【完結】番である私の旦那様

桜もふ

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ルリナ様には気をつけて!

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 オールに抱きしめられるのはなれたけれど、いつもより強く抱きしめてられて苦しかった。

「オ、オール……苦しい……」
「っ!
 ユアすまない!」
「オール、ルリナ様は魔術でバールナ公爵家に何かしてるとか?
 そして自分の周りの者に魅了や幻術の魔法を使っているとか……まあ私のただの予想なんだけどね」

 オールは何かを思い出したかの様に私を見ていた。

「魅了か……昔父上から聞いた事がある。
 魔力が高い者にしか扱えない高度な魔法だと」
「ルリナ様なら可能じゃないかしら?
 オールの動きを止める力があるって事は、相当な魔力の持ち主って事でしょ?」
「……あの時の事か!
 やはりルリナは転生者だ。
 ユア、ルリナには気をつけるんだぞ?」
「うん」

 オールってばいつの間にルリナ様の事を呼び捨てにしてたんだろう?
『嬢』や『様』をつけたくないのかな?
 私も『様』呼びなんてしたくないけど、今はまだ公爵の娘だから仕方なく『様』をつけて呼んでるんだけどね。
 それにしても、よく考えたらカップルだらけだ。

 誰が見てもラブラブなカップルだ。
 カップルといえば、ここには私を含めたカップルが4組もいる。
 後ろを振り向くと、それぞれラブラブな雰囲気が漂っている。
 イーリス子爵家の皆様は、ジーナ様の笑顔と婚約に大喜びだし……私も友達が笑顔で幸せなら嬉しい。
 オールの腕に抱きつき、小さい声で「大好き」と呟いた。
 少し肌寒くなり室内に入ると……甘ーい空気に酔いそうになったよ。

「オール、皆様にルリナ様の事を言うんだよね?
 レイン様とハーティー様は学園が一緒だから危険だよ……回し蹴りした私もだけど」
「回し蹴りしてスカートの中が見えたら……駄目だ! 駄目だ!!
 想像しただけで怒りが……」

 1人で妄想?
 オールったら、焦ったり怒ったりと表情がコロコロ変わって可愛いんだから。

「ユア様、誰にも聞かれたくないって……何か悩み事ですの?
 わたくしで良ければお聞き致しますわ。
 何でもおっしゃって下さい!」
「そうですわ。
 わたくし達は友達ですのよ、何でも話してください」
「友人同士の隠し事は無しにするのはどうかしら?」
「……ルリナ様の事なんです。
 皆様、ルリナ様には気をつけて下さい!
 ルリナ様は……転生者ですわ!!」

『っっっ!!』
 
 明日の学園が少し怖くなって来たかも。
 私が不安に思っているとレイン様とハーティー様が怖がってしまう、私がしっかりしないと!
 震える手を見られない様に扇子を両手でギュッと握りしめた。
 怖いと思う気持ちよ無くなれ!
 不安だと思う心よ無くなれ!
 私は自分に暗示をかけるかの様に目を閉じて扇子を握りしめていた。

 番には不安な気持ちが伝わるんだね。
 震えを隠したつもりが、オールにはバレバレで「大丈夫だ」と呟きながら抱きしめてくれていた。

 オールが私を離すと、ジーナ様が私に抱きつき左右にはレイン様とハーティー様がギュッとしてくれていた。

「学園には、わたくしとハーティー様もいますわ。
 ユア様を一人にはしませんわ」
「わたくしとレイン様もいますので安心して下さい。
 こんなに震えて、わたくし達には頼りになって強い婚約者がいますわ。
 だから大丈夫ですわ!」
「ユア様、わたくしも明日から学園へ行きますわ。
 わたくしも怖いですが、皆様がいるなら頑張れる気がしますわ」
「うん。学園の席ですが、3人用なのでレイン様とハーティー様で座って、ジーナ様はわたくしと一緒に座りましょう」

 皆ありがとう。

「皆大好きよ」
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