木瓜

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花の香りが夕に滲む

花の香りが夕に滲む

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 「花が、好きなの?」

彼女と、友達になったあの夕暮れから、一カ月が過ぎた、ある日の放課後。

外は、あの頃と比べて、更に赤みを増した夕陽が広がっていて、蝉の最後の泣き声のように、短い秋の、「生きたい」という叫び声が、聞こえた気がした。

「うん。好き。綺麗で、たくさんあって。それぞれに、違う香りと、色と、意味があるから」

花言葉が載った図鑑を眺めながら、彼女は私の言葉に答える。

私には、花の名前も、それが持つ意味も、全くと言っていいほど、分からなかったけれど、彼女が好き、と言うなら、私も、好きになれる気がした。

「あざみは、好き?」

「うん。茉莉ちゃん程、詳しくはないけど、好きだよ」

そう、なりたかった。
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