賊を狩り続ける冒険者~近代技術で魔法を凌駕する~

作間 直矢 

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4話 魔を討つ

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 「来ていたか、さっそくだが始めるぞ」

 「ん~……これだけ終わったら」

 「シキはそのまま続けながらでいい、アリウムは今回の会議概要をまとめておいてくれ」

 「わかりました、記録しておきます」

 「―――っへ、随分優秀な部下がいて羨ましいよ技術師、おまけに可愛いときた、
  俺のむさ苦しくてバカな筋肉野郎共と交換して欲しいね」

 「……そうか」


 アルバートは興味の無い返事をして大きな地図をボードに拡げる。

 そこには、ゴルド平原の立地を詳細に記した図と、敵勢力の規模と進路を予想したマーカーが記入されていた。


 「まず、貴重な時間を使って集まってくれた事を感謝する、
  これから説明するのは魔物との戦闘においてのそれぞれの役割だ」

 「―――その前に、団長……なぜこの男が今回の作戦を仕切っているのですか」


 体格の良い兵士の一人が、アルバートに懐疑的な視線を送り団長に問う。

 それは、砦内での彼の信頼と評判からくる不信。
 賊を専門とする悪評と不気味な雰囲気を常に纏う彼への牽制でもあった。


 「あぁー……お前ら、俺が考えるの苦手なの分かってるだろ?
  そこに都合の良い頭の良い奴がいれば頼るのも当然だ、
  時間も無い事だ、今は黙って話を聞いとけ」

 「しかしっ……!!!」

 「―――おい、俺の言う事が聞けねぇのか?次何か言ったら叩きのめすぞ」


 分かりやすい力、そして立場。
 眼力だけで屈強な兵士を黙らせると、鎧の騎士に一つ溜息をついて団長は返す。

 この砦を任された団長は、アルバートを庇う形でこの場を収めた。

 それは彼への信頼でも、砦への貢献に対しての行動では無い。
 団長は、自身より強い相手への最低限の敬意をはらっただけであった。


 「……続けるぞ、今回の砦による防衛戦は部隊を二つに分けて行う、
  一つ目の部隊が大軍の対応、もう一つが退路の確保と背後を守る部隊だ」

 「なんだと!?我々全員で魔物討伐をするんじゃないのか!!」

 「その手段も効果的ではある、だが……仮に全ての人員を使って魔物を倒し、
  損耗の激しい状態で更に交戦しなければいけない時、手が無くなる」

 「何を言っている?俺達の敵は魔物の大軍だろ?
  どうしてそいつらを倒した後の話をしてるんだ」

 「―――俺が賊ならば、遠くでこの砦を監視して戦いが終わる頃に攻めるだろう」

 「っ!?」


 一瞬のどよめきが流れるが、アルバートは変わらぬ姿勢で説明を続ける。


 「部隊を二つに分け、退路を確保すると同時に後方からの奇襲を牽制する、
  その理由は賊への対策もあるが、最大の理由は魔物を統率している存在だ」

 「テメェらも知っての通り、先遣隊から上がっている報告では大軍を束ねる魔族も、
  そいつらをまとめる強力な魔物も見えてない、この意味が分かるか?」

 「……まさか、団長は人が魔物を動かしていると言うのですか?」

 「否定出来ねぇから俺はコイツの話に乗っているんだ、
  勇者が魔王を倒してから今まで、大規模な魔物の活動はほぼ無かった、
  となると、人為的に引き起こされた可能性も捨てちゃいけねぇだろ?」

 「しかしっ……それで魔物にやられては元も子もありませんっ……」

 「そうならないように、私達がいます……兵の皆様、
  どうかアルバートさんの作戦を信じてください、お願いしますっ…」


 未だ不信感が残る兵達に、アリウムが堪えきれずに言葉を投げる。

 一人の少女がひたむきに願い、頭を下げる姿に頭の固い兵士達も思わず腕を組んで考え込んで話を聞く。


 「―――そもそも、これが俺の杞憂で終わればそれで済む話ではある、
  賊も、姿の分からぬ統率者もいなければ単純な退路の防衛が目的になる」

 「それでも念を入れて部隊を分けるんだろ?わかった……お前を信じるぞ」

 「ああ……誰一人として欠ける事なく、この作戦を成功させる」


 その言葉は彼らにとって意外であり、考えもしなかった。
 砦の兵には冷徹な殺人者に見えていたアルバートが、ほんの少し優しく映る。


 「改めてだが、砦を防衛する本隊を団長が指揮を執り、後方の部隊を副団長に任せる、
  人員の選定だが後方部隊を少数精鋭とし、団長が選んだ兵で組んで欲しい」

 「あいよ、それなら任せな」

 「作戦中の連絡は使い魔を通して行い、何かあれば本隊から連絡する、
  戦闘が始まれば砦の兵器を使って迎撃し、残った残党を野戦で殲滅、
  大まかだがこれが一連の流れとなる、細かな指示は追って伝えよう」


 まとまりつつある話の途中、兵装部品を完成させたシキが飛び上がる。
 そして、場違いなほど楽しそうな声で声を掛けた。

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