チートレス転生者の冒険記

沼米 さくら

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ゴブリン大討伐・後日談編

後日談

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 町の全冒険者を巻き込んだ大決戦は、犠牲を出さずに、人間側の勝利に終わった。
 見事、ゴブリンは全滅。親玉も、突如現れた悪魔憑きの狂戦士デモニック・バーサーカーにより滅ぼされた。
 森に逃げたゴブリンもほとんどが退治された。
 すべては終わったのだ。

**********

「よし。報告書書き終わった。あとはこれをリザードマン便で届けてもらうだけだ」
 今は、ゴブリン大討伐の3日後。
 町長の家にて、称号授与式の準備がおこなわれるというので来たら、早く来てしまい、時間が来るまでカイと話しているのだが、
「本当に称号は俺なんかでいいんですか? ほかの人だって活躍していたはずなのに……」
「ジュンヤはものすごく謙虚だなぁ。あのゴブリンたちの群れの半分ぐらいはお前が倒したんだぞ。もっと誇れ」
「ほんとですか!?」
 俺は目を輝かせる。そんなに倒していただなんて。
「あぁ。あの爆破はすごかったぜ。死ぬかと思ったぜ」
「ここだけの話、俺も死に掛けました」
「そうか。そりゃぁそうだよな」
 人のよさそうに笑うカイに、俺は嬉しくて微笑む。
 ……というか、あれの破壊力すごすぎだろ。よし、今後は切り札として使おう。
「あと、あの大きいやつ、2体も倒しただろ。お前がいなければたぶん犠牲者が出てたと思う。本当にありがとう」
「いや、そんな。ちょっと考えたら楽に倒せただけです。こちらこそ、ありがとうございました」
 礼を交わし、互いに握手。
「そういえば、俺以外の称号授与者って誰なんですか」
 聞くと、彼は少し困った顔で答える。
「ユウだよ。あいつがいなければ絶対死んでたぜ。俺たち」
 そうだろうな。ユウは回復術師としての力がチートな転生者だからな。
「でも、なんだったんでしょうね、あれ」
「ああ、最後に見せたあれか。確か、悪魔憑きの狂戦士デモニック・バーサーカーみたいな……」
「え、呼んだ?」
 振り向くと、いつの間にかユウがいた。
『うわっ』
「あはははは~」
 俺たちが驚いているのを見てにっこりと微笑んでいるユウ。
「で、何話してたの?」
「お前って一体なんであんなことになったんだ」
 カイが聞くと。
「ああ、あれね。殺戮形態ジェノサイドモード
 ユウは笑顔を崩さずに語った。
 以前言ったことは間違いなく、ただし、生前はリア充だが高校生で、通り魔に撃たれて死に、チート能力の超魔力でそうだ。
 半年前、強力な魔術師に捕らえられ、そこで力に封印をかけられ、性格が変わり、その結果今のように超強力回復術師ヒーラーになったという。
 しかし、元の力が強すぎたため、封印しきれず、HPが半分を切ると元の状態―――殺戮形態ジェノサイドモードに変化するらしい。
 それが悪魔憑きの狂戦士デモニック・バーサーカーの真相だったのだ。
「途中で悪魔も仲間にしちゃってさ。物騒な称号もいっぱいついちゃったんだよなぁ。あ~懐かしい」
 笑顔を全く持って崩さずに軽い調子でユウは語った。
 規格外すぎる。悪魔を仲間にするとか……やっぱりやべぇ。
「あ、仲間になった悪魔出そうか?人間に危害は加えないはずだよ。多分。きっと。恐らく。あるいは。」
 そういって手を前に突き出した。悪魔召喚をおこなおうとしているのか。
「必ずと言ってくれあとそもそも出すなぁぁぁ!」
 カイが叫んで、悪魔出現を阻止。ナイスですぜ町長さん。
「え~。結構いいやつなのに」
 そうなんだ……。でもリスクを避けておくことにこしたことはない。
「ユウ、やめてくれ……。死にたくないんだ」
「はーい」
 ユウは(笑顔のまま)少し残念そうに、突き出していた手を下ろした。
「さてと。いよいよ称号授与式だ。心の準備は良いな」
「はい。大丈夫です」
「うん。大丈夫」
「よし。じゃあ冒険者ギルドにいくぞ。あと、ジュンヤは念のためそこにあるショートソードを持って行きな。多分……いや、おそらく厄介ごとに巻き込まれるだろうからな」
 そういって部屋を出て行くカイについていき、言いつけ通りに剣を持ち出し、大通りを横切って、向かいにある大きな建物――冒険者ギルドに入った。
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