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少女は白い菫に夢を見る
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夕陽に照らされた街を歩く度に、激しく鼓動する不安を、必死に宥めながら、目的の場所まで、足を進める。
―やっぱり、秋乃さんと、一緒に行けば、良かったかな。
せっかく、あの人が、誘ってくれたのに。
愛想のない奴だと、思われただろうか。
くろかさんだって、会いたいと、思ってくれていたみたいなのに。
そこまで考えて、私は首を振る。
二人が、そんな人間ではない事は、まだ、短い間だが、その時間だけでも、充分、感じる事が出来た。
だからこそ、あの二人の優しさに、私の気持ちが、絆されてしまう前に、覚悟を決めないと。
手紙の内容だって、知られてしまうのは、時間の問題かもしれない。
―ああ、でも。
それでも、良いと思ってしまっている、自分が居る。
もし、あの人たちが、私の覚悟よりも先に、手紙の内容に気付いてくれたら…。
―よそう。
確証もない期待に、身を委ねるのは。
何より、そんな事、彼女に申し訳が立たない。
許してくれる、はずがない。
「そうよ。私は」
―悪魔の女、なんだから。
―やっぱり、秋乃さんと、一緒に行けば、良かったかな。
せっかく、あの人が、誘ってくれたのに。
愛想のない奴だと、思われただろうか。
くろかさんだって、会いたいと、思ってくれていたみたいなのに。
そこまで考えて、私は首を振る。
二人が、そんな人間ではない事は、まだ、短い間だが、その時間だけでも、充分、感じる事が出来た。
だからこそ、あの二人の優しさに、私の気持ちが、絆されてしまう前に、覚悟を決めないと。
手紙の内容だって、知られてしまうのは、時間の問題かもしれない。
―ああ、でも。
それでも、良いと思ってしまっている、自分が居る。
もし、あの人たちが、私の覚悟よりも先に、手紙の内容に気付いてくれたら…。
―よそう。
確証もない期待に、身を委ねるのは。
何より、そんな事、彼女に申し訳が立たない。
許してくれる、はずがない。
「そうよ。私は」
―悪魔の女、なんだから。
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