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シルバ・アリウム、剣聖と成る
二十二話
しおりを挟む晴れやかな日に、気分転換に散歩でもしていた今日。
政務作業が滞って外の空気を吸いに来たわけではなく、散歩がしたくて外に出たのです。
決してサボりではなく、気分転換のために緩やかに歩いている。
「―――おッ……!!王女様お疲れ様!!どうしたんだい今日は?」
「あらー、お疲れ様ですタナカさん、
ちょっと散歩の途中なんですよ、今日も性がでますね」
「あたぼうよッ!!!王女様のおかげでこんなに仕事が楽しくなったんだ!!
今日も張り切って頑張らせてもらうよ!!」
「ふふ、ですけどお身体だけは壊さないでくださいね~」
農家のタナカさんは豪胆に手を振って仕事に戻ってゆき、その姿を眺めて散歩に戻る。
一か月以上の時が過ぎて、農作物を始めとした村の特産物の適正な交易取引を進めて村は確かに変わりつつある。
村の収益が上がり、生活環境の向上を推し進める事で街道整備に着手、更に国境付近にある利点を生かして隣国バーベナ国との交易も行いやすくした。
元々の高い生産力を活かした農業が、ようやく噛み合い始めて確かな手応えを感じ始めている。
この調子でジニア村の発展を見届けたいが、どうにも目の前の問題がそれを塞ぐ。
「あーーーッッ!!!ここにいましたシルバ王女!?
慌ただしく髪を乱し、可愛らしい瞳を隠す丸眼鏡の女の子。
ミオは息を整え、必死に言い放った。
「見つかってしまいました……ミオは人を探す天才ですね……」
「なに言ってるんですかッ!?ヒース様がカンカンに怒っていますよ!?」
「そこは……ほら、ミオの器用さで誤魔化しといてくださいよ~」
「無茶言わないでくださいッ!?ヒース様って普段優しいのにシルバ王女の事に
なると人が変わるんですからッ!?早く執務室に戻りましょう!!」
口うるさく怒ってくるヒースの顔が浮かび、背筋が伸びてしまう。
しかしである、シュバルツ殿との会合を万全とするための大事な時期であると言う事は理解しているが、何かにつけて執務を押し付けるのはどうかと思う。
この身は王女であり、剣聖の娘というのはわかるが、一人の人間であり一応女の子でもあるのだ、少しぐらいのわがままも許して欲しいところである。
「ダメです、戻りません、まだ散歩の途中なので」
「え゛ぇッ!?」
「どんな声だしてるんですか……」
ミオは冷や汗を流して取り乱し、地獄めいた叫びで反応してくれる。
「それより、一緒に歩きませんか?ミオものんびりしましょうよ」
「……なに言ってるんですかシルバ王女、貴方を連れ戻しに来たのに私もサボって
どーするんですかっ!?勘弁してくださいよ……」
「では言い方を変えましょうか、王女として命令します、
少し一緒に歩いてください、お話もありますし」
「そ、そんなぁ……」
諦めにも似た悲壮感を漂わせ、ミオは歩幅を縮めて付いてゆく。
小柄なその身体を丸めて、猫背気味に後ろに付いてくる姿が少し愛らしい。
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