天下無双の剣聖王姫 ~辺境の村に追放された王女は剣聖と成る~

作間 直矢 

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シルバ・アリウム、剣聖と成る

二十一話

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 好きな人を守るための騎士道。
 その騎士道から外れたシュバルツさんに怒ったヒース。

 シュバルツさんが見放した相手は私であるから、彼が怒る理由があるとすれば必然的にそんな疑問にもなる。


 「―――」

 「えーと……訊き方が悪かったですかね?」

 「―――いえ、とんでもありません、
  少し動揺してしまいました、失礼しました」


 少し、というには随分と間を置いた返答だったが突っ込むのは止そう。


 「まぁ……その……国の王女である貴方に対して、個人的な感情を口にするのは
  いささか気が退けますが、あらぬ誤解や不信感を抱かれるよりかはましなので
  素直に告げましょう」

 「相変わらず考え方が堅いなぁ、ヒースさんは」

 「ふふっ、性分なんです、許してください、
  ―――シルバ、貴方に付けたシルヴィア・ライトという偽名、
  その名前は亡くなった妹から取った名前なんです」

 「……なんと」

 「ジニア村で活動する際に、偽名を使う必要があったということで用意した
  その名前と身分は、妹の物をそのまま利用させて頂きました、
  歳も同じでしたし都合が良かったのです、お許しください」


 初耳であるその情報に、少しだけ動揺してしまう。
 彼に妹がいたという事も、家族である妹が亡くなってしまっている事も、少しだけ私を寂しい気持にさせて心揺さぶる。


 「その中で、ですかね……この世界にいないはずの妹と、
  シルバを重ねて見てしまっていた自分がいました、
  頭では理解していても、貴方に何かあったらと思うと酷く不安になります、
  かつて感じていた妹に対しての感情のように」

 「―――それで、今まで過保護だったんですね」

 「過保護でいたつもりはないんですけどね、無意識にそうしていたかもしれません、
  だから、私の好意はシルバを無意識に妹として見ていた親愛、ですかね」


 彼の騎士道にあてはめるのであれば、確かに合点はいく。
 仮に実の妹が家名や名誉のために利用されていたのであれば、その心中は穏やかではないだろう。

 だから怒ってくれた、単純な好意ではなく親しみを持って。

 意外ではあったがヒースさんの話を聞けて良かった。

 ―――思えば、仕事の報告や帝都関連の話しかしてこなかった、今後はヒースさんに限らず黒の刃の皆とも個人的な話をしよう。


 「……すみませんっ、主であるシルバにこんな話を」

 「いいえ、訊いたのは私です、ありがとうヒースさん」


 今回の騒動が落ち着いて、暇な時間が出来たらミオとヒースさん、それに黒き刃の皆さんと村の人達を呼んでお茶会でも開きたい。

 兄弟がいるとか、何が好きとか嫌いとか、そんな他愛のない話すら出来ない忙しい毎日に潰れることなく私は生きるんだ。
 だからもっと平和に、穏やかな日々を作れるように努力する、己が信念のために。


 「さあっ!!さっさと仕事終わらせましょうかヒースさん、
  これが終わったら村の視察をするので一緒にお願いしますね、ヒースさんっ」

 「喜んでお供しますよ、シルバ」


 次なる目標の為、私は今日も机の書類と向かい合う―――。

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