天下無双の剣聖王姫 ~辺境の村に追放された王女は剣聖と成る~

作間 直矢 

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シルバ・アリウム、剣聖と成る

四十一話

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 『―――こ、これは………なんという事だぁぁぁぁ!!!???
  闘技場に現れたのは、あのシルバ王女ではないかぁぁぁッッ!!??』


 状況をすぐさま察した実況は、かの人物の名前を興奮しながら伝える。
 すると、彼女に見覚えがある観客が一人、二人と確信をもって騒ぎ始めると、シルバ王女の存在が周知され始める。


 「なんで姫様が……?こんな危ない大会に……?」

 「剣聖の娘だからって、腕試し感覚で参加したのか?」

 「いまの一撃……王女様が避けた……」


 場内が混迷を極めるなか、単純な思考のダガーンは大きく笑って斧を仕切り直す。
 それは相手が誰であろうと戦う、その意思を表して。


 「ガッハッハッ……!!アンタぁ……どこぞの偉いお嬢さんか?わりぃが……
  オレは気に入らねぇ奴は全員こいつで叩き割るだけだ、次は当ててやるぜぇ……」

 「―――構いません、全力で来てください……でないと、私も困りますので、
  ……実況の方―っ、始まりの合図お願いしまーす!!」

 『えぇッ!?ッ………と、それじゃ……よくわかりませんがッ!!
  これより第一試合、始めッ―――』


 お互いに仕切り直して始まった第一試合。

 それは体格差も実戦経験の差も、ありとあらゆるものがシルバにとって不利だと思われた、最初の試合であった。

 ―――五年前に行われた、剛槍使いと豪傑との決勝。

 彼らの戦いは荒れ狂う神獣の如き苛烈さを極め、それを見た観客たちは沸き立ち、その武に魅了された。

 今大会もその武勇に期待していた観客は、目の前の立ち合いを冷ややかに見ていた、が、それも束の間に彼らは認識を改めた。


 「ガアァァァァッァァ!!!!!」


 振り回される大斧。
 しかし、それは掠りもせずに銀の少女に遊ばれる。

 必死に、そして尋常ではない速度で振り落とされる必殺の一撃は、可憐で優雅な少女に難なく躱される。

 ダガーンは身長差を活かしたリーチを利用し、シルバが間合いを詰められぬ様に立ち回り、反撃の余地など与えない。
 対するシルバは未だ剣すら抜かず、回避に専念しつつ斧の切っ先を見切る。

 上段から振り落とされる大振り。
 そこから派生して繋がるは、振り下ろした勢いを利用した回転斬り。
 更に、連撃の終わりとなる叩き付けは重厚な一撃。


 ―――だが虚しくも、それらの攻めはシルバには届かない。


 『なんという攻防だぁぁ!!眼にもとまらぬ速さで繰り広げられる連撃、
  それを素早い動きで翻弄するシルバ王女ッッ!!実力は本物かぁぁ!?』


 まるで、児戯のように楽しげな顔で立ち回るシルバ。
 それを見たダガーンは更に激昂し、その猛威を緩めることなく加速させた。


 「ちょこまか動きやがってッッ!!!!ウザってぇっ!!!!」

 「―――では、こちらも少々攻めさせて頂きます」


 ダガーンは荒い口調とは裏腹に精密な斧捌きを繰り広げ、確実にシルバを追い立てる。
 回避する距離を縮められた彼女は、ついに構えらしい行動を取って自身の得物を取り出した。


 「……うおッッ!?」


 その刀身は突如現れ、豪傑の頬を掠めて空を切る。

 ここにきて攻めに転じたシルバは、美しい魔法剣を流れるように魅せる。
 小柄な彼女はダガーンの懐を掻い潜り、銀の刀身を振り抜く。


 剣戟は流星の如く。
 剣士は舞の如く。


 これが戦いと忘れてしまう程の優雅さで、銀の剣士は猛攻を仕掛けた。
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