天下無双の剣聖王姫 ~辺境の村に追放された王女は剣聖と成る~

作間 直矢 

文字の大きさ
45 / 102
シルバ・アリウム、剣聖と成る

四十二話

しおりを挟む

 とは言え流石のダガーンも百戦錬磨の猛者、咄嗟に見切って後方に下がっては、二度目の仕切り直しとなって大斧を構え直す。


 「―――強ぇな……嬢ちゃん……」

 「お褒めに頂き恐縮です、ですが……私の強さ、更に知ってもらいます」

 「ほぉ……なら、オレも気合い入れなきゃならねぇな?
  ワリィが手加減はもう無しだ、殺すつもりで挑ませてもらうぜ」


 ダガーンは広い闘技場の端まで大きく距離を取ると、集中して魔力を高める。
 すると、握っていた大斧は赤く灼熱の如き色で染まってゆく。


 「―――業火絢爛、爆裂破壊魔法ッッッ!!!!」

 『おおっっとッ!!これはっ……五年前の決戦で使われたダガーンの魔法……
  灼熱の一振り“業火絢爛”だぁぁぁっ!?会場の皆様は衝撃に備えてくださいっ!!』


 限界まで魔力を注ぎ込んだ大斧は、爆発寸前まで加熱し力を蓄える。

 と同時に、腰だめに構えて弾丸の疾さでシルバに突撃した。


 「喰らえやぁぁぁッッッッ!!!!」


 純粋な力。
 
 そこに小賢しい技術も魔法も介入する余地はなく、圧倒的な衝撃を目の前にシルバは一つ、深呼吸をするだけ。


 「―――ふうっ……」


 そして呼吸を整え、細く綺麗な腕で赤き流星めいた突撃を―――

 銀の星を以てして、逆に叩き切る。


 ――――ドガァァァァッッ………!!!!!


 衝突する二人の風圧で、闘技場全体に痺れるような空気が伝わる。

 最前列に近い位置まで爆風が巻き起こり、二人の勝敗が分からずにいた。
 爆音により耳鳴りが響くなか、状況を確認した実況者のクロが喋り出した。


 『………えー…皆様、ご無事でしょうか……?防御魔法で守られた実況席すら
  凄まじい衝撃が伝わり、その苛烈さが染みわたりました……王女様とダガーンは
  いったいどうなったのでしょうか……お二人とも~生きてますかーー!!』


 破壊的な衝撃音が静寂に変わり、その凄まじさから観客は息を呑んでその行方に注視していた。

 実況からの呼びかけから一瞬の間、その声に応えて舞い上がった爆炎を斬り払い、姿を現した剣聖が、ここにいた。


 「はーい、生きておりますよー」


 何事も無かった、そう言わんばかりにシルバは無傷であり、笑顔であった。

 大斧の衝撃を受け流し、自身の周辺だけ爆風の跡が残らない様に剣を巧みに使うと、隙となった懐に魔力剣の一太刀を浴びせた。

 その結果、大斧の魔力は削がれて攻撃手段を失い、魔力で生成されたとはいえ直撃した刀身によりダガーンは―――


 気を失って、倒れ伏していた。


 『な、ななな、なんとーーー!!!!
  ダガーンの一撃を防ぎきり、あまつさせ反撃してこの場を制したのは………
  我らが王女様、シルバ・アリウム王女だーーーー!!!!』


 疑いようも無い程の、完勝。
 呼吸を忘れ、静まり返っていた観客たちは大きな声で反応した。


 「うおおおおぉぉぉぉおぉおぉ!!!!!」

 「剣聖の再来だぁぁぁッ!!!!」

 「最高だったぜ王女様――――!!!!!」


 割れるような歓声と賞賛、そして興奮して立ち上がったアリウムの民は、シルバに対して絶対的な敬意を心に宿す。

 それほどに、この一戦は彼らを熱狂させ、シルバという少女の人物像を確立させた。


 大衆から惜しみない声援を受けて、シルバは笑顔でそれを返して舞台裏へ去る。
 その際、彼らの心を掴んだ王女は惜しまれる様に姿を消した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~

ばいむ
ファンタジー
10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~ 大筋は変わっていませんが、内容を見直したバージョンを追加でアップしています。単なる自己満足の書き直しですのでオリジナルを読んでいる人は見直さなくてもよいかと思います。主な変更点は以下の通りです。 話数を半分以下に統合。このため1話辺りの文字数が倍増しています。 説明口調から対話形式を増加。 伏線を考えていたが使用しなかった内容について削除。(龍、人種など) 別視点内容の追加。 剣と魔法の世界であるライハンドリア・・・。魔獣と言われるモンスターがおり、剣と魔法でそれを倒す冒険者と言われる人達がいる世界。 高校の休み時間に突然その世界に行くことになってしまった。この世界での生活は10日間と言われ、混乱しながらも楽しむことにしたが、なぜか戻ることができなかった。 特殊な能力を授かるわけでもなく、生きるための力をつけるには自ら鍛錬しなければならなかった。魔獣を狩り、いろいろな遺跡を訪ね、いろいろな人と出会った。何度か死にそうになったこともあったが、多くの人に助けられながらも少しずつ成長し、なんとか生き抜いた。 冒険をともにするのは同じく異世界に転移してきた女性・ジェニファー。彼女と出会い、ともに生き抜き、そして別れることとなった。 2021/06/27 無事に完結しました。 2021/09/10 後日談の追加を開始 2022/02/18 後日談完結しました。 2025/03/23 自己満足の改訂版をアップしました。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

防御力ゼロと追放された盾使い、実は受けたダメージを100倍で反射する最強スキルを持ってました

黒崎隼人
ファンタジー
どんな攻撃も防げない【盾使い】のアッシュは、仲間から「歩く的」と罵られ、理不尽の限りを尽くされてパーティーを追放される。長年想いを寄せた少女にも裏切られ、全てを失った彼が死の淵で目覚めたのは、受けたダメージを百倍にして反射する攻防一体の最強スキルだった! これは、無能と蔑まれた心優しき盾使いが、真の力に目覚め、最高の仲間と出会い、自分を虐げた者たちに鮮やかな鉄槌を下す、痛快な成り上がり英雄譚! 「もうお前たちの壁にはならない」――絶望の底から這い上がった男の、爽快な逆転劇が今、始まる。

処理中です...