木瓜

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花の香りが夕に滲む

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「私の事は?」

「…え?」

「あざみは、私の事、好き?」

彼女の言葉は、蜜のように、甘い香りを漂わせながら、私の耳元に、絡みついた。

その香りは、彼女が以前、私に教えてくれた、ジャスミンの香りに、似ている気がした。

「好き、だよ。茉莉ちゃんの事も」

友達として、なのだと思った。

だから、私も、そのつもりで答えた。

それが違う意味だったという事を、私は後になって知るのだけれど、
その事を、嫌だと、思った事はない。

クラスの子たちが話す、普通、とは違っていても、あいつと、同じ男性の人と、そうなる事は、私には到底、想像できなかったから。

「嬉しい。私も、好きだよ。あざみ」

ジャスミンの香りが、揺蕩う。

それは、窓から指す、夕に滲んで。

今でも、彼女の事を思い出すたびに、香りが溶けこんだ、あの日の夕陽を思い出す。



その日、私達は、

友達以上の、特別な何かになった。
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