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39.チェックポイント
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僕はセシリアと並んで、なだらかな山道を登って行く。
彼女はぴったりと僕に寄り添うように歩くので、正直歩きづらい。
それに、僕らの後ろから付いて来るクラウディアの事を考えると、かなり胸が痛い。
多分、相当不安になっているだろう。
もう少しの辛抱と思いながら、ひたすら歩を進めた。
暫く歩くと、少し開けたところに出てきた。
そこには学院の教員が二、三人で待機していた。
第一のチェックポイントだ。
「お疲れ様でした」
教員は僕らに労いの言葉を掛けてくれる。
僕は代表でチェックを済ますと、相変わらず僕にピッタリと寄り添っているセシリアを、
「彼女、自分の班と逸れたそうです」
そう言って、教員に差し出した。
「ああ、君がセシリア・ロワール嬢?」
突然、教員に自分の名前を呼ばれ、セシリアは驚いて目を丸めた。
「さっきから君の班の生徒たちがそこでずっと待っているんだよ」
教員は近くでしゃがみ込んで休んでいる生徒たちを指差した。
彼らは皆、ムスッと顔でセシリアを見ている。
「皆、君が勝手に抜け出したと言っていたけど、班行動だからね。全員が一緒でないと次に進めないから」
「へ?」
セシリアは素っ頓狂な声を上げた。
「もう少し待ってもチェックポイントに来ないようだったら、捜索を開始するところだったよ。彼らも心配していたんだからね!」
先生は少し咎めるようにセシリアを見た。
いやいや、彼らは心配していたような顔ではないね。先生はそう言うけど。
「それじゃあ、ロワール嬢、もうわざと逸れないように。他の生徒にも迷惑だ」
僕は彼女に向かって肩を竦めて見せると、すぐに踵を返した。
そして、クラウディアのもとに行き、彼女の手を取ると、
「さあ、僕らは次に進もう」
班の皆ににっこりと微笑んだ。
それ以降は誰にも邪魔されず、順調にサクサクと進む事が出来た。
それでも、一着はビンセントの班に獲られてしまった。
クラウディアには少し不安にさせてしまったが、その後、ずっと手を繋いで歩いていたら、いつの間にかご機嫌になっていた。
こんなことからも、本当に僕のことを好きでいてくれているんだなと実感できる。
だから、結果は一着じゃなかったけれど良しとしよう。
★
山頂に到達すると、各々の班で昼食を楽しみ、その後は下山だ。
下山ルートは特にチェックポイントは設けていない。ひたすら下山するのみだ。
それでも、最後まで班行動というのは基本ルール。
それなのに、なぜか、チラチラとピンクブロンドの髪が視界に入る。その度に、
「セシリア嬢、一人で先に行かないでくれよ」
などと彼女と同じ班らしき生徒の声が聞こえる。
「だって、あなた達歩くの遅いんだもの!」
セシリアの苛立った声で言い返している。
「仕方がないじゃないか! 彼女、靴擦れができて歩くのが辛いんだからこっちに歩調を合わせてくれよ!」
「何よ、靴擦れぐらいで。彼女に合わせていたら、逸れちゃう!」
それって、僕らの班とってことだよね?
こっちはみんな健康体でスタスタ歩いているからね。
「下山ではチェックポイントなんて無いのだから、何も最後まで一緒に行動しなくてもいいんじゃない?」
終いには、そんな事まで言い出す始末。
驚くほど協調性に欠けてるね。
後ろから聞こえる会話をクラウディアはハラハラした表情で聞いている。
しかし、彼女の意見はリーダー格の生徒から却下された。しっかりしているリーダーだ。
お陰で、彼女の班と僕の班はどんどん距離ができ、とうとう見えなくなるほど離れることが出来た。
でも、油断は禁物だ。
彼女はぴったりと僕に寄り添うように歩くので、正直歩きづらい。
それに、僕らの後ろから付いて来るクラウディアの事を考えると、かなり胸が痛い。
多分、相当不安になっているだろう。
もう少しの辛抱と思いながら、ひたすら歩を進めた。
暫く歩くと、少し開けたところに出てきた。
そこには学院の教員が二、三人で待機していた。
第一のチェックポイントだ。
「お疲れ様でした」
教員は僕らに労いの言葉を掛けてくれる。
僕は代表でチェックを済ますと、相変わらず僕にピッタリと寄り添っているセシリアを、
「彼女、自分の班と逸れたそうです」
そう言って、教員に差し出した。
「ああ、君がセシリア・ロワール嬢?」
突然、教員に自分の名前を呼ばれ、セシリアは驚いて目を丸めた。
「さっきから君の班の生徒たちがそこでずっと待っているんだよ」
教員は近くでしゃがみ込んで休んでいる生徒たちを指差した。
彼らは皆、ムスッと顔でセシリアを見ている。
「皆、君が勝手に抜け出したと言っていたけど、班行動だからね。全員が一緒でないと次に進めないから」
「へ?」
セシリアは素っ頓狂な声を上げた。
「もう少し待ってもチェックポイントに来ないようだったら、捜索を開始するところだったよ。彼らも心配していたんだからね!」
先生は少し咎めるようにセシリアを見た。
いやいや、彼らは心配していたような顔ではないね。先生はそう言うけど。
「それじゃあ、ロワール嬢、もうわざと逸れないように。他の生徒にも迷惑だ」
僕は彼女に向かって肩を竦めて見せると、すぐに踵を返した。
そして、クラウディアのもとに行き、彼女の手を取ると、
「さあ、僕らは次に進もう」
班の皆ににっこりと微笑んだ。
それ以降は誰にも邪魔されず、順調にサクサクと進む事が出来た。
それでも、一着はビンセントの班に獲られてしまった。
クラウディアには少し不安にさせてしまったが、その後、ずっと手を繋いで歩いていたら、いつの間にかご機嫌になっていた。
こんなことからも、本当に僕のことを好きでいてくれているんだなと実感できる。
だから、結果は一着じゃなかったけれど良しとしよう。
★
山頂に到達すると、各々の班で昼食を楽しみ、その後は下山だ。
下山ルートは特にチェックポイントは設けていない。ひたすら下山するのみだ。
それでも、最後まで班行動というのは基本ルール。
それなのに、なぜか、チラチラとピンクブロンドの髪が視界に入る。その度に、
「セシリア嬢、一人で先に行かないでくれよ」
などと彼女と同じ班らしき生徒の声が聞こえる。
「だって、あなた達歩くの遅いんだもの!」
セシリアの苛立った声で言い返している。
「仕方がないじゃないか! 彼女、靴擦れができて歩くのが辛いんだからこっちに歩調を合わせてくれよ!」
「何よ、靴擦れぐらいで。彼女に合わせていたら、逸れちゃう!」
それって、僕らの班とってことだよね?
こっちはみんな健康体でスタスタ歩いているからね。
「下山ではチェックポイントなんて無いのだから、何も最後まで一緒に行動しなくてもいいんじゃない?」
終いには、そんな事まで言い出す始末。
驚くほど協調性に欠けてるね。
後ろから聞こえる会話をクラウディアはハラハラした表情で聞いている。
しかし、彼女の意見はリーダー格の生徒から却下された。しっかりしているリーダーだ。
お陰で、彼女の班と僕の班はどんどん距離ができ、とうとう見えなくなるほど離れることが出来た。
でも、油断は禁物だ。
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