賊を狩り続ける冒険者~近代技術で魔法を凌駕する~

作間 直矢 

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2話 山賊討伐の代償

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 それからしばらく、シキがアルバートの工房に住み着いて監視すること一週間。

 アルバートとアリウムは冒険者としての活動に明確な変化があった。


 「お疲れ様です、シキさん、アルバートさんっ!
  お昼まだですよね、街への帰りにお食事を買ってきたので良かったらどうぞ」

 「ありゃ~?アリウムちゃんありがと~!!いただくよ~」

 「どうぞ召し上がってくださいっ……アルバートさんもよかったら……」

 「いや、俺はこの作業が終わるまでいい」

 「そう、ですか……」


 作業中と分かっていた彼女は、食べやすいサンドイッチを敢えて選んだ。
 だが、目の前の仕事を黙々とこなす彼は病的に作業を続け、食事もろくにとっていない。

 アリウムの心配を他所に、アルバートは軽快な金属音を鳴らして手を動かした。


 「むふ~……これ美味しいね、好きな味だ」

 「あ、良かったです……おかわりもあるので」

 「いつもアリウムちゃんがご飯作ってくれるから、こういうのも新鮮だな~」

 「あはは……少し照れますね、今日は作業どのぐらいかかりそうです?」

 「んにゃ~……どうだろ、目途が立たないかな~」


 シキがアルバートの武器開発の監視を受け持ってから、工房での開発が更に加速して冒険者らしい活動が明確に減った。

 曰く、監視という名目はあるもののシキは共同開発という形であれば造る武器に制約を付けない、そう言って彼の開発に協力したいと提案した。

 ずっと一人で武器開発に着手していた彼は、魔法分野での専門的な知識を持つシキの提案を断る訳も無く、自らの知識や技術を惜しみなく提供し武器制作に取り掛かった。


 「それにしても……アルバートくんには驚きっぱなしだよ~
  彼の火器に関する知識もだけど、魔法適正が無いからか、
  魔法関連の技術的な取り組みが凄まじいよ」

 「凄まじい、ですか」

 「そ、無いものを無理やり作って形にする?みたいな?」

 「なんだか抽象的ですね……」


 少し疲れ気味に話すシキは残りのサンドイッチを食べ切る。
 だが、研究に対する熱量は冷めず作業に戻ろうとした。


 「シキさん、どうしてアルバートさんの武器開発に協力するんですか?」


 ふと、アリウムは素朴な疑問を投げかける。

 本来であれば、シキの役割は過度な武器開発を監視し抑制すること。
 だが、実際には抑制どころか自ら魔法関連の技術を提供して新しい武器の開発を推し進めている。

 その行動にアリウムは戸惑いながらも、アルバートの助けになるのであればと思いそれをサポートし続けた。


 「んにゃ?どうして協力するか、かぁ~……
  まぁ、アリウムちゃんにも話してもいっかぁ~?」


 ちらりと、作業を続けるアルバートを流し見て彼女は言う。


 「ぶっちゃけ、アタシは王都から来た研究者だからギルドの要求なんて
  どーでもいいんだよね、むしろこんな面白い人材がいるのに得意分野で
  研究出来ない方が苦痛だし、絶対協力した方が面白いよね?」

 「面白い……ですか、そんな理由で」

 「いやいや、楽しくて面白い事は大事だよ?」


 いつもの悪戯な笑みで小さく笑い、シキは工具を手に取った。
 頬にくすんだ油の汚れが付くも、屈託の無い楽しそうな笑顔が印象的である。
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