片想い

向日葵

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1. 雨の足跡

回想

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夏の昼下がり
通り雨で濡れたアスファルト
過ぎ去った後の曇り空の匂い

かれこれ10年以上も前だというのに
色褪せることなく脳裏に甦る


生まれて初めての告白は
静寂の中で跡形もなく消えた


薄々は気付いていた
私の気持ちと彼の気持ちが比例しなくなっていたこと。

…心の何処かで期待してた
いや、正しくは言い聞かせてた。
もう一度、最初からやり直せるって


忘れもしない20xx年8月12日金曜日
ダーツバーで出会った彼の猛アプローチ
押しに弱い私は断り切る事が出来ずに付き合うことになってしまった
これが全ての始まりだった

PM18時 定時退社
適当に仕事を片し家路につく
でもあの日は何故かいつもと同じ道を通らなかった
その理由だけが今でもどうしても思い出せない

夏の陽は落ちるのが遅く
ネオンが光を放とうがまだ放ち切れない看板たちを横目に
狭い道を歩いてたっけ
偶々目に付いたバーに適当に入った

重厚感のある木目の重いドアを開けると
私と同年代くらいの男グループが楽しげに声を上げている
静かな環境を好む私には騒々しい以外の何者でもなかった




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