木瓜

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少女は白い菫に夢を見る

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 目的の場所に着いた頃には、時間はすっかり、夜、と呼んでも差支えのない時間帯になっていた。

この辺り一帯は、歓楽街となっていて、夜の街、と表現するのに相応しい有様となっている。

痛いほどに、眩しい灯りと、酒の匂いを漂わせた社会人、肌の露出が激しい衣服に、異性を釣るためだけの下品な化粧で装う女達、そんなもので溢れかえっているのが、ここ、夜の街だ。

本来なら、制服を着た女子中学生が、一人で来るような場所ではない。

周りの視線を引き、良からぬ輩を集めるし、何より、補導の対象となりかねない。

以前の私なら、絶対に、来なかった場所だ。

「おいおいおい。お嬢ちゃん。こんな所で、一人、何してるんだい?」

酒臭い、よれよれのスーツを着た、四十代ぐらいの男が、声をかけてきた。

一番初めに、ここに来たときも、同じような事があったなぁ、などと思いながら、私は、その男に、言葉を返す。

「この先の、ジギタリスに用があるんです」

「ああ?ジギタリス?っんで、あんなクラブなんかに…」

そこまで言いかけて、私をまじまじと見つめた男は、顔色を変える。

「ちっ。青藍の奴かよ」

そのまま、男は離れていった。
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