ笑いながら、不思議ちゃんは腹黒と一緒で、自分にしか興味が無いからほっとけと言ってる。
そゆもんかね?遅かれ早かれ、皇帝も捌かれる時が来るし。
そうなったら嫌でも、不思議ちゃんが特に嫌ってる平民の血が、自分にも半分混ざってる事を知るんだよ。
それだけじゃない。
皇族の血が一切入って無いんだもの、間違いなく平民落ちになっちゃう。
腹黒の親戚一同は、揃って国外に逃亡したって聞いた、孫を見捨てたんだよ。
きっと引き取ってくれる人は、居ないんじゃないかな?
皇族として生きて来た不思議ちゃんが、平民になって呪詛師の娘として生きてけるとは、思えないんだけど…
皇子達は、皇帝が入れ替わってる事を、知ってるのかな?
私は知ってたよ。
あの転移する魔物を捕まえた時に、尋問したからね。
彼は苦痛で張り裂けそうになってた。
腹黒は自分に刃向う人達を、魔物になった皇太子殿下に取り込ませて、彼等が苦しむ姿を見て笑ってたんだわ。
人の心を、弄んでる事を理解したうえで、残酷な事を腹黒はやってた。
だから、同情する気は一欠けらも無いんだよ。
クレアは…目玉も金魚も帝国に来た宮仕え達も皆、目玉父からその事実を聞いている。
そして、これは私の憶測なんだけど。
皇太子妃は全てを知ったから、身を隠したんだ、世継ぎのアルフレッド様を守る為に。
多分皆、同じ所に居ると思う。
帝国の影が、皇太子妃とお上品を護ってる筈。
奴等は感情を捨てた、護衛のスペシャリストだからね。
命令があれば、簡単に主を見捨てる事も出来るし、自分の命を差し出す事も厭わない。
影に帝国の未来を託したのだとしたら?
本当の皇帝夫妻は、もうこの世にはいないのかも…
なんかしんみりしちゃったのを、傲慢が勘違いしてるけど、不思議ちゃんの前だしほっとこう。
彼はね、エイドリアンから、シュヴァルツになったよ。
どっちも言い難いから、傲慢のままで通すけどね、一応報告。
皇位継承権については、兄弟で揉めてるらしい…
お互い譲り合ってるのよ、仲良しだよね。
傲慢は私達の前で、虎を被るの止めた宣言したよ。
結構初めの頃から脱げてたと思うけど、本人気付いてないとか、ウケルわ。
授業が終わる頃、目玉父から皇宮への呼び出しが来たから、目玉と一緒に来たんだけど…
王様から【好きな時に帰っておいで】って書かれた手紙を、受け取った。
なんか、前にもこんな手紙を見た気がするけど…?
もっと他に書く事無いんか~いって思う。
王命遂行したからね、ここに残る理由も無くなったし…これから帝国は、皇帝問題で一波乱起きる。
いや…起こすの間違いかな?
だって、一石投じるの私だもん。
本当は自分の手で、皇帝モドキを、玉座から引き摺り落としてやりたかったんだけどね。
その役目は譲る事にしたよ。
だから、こんな所に居て、巻き添えは食いたくない。
【皆と一緒に帰るよ】って返事を、目玉父から王様に渡して貰った。
心残りは…やっぱダンジョンかな?
未だに入り口が見つかってないんだわ。
そこは仕方ないし、皇帝が世代交代して落ち着いた頃に、こっそり四人で遊びに来る事にした。
目玉父が皇帝と何を話したのかは、聞く必要無いから知らない。
多分王国の乗っ取りとか、国際問題的な何かだとは思う。
目玉父だって偽物の皇帝なんかと、まともに会話なんてしたくないだろうしね…
建前上息子の暗殺とか、私の暗殺とか放置出来ない問題があったから、席を設けたに過ぎない。
優秀な呪術師が居た様で、私が刻んだ口封じの呪印が反応したから、目玉父が激怒したってのは聞いたけど…
呪印が破られた訳じゃ無いから、聖女の事なんかは、知られて無い。
そんな感じで、数日かけて帰国の準備を整えた。
学園の人達にもお別れして来たし、大神殿の司祭達にもお別れ言って来た。
案の定皇帝命令で、いろいろ大変らしいけど、頑張って立ち直してって思う。
0
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。
【完結】追放された生活錬金術師は好きなようにブランド運営します!
加藤伊織
ファンタジー
(全151話予定)世界からは魔法が消えていっており、錬金術師も賢者の石や金を作ることは不可能になっている。そんな中で、生活に必要な細々とした物を作る生活錬金術は「小さな錬金術」と呼ばれていた。
カモミールは師であるロクサーヌから勧められて「小さな錬金術」の道を歩み、ロクサーヌと共に化粧品のブランドを立ち上げて成功していた。しかし、ロクサーヌの突然の死により、その息子で兄弟子であるガストンから住み込んで働いていた家を追い出される。
落ち込みはしたが幼馴染みのヴァージルや友人のタマラに励まされ、独立して工房を持つことにしたカモミールだったが、師と共に運営してきたブランドは名義がガストンに引き継がれており、全て一から出直しという状況に。
そんな中、格安で見つけた恐ろしく古い工房を買い取ることができ、カモミールはその工房で新たなスタートを切ることにした。
器具付き・格安・ただし狭くてボロい……そんな訳あり物件だったが、更におまけが付いていた。据えられた錬金釜が1000年の時を経て精霊となり、人の姿を取ってカモミールの前に現れたのだ。
失われた栄光の過去を懐かしみ、賢者の石やホムンクルスの作成に挑ませようとする錬金釜の精霊・テオ。それに対して全く興味が無い日常指向のカモミール。
過保護な幼馴染みも隣に引っ越してきて、予想外に騒がしい日常が彼女を待っていた。
これは、ポーションも作れないし冒険もしない、ささやかな錬金術師の物語である。
彼女は化粧品や石けんを作り、「ささやかな小市民」でいたつもりなのだが、品質の良い化粧品を作る彼女を周囲が放っておく訳はなく――。
毎日15:10に1話ずつ更新です。
この作品は小説家になろう様・カクヨム様・ノベルアッププラス様にも掲載しています。
ぽっちゃり女子の異世界人生
猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。
最強主人公はイケメンでハーレム。
脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。
落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。
=主人公は男でも女でも顔が良い。
そして、ハンパなく強い。
そんな常識いりませんっ。
私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。
【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
【☆完結☆】転生箱庭師は引き籠り人生を送りたい
寿明結未(旧・うどん五段)
ファンタジー
昔やっていたゲームに、大型アップデートで追加されたソレは、小さな箱庭の様だった。
ビーチがあって、畑があって、釣り堀があって、伐採も出来れば採掘も出来る。
ビーチには人が軽く住めるくらいの広さがあって、畑は枯れず、釣りも伐採も発掘もレベルが上がれば上がる程、レアリティの高いものが取れる仕組みだった。
時折、海から流れつくアイテムは、ハズレだったり当たりだったり、クジを引いてる気分で楽しかった。
だから――。
「リディア・マルシャン様のスキルは――箱庭師です」
異世界転生したわたくし、リディアは――そんな箱庭を目指しますわ!
============
小説家になろうにも上げています。
一気に更新させて頂きました。
中国でコピーされていたので自衛です。
「天安門事件」
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~
いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。
地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。
「――もう、草とだけ暮らせればいい」
絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。
やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる――
「あなたの薬に、国を救ってほしい」
導かれるように再び王都へと向かうレイナ。
医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。
薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える――
これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる