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第2章
誘拐
しおりを挟む残り7ヶ月と3週間
しばらく仕事を休むといったユーリはその言葉通りずっと部屋にいる
ぼくがトムさんの薬局に行くのを毎日といっていい程見送り帰ると笑顔で出迎えてくれる
けどうれしい反面心が痛い......
どこかユーリが無理して笑ってるようでぼくは......
話すべきかどうかを迷って告げなかったぼくにユーリの笑顔は痛々しいと見えるだけなのかもしれない
トムさんに相談するべきだろうか
でも......
帰り道歩いて5分
1人考えごとをしたくて真っ直ぐ帰ることもせず公園へと足を向けた
多分これがいけなかった
「見つけたぜ美人さん」
あそこで絡んできた男だ
逃げなきゃ......
「おっと!逃げられるなんて思わないでくれよ。坊ちゃん」
1人じゃなかった
「奴隷売り場で売れば高値間違いなしの見た目じゃねぇか女装させてメイド服着せて犯すか」
「美人さん手荒なことはしたくないんだ。捕まれ」
ユーリ
叫んだところで助けはこない
そこで俺は意識を失う
病弱な俺はどうしてこうにも
男だというのに自分の身すら守れないのか
ユーリやトムさんとの時間を取らないで
俺にはもう時間が迫ってくるんだから
「ユーリ!」
起き上がった瞬間
めまいでふらふらしてしまう
「起きたようだな。美人さん。いや姫さんっていう方がいいか」
あの日絡んできた男が牢屋越しに俺を見下ろしてきた
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