独占スクープ! 卒業パーティー断罪現場!!

夢呼

文字の大きさ
1 / 2

「いいこと? パーティーだからって浮かれていてはダメですわよ?! いつ『事件』が起こるか分からないのですから。皆様。しっかり気を引き締めてくださいませ!」

ここは我が王立学園の式典等が行われる大広間に向かう廊下の片隅。
わたくしは数名の仲間に声を掛けました。

「はい!」
「分かりました!!」
「気合入れます!」

皆様は各々力強く頷いてくださいます。

今日、ここの大広間で卒業生による卒業パーティーが催されるのです。
出席者はもちろん卒業生が中心。在校生は参加卒業生の縁のある人―――ご家族や婚約者などが参加を許されます。
そして、在校生であるわたくしたちも参加を許されたグループの一つ。諸先輩方をお見送りする立場として、また、この華々しい一夜の記録係として、参加することが許されたのです。

わたくし?

わたくしは、この王立学院の新聞部に所属している生徒です。
新聞部の部長として本日はメンバーと一緒にこの卒業パーティーに臨みます。

今年の卒業パーティーは特別です。なぜなら、卒業生に我が国の王太子がいらっしゃるのですから。王族が参加する卒業式はとても貴重ですもの。是非、その様子を学院記事にしなければなりません。

そして、何よりも、もう一つ特別なことが・・・。

なんと、今日の卒業パーティーでこの王太子様が「『断罪』とやらを披露する」というタレコミがあったのです!

王太子による「断罪」! 前代未聞!! 絶対に逃せないスクープ!

わたくしたち、新聞部は気合が入ります。

「皆様! いざ、出陣ですわ!!」

こうして、わたくしは部員全員を引き連れて、大広間へ入って行ったのでございます。


☆彡


厳かな卒業式とは違い、卒業パーティーはとても和やかでございます。

この日の為に、学院側で用意してくれた楽団が軽やかに楽しい音楽を奏で、その曲の心地よいメロディーが会場いっぱいに響き渡ります。
わたくしもルンルンと聴き入ってしまうほど。すっかり曲に釣られて気持ちが軽くなり、テーブルに並んでいる美しいスイーツに手を伸ばしてしまいます。

「部長・・・? 召し上がり過ぎでは・・・?」

大きな写真機と反射板を抱えている部員の令息に注意されてしまいました。

いけない、いけない。お仕事、お仕事! 
いつ、どこで『断罪』が始まるかまでは知らないのです。現場に集中しなければ!

わたくしは、ついつい頬張ってしまったケーキをモグモグと咀嚼している時でした。

「べルティーナ! 君に言い渡すことがある!!!」

会場全体にとても大きな声が響き渡りました。
わたくしは思わずゴクンッと音を鳴らしてケーキを飲み込み、声の主の方を探します。

声の主は会場の中央にいらっしゃいました。
お隣に一人の可憐な令嬢を侍らせて。

そのお方こそ、我が国の王太子、リオル殿下でございます。

「始まりましたわ・・・っ!」

わたくしは息を呑み、ドレスの隠しポケットからメモ帳とペンを取り出しました。
隣にいた部員の令息も、急いで写真機をセットします。
会場内のあちらこちらに配置した部員を目で探すと、彼らもスタンバイOKの様子。

「あ・・・あの・・・。どういうことでしょうか? リオル殿下・・・」

リオル殿下から少し離れた場所に美しい令嬢が小刻みに震えながら立っています。
彼女はべルティーナ・オズワルド侯爵令嬢。れっきとしたリオル殿下婚約者でございます。
リオル様は、その婚約者に対し、あろうことか指を差しております。彼の傍に立っているご令嬢は、べルティーナ様から隠れるように殿下にそっと身を寄せました。

そのご令嬢の名はサブリナ・コスナー嬢。子爵家のご令嬢です。
最近のリオル殿下のお気に入りと噂されているご令嬢。ウェーブの掛かったピンクゴールドの美しい髪に、目鼻立ちははっきりしていて、それでいて少し童顔で愛らしいお顔。
細身で華奢な彼女は、すっかり怯えた様子で、リオル殿下の腕にそっと手を添えて、べルティーナを見つめています。
わたくしは、彼女のそんな馴れ馴れしい態度に若干イラッとしました。

「どういう事かだと? 気が付かないか? 思い当たることはないのか?」

「わたくしが・・・一体何を・・・した・・・と・・・?」

両手を胸の前に組み、小刻みに震えながら懇願するようにリオル殿下を見つめるべルティーナ様。

「お認め下さいませ! べルティーナ様! 今ならリオル殿下だって許してくださいますわ!」

リオル殿下の後ろからサブリナ様がべルティーナ様に向かって叫びました。

「な、な・・・何を、認めろと・・・?」
「何って、私を虐げていた・・・って、え・・・!?」

震えながら問うべルティーナ様に、サブリナ様が答えている途中でした。
リオル様が思いっきりサブリナ様の手をご自分の腕から振り払いました。

「え・・・? リオル殿下・・・?」

サブリナ様は目を皿のようにまん丸にして、リオル様を見つめます。それに対してリオル様の眼差しは絶対零度と言えるほど冷え切ったもの。

リオル様は固まっているサブリナ様をその場に残し、ツカツカッと乱暴に踵を鳴らしながらべルティーナ様の前にやってきました。べルティーナ様は震えながらリオル様を迎えます。

「・・・リオル・・・殿下・・・、わたくしは・・・何も・・・」

真っ青な顔のべルティーナ様。
しかし、次の瞬間、リオル殿下はべルティーナ様の前に跪きました。そして、胸元から小さい箱を取り出すと、蓋を開けて彼女の前に差し出したのです。

「べルティーナ・オズワルド侯爵令嬢。私と結婚してください!」

箱の中には何カラットですか?と聞きたくなるほどの大きなダイヤモンドの指輪が光っていました。


感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

「お前がいると息が詰まる」と追放された令嬢——翌週から公爵家の予定が全て狂った

歩人
ファンタジー
クラリッサは公爵家の日程管理を一手に担う令嬢。前世の社畜経験を活かし、行事計画、来客対応、予算管理まで完璧にこなしていた。 だが婚約者ヴィクトルは言った。「お前がいると息が詰まる。もっと華やかな女がいい」 追放されたクラリッサが去った翌週、公爵家の予定が全て狂い始める。 舞踏会の招待状は届かず、外交晩餐会の料理は手配されず、決算書類は行方不明。 一方クラリッサは、若き領主の元で「定時退社」という夢を叶えていた。 「もう、残業はしません」

「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった

歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。 だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」 追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。 一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。 誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。 「その言葉は、もう翻訳できません」

悪役令嬢に相応しいエンディング

無色
恋愛
 月の光のように美しく気高い、公爵令嬢ルナティア=ミューラー。  ある日彼女は卒業パーティーで、王子アイベックに国外追放を告げられる。  さらには平民上がりの令嬢ナージャと婚約を宣言した。  ナージャはルナティアの悪い評判をアイベックに吹聴し、彼女を貶めたのだ。  だが彼らは愚かにも知らなかった。  ルナティアには、ミューラー家には、貴族の令嬢たちしか知らない裏の顔があるということを。  そして、待ち受けるエンディングを。

「やはり鍛えることは、大切だな」

イチイ アキラ
恋愛
「こんなブスと結婚なんていやだ!」  その日、一つのお見合いがあった。  ヤロール伯爵家の三男、ライアンと。  クラレンス辺境伯家の跡取り娘、リューゼットの。  そして互いに挨拶を交わすその場にて。  ライアンが開幕早々、ぶちかましたのであった。  けれども……――。 「そうか。私も貴様のような生っ白くてか弱そうな、女みたいな顔の屑はごめんだ。気が合うな」

何もしなかっただけです

希臘楽園
ファンタジー
公爵令嬢であり王太子の婚約者であった私は、「地味だ」という理由で婚約を破棄され、王宮を去った。 それまで私が担っていた役目を、誰も知らないまま。 ――ただ何もしなくなっただけで、すべては静かに崩れていく。 AIに書かせてみた第14弾は、「追放ざまぁ」系の短編。

【結婚式当日に捨てられました】身代わりの役目は不要だと姉を選んだ王子は、隣国皇帝が私を国ごと奪いに来てから後悔しても手遅れです。

唯崎りいち
恋愛
結婚式当日、私は“替え玉”として捨てられた。 本物の姉が戻ってきたから、もう必要ないのだと。 けれど—— 私こそが、誰も知らなかった“本物の価値”を持っていた。 世界でただ一人、すべてを癒す力。 そして、その価値を知るただ一人の人が、皇帝となって私を迎えに来る。 これは、すべてを失った少女が、本当に必要とされる場所へ辿り着く物語。

すみっこ婚約破棄同盟〜王子様による婚約破棄のすみっこで〜

まりー
恋愛
   ある夜会で王子とその側近達の婚約破棄が行われた。腕に恋人をぶら下げて。所謂、王道断罪劇である。  でもこのお話の主役は麗しのヒロインでも、キラキラ王子でも、学園一の秀才や騎士団期待のホープでもない。これは王道のすみっこで行われた、弱小貴族と商人の子息たちの婚約破棄のお話である。 _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ 「もう俺ら、恋なんてしない!」と言う小学生の息子の話を参考に書きました。登場人物の男子たちの頭は小学生レベルだと思って読んでください。