海賊達と雄姫様とその護衛

アビー

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第2話

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 しかしあれは目立つからな………。人がいない場所じゃないと
 つかえない。
  
  丁度近くに人気のない細い道があったのでそこへ逸れる。
  人がいないことを確認し、魔法語を唱える。

  [私は望む かの地へ移動することを]

  次の瞬間、光に包まれ 目を開けると先程までとは違う景色が
 ひろがっていた。
  
  何度やっても慣れないものだ、転送魔法には。もはや、
  <慣れないものはどうやっても慣れないのだ>
 と開き直っている有様だ。

  だが転送魔法を使ったおかげで時間には間に合いそうだ。

  依頼人のカレドニ―伯爵の家を人に尋ねて、ようやく到着する。

  伯爵家の門衛と話をして中へ通してもらう。

  案内されたのは華やかで、それでいて品のある部屋だ。
  いい趣味してるな。伯爵夫人の趣味かもしれない。

  一礼して、

  「失礼致します。依頼を受けて参りました。
   リール・スターアニスと申します。」

  「顔を上げて下さい。」

  顔を上げると、そこにはたおやかな女性とその子供かと思われる
 16歳くらいの金髪碧眼の天使の様な可愛い女の子がいた。

  「よく依頼に応じてくれました。私の名はロシロノ・カレドニ―
   ―――――カレドニ―伯爵の妻です。」

  女性――――もとい伯爵夫人が名乗って下さる。

  「あなたに依頼したいのは、この子――――アリス・カレドニ―
   の護衛です。
   この子がこの屋敷を一歩外に出た時から屋敷に戻るまでの間お
   願いします。
   あとこの子の要求にはできる限り応えてやって下さい。

   ―――――できますか?」

  「わかりました。」

  私の好みど真ん中の女の子の護衛 この仕事いつもより気合の入
 り方が変わってくるものだ。

  「では、明日より護衛の依頼お受けします。」
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